同社は設立時から一貫してサードウェーブのPCを使い続けている。きっかけは、スタジオジブリ退社後に移籍した制作会社で利用していたのがサードウェーブのPCだったこと。独立に際して制作会社のシステム担当者に相談し、勧められて導入を決めた。以来、製品に満足しているため継続して同シリーズを使用している。増山氏はPC選定時にこだわった点を次のように語る。「まず安定して使えることです。また、他のクリエイターが使っているかどうかという実績、さらに集団作業なので扱う画像も多く高いパフォーマンスが求められるため、高性能のグラフィックボードやメモリ、ネットワーク性能などのスペックも、もちろん重要です。管理のしやすさを考えると同じシリーズを揃えたいので、安定的に確保できるかどうかも重視しています」。

PCの購入に際して増山氏は、サードウェーブの営業担当に業務内容と予算を伝えて提案を受けている。「コストパフォーマンスが高く、安定供給できるGPUを選択するなど、的確な提案で助かっています」と語る。また、使ってみて性能が足りなかったと話すと改善提案を行うなど、対応にも満足している。

アニメーションの背景画は、Adobe Photoshopで制作。背景は例えば右から左へ人物が移動する場合、横長の絵が必要となる。ズームや引き、向きの変更などカメラワークに合わせた調整も必要だ。

テレビシリーズの場合1話30分で1クール12話程度。1話につき、平均300枚の背景画を描く。少なくとも年間数シリーズは手がけるため、年間で万単位の背景を制作・管理しなければならない。そのため、データ管理にはAdobe Bridgeを利用。データはRAID構成の外付けストレージで保管している。

現在スタッフは17名。クリエイターはPCにそれぞれ2台の大型モニターを接続し作業している。利用しているPCは約20台。基本的に一人一台だが、増山氏のアトリエなどにも設置しているという。

現在利用しているPCは、CPUにインテル Core i7-12700プロセッサー、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3070、メモリを64GB搭載したハイスペックなraytrek XFである。製品については、「安定しており、メモリの拡張性も高いので使いやすい」と評価する。サードウェーブの対応についても、「対応がしっかりしていてレスポンスも速いので満足しています」と語る。