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中小企業が抱えるテレワーク導入の課題とは?
働き方の一つとして定着したテレワークは、大企業のみならず中小企業でも導入を進める企業が多くなってきています。 しかし、テレワーク導入への対応が必要だと考えても、中小企業の場合いくつかの課題を解消していく必要があります。
本記事では、中小企業が抱えるテレワーク導入の課題を始め、中小企業がテレワークを導入する際に知っておきたい考え方や注意点について紹介します。
目次
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テレワークの現状は「右肩上がりに増加」
新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、日本企業のテレワーク導入率は急速に上昇しました。
厚生労働省が「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(令和元年6月14日閣議決定)」でテレワーク導入に関する政府目標を提示したこともあり、テレワーク導入企業は右肩上がりに増加。テレワークは働き方の一つとして今後も浸透していくことが考えられます。 ※参考:テレワークを巡る現状について|厚生労働省(外部サイト)
テレワークの中小企業の導入率は低い?
しかし、総務省がまとめた調査結果によると、「従業員規模に関わらず、テレワークの推進は進んでいる」という結果はでているものの、全体の(※2021年10月時点での)テレワーク導入率が37.0%なのに対し、資本金1億円以上の大企業は66.1%、資本金1億円未満の中小企業は31.3%と企業の規模で導入率に差があることがわかります。※参考:総務省におけるテレワーク普及・推進の取り組み|総務省(外部サイト)
また、令和3年に行われた総務省の調査によると、テレワークの導入は資本金規模が大きくなるに比例して進んでいることも明らかになっています。 ※参考:令和3年通信利用動向調査の結果|総務省(外部サイト)
実際には大企業のほうが導入率は高く、中小企業は思うようにテレワークが導入できていないことがうかがえます。
テレワークを導入しにくい中小企業ならではの課題とは
ここでは、テレワークの導入に踏み切れない中小企業ならではの課題を3つ紹介します。
テレワーク導入による費用対効果が不明瞭
テレワークの導入には、各種ITツールの導入や業務フローの整備、現場への広報や浸透など、費用も人的コストもかかります。 テレワークの導入によって、最終的に会社のコスト削減や生産性向上に繋がるといった期待は持てるものの、どうしても導入当初にかかるコストに目が行きがちです。
厚生労働省や経済産業省では、中小企業を対象としたテレワーク助成金や補助金を用意しています。これにより、コスト面において工夫次第で多少の工面はできるものの、テレワーク導入による費用対効果を適切に上層部へ説明できないと、メリットが見出せずテレワーク導入へ至らないことがあります。
「導入できない」と最初から決めつけてしまう
どのような業態の企業でも、業務の全てをテレワークにすることは難しいのが実情です。 建設業や小売店などモノを取り扱う業態の場合は、どうしても職場に出勤する必要があり、「テレワークはウチの会社ではできない」と最初から決めつけてしまうことがあります。
確かに、業態によっては業務の全てをテレワークにできませんが、例えば卸・小売業であれば受発注業務を電子化したり、決済処理に決済システムやキャッシュレス端末を導入したりするなど、業務の一部をテレワークにできる余地があります。
テレワークの導入をはじめから検討しなければ、「テレワークをしないと生じる課題」というものにも気づけません。 まずは、事務作業や経理作業など、業務の一部分だけでもテレワーク化する検討を進めてみることをおすすめします。
ITに関する知識を持っている人がいない
テレワークを導入する場合、PCやソフトウェア、ネットワーク環境からITツールまで、さまざまな知識や情報が必要になります。 「テレワーク用PCとして、どの程度のスペックが必要になるのか」「テレワークに耐えられるだけの社内ネットワーク環境は整っているか」「テレワーク用に導入するソフトウェアやITツールは、自社にとって何が適しているのか」など、考えなければならないことは多々あります。
ITに関する知識を持っている人がいないと、これらの検討を進めようにも進められず、結果的にテレワークをしないという選択をしてしまいがちです。
テレワークが導入しやすい企業の特徴
中小企業、大企業問わず、テレワークが導入しやすい企業にはいくつかの特徴があります。
次のような特徴に当てはまる企業であれば、スムーズにテレワークが導入できるでしょう。
IT企業
IT企業は、コロナが流行する前からテレワーク導入が進んでいた業態であり、テレワークと業務の親和性が高いのが特徴です。
また、社員のITリテラシーが全体的に高く、テレワークを導入する障壁が少ないという特徴もあります。
営業職が多い企業
不動産業界や人材業界など、営業職が多い企業は「移動時間がなくなることで商談件数が増加する」「商談履歴をシステムで蓄積し、商談効率の改善が図れる」「出張費などの実費コストが削減できる」など、テレワークの導入による恩恵が多いです。 そのため、テレワークを導入するメリットが分かりやすく、導入に至りやすい傾向にあります。
また、テレワークを導入すると、仕事ぶりが見えにくくなるといったデメリットがありますが、営業職であれば「契約を取ってきたかどうか」で成果が一目瞭然なため、部下のマネジメントもしやすいという特徴があります。
クリエイティブ系の企業
テレワークは、一人で業務の大半が完結するような仕事と相性が良いです。 そのため、デザイナーやライターなどのクリエイティブ系の業務が主な中小企業では、テレワークが導入しやすいと言えます。
クリエイティブ系の企業であれば、案件進捗管理の方法さえしっかりと設計できれば、すぐにでもテレワークを導入できるでしょう。
テレワークを導入するメリット
テレワークの導入は、業務を円滑に進めるための手段にすぎません。 テレワーク導入の本来の目的をしっかりと認識しておくためにも、改めてメリットについて理解しておきましょう。
生産性の向上が期待できる
テレワークの導入は、業務効率や生産性を向上といった期待ができます。
例えば、以下のような無駄な時間の削減に繋がります。
- 営業職:オンライン商談により移動時間が浮くので、その分営業活動に割ける時間が増える
- 事務職:電子承認システムの導入により、上司のハンコをもらう時間が短縮でき、 対応できる事務作業量が増える
上記以外の職種においても、生産性の向上が期待できます。
派生して、残業時間の抑制や会社業績の向上など、さまざまなメリットにも繋がるでしょう。
人材不足の解消
中小企業では、しばしば人材不足が嘆かれていますが、テレワークの導入により解消できる可能性があります。
国土交通省が令和3年に発表した調査結果によれば、「自宅でテレワークを実施したい」と回答した人は全体の約78% でした。
つまり、テレワークを実施している企業として採用広報で打ち出せば、魅力的な企業として評価され、転職希望者の応募が増えるかもしれないのです。
また、既存社員にとっても、テレワークにより働きやすさが向上するため、離職に意識が向かなくなることや、女性社員のライフステージの変化による退職の抑制にも繋がります。
参考:令和2年度テレワーク人口実態調査-調査結果-|国土交通省(外部サイト)
コスト削減
テレワークを導入することで、「オフィス賃料」「電気光熱費」といった固定費や、「交通費・出張費」「印刷代」などの変動コストの削減が可能です。
特にオフィス賃料については、企業によっては毎月の支出として多額になっている企業があるかもしれません。
テレワークを導入し、適切なオフィスに移転すれば、毎月数十万〜数百万単位のコスト削減に繋げる余地があります。
中小企業がテレワークを導入する前に考えるべきこと
中小企業がテレワークを導入すると、様々なメリットがありますが、あらかじめ検討しておくべきポイントがあります。
ただ「良さそうだから」という理由だけでテレワーク推進をしてしまうと、思わぬトラブルに繋がりかねませんので、必ず確認しておきましょう。
従業員のコミュニケーション方法
テレワークの日数を増やせば、従業員は出社をしなくなるため、従業員同士のコミュニケーションは希薄になってしまいます。
コミュニケーションが不足すれば、会社への帰属意識が薄れるだけでなく、通勤時間分の空いた時間で転職活動をされるといったリスクにも繋がるかもしれません。
適度なコミュニケーションを維持し続けるためにも、上司と部下で一対一のオンラインミーティングを行う1on1や、部署のオンライン飲み会を実施するなど、あらかじめ対応方法を考えておきましょう。
評価基準の見直し
テレワークになると、社員の顔が物理的に見られなくなるため、「誰がどれくらい頑張っているのか」が把握しにくくなります。
テレワークになっても公平な評価を続けるため、特にマネジメント陣を中心に、部下の評価基準の目線合わせを行なっておくのが大切です。
セキュリティ対策の徹底
テレワークで業務を行うということは、会社が保有している情報資産や個人情報がサーバー上で管理されることに繋がります。
また、従業員はどこでも仕事ができるため、PCの画面を第三者に見られてしまうリスクも考えられます。
個人情報の漏えいが万が一にでも起きてしまえば、事業には大きな痛手となります。 サイバー攻撃などのリスクに備えるためにも、VPN(Virtual Private Network:仮想専用線)対策やセキュリティ対策ツールの導入などセキュリティ対策の徹底が急務です。
労働環境の整備を行う
テレワークでは、自宅で部下が離席していたとしても、上司は把握が困難です。
タスクを期限通りにこなせるのか、真面目に働いているのかを把握するためにも、業務の進捗共有の方法を事前に整備しておくことが重要です。
ただ、「常にビデオ会議でカメラをオンにする」などといった強制的な監視をしてしまうと、テレワークが返ってストレスの原因となる可能性が考えられます。
「どこまで従業員を信じ、どこまで上司が管理するのか」の事前設計が、テレワーク導入後の業績を左右するといっても過言ではありません。
テレワークにおすすめのツール
テレワークを導入するのであれば、ITツールや貸与PCの準備が必要です。
ここでは、特にテレワークにおすすめのツールについてご紹介します。
チャットツールやWeb会議ツール
従来のようなメールでのコミュニケーションだと、どうしても細かなニュアンスが伝わらなかったり、連絡速度が遅くなってしまったりなどが考えられますので、その場合チャットツールの導入がおすすめです。
また、対面での会議ができませんので、複数人が一度にオンライン上で集まって会話できるような、Web会議ツールも必須となります。
勤怠管理ツール
従業員がどれだけ働いているのかを管理することは、労務上必要不可欠ですので、勤怠管理ツールの導入も検討すべきです。
勤怠管理ツールでは、従業員の出退勤時間の保存だけでなく、PCのログイン・ログアウトの時間を自動で記録したり、勤務時間中にどのアプリケーションをどのくらい使っていたかをグラフにするなどの機能があります。
どんな管理をしたいかによって、利用する勤怠管理ツールは変わってきます。
ノートPC
私用のPCをテレワークで使わせるのは、セキュリティリスクの観点で避けるべきです。 テレワークを導入するのであれば、法人用のノートPCを貸与し、セキュリティ対策と業務効率の向上を両立させましょう。 ドスパラプラスなら、業務内容や従業員人数などに応じて、適したスペックのノートPCのご提案が可能です。
セキュリティ対策ツール
セキュリティ対策ツールの導入も検討しましょう。クラウド型IT資産管理+セキュリティ対策ツール「ISM CloudOne」なら、 テレワーク用の貸出機はもちろん、営業先への持ち運び用端末など遠隔地にあるPCやスマートデバイスを国内外を問わず、一元管理できます。エンドポイントに内在するセキュリティリスクを自動で見える化できるなど高機能で、世界55か国以上で利用されています。
まとめ
テレワークは、人材や資金が限られている中小企業こそ行うメリットがありますので、「分からない」という理由だけで導入をしないのは、業務棄損に繋がります。 ただ、本記事の内容を理解した上でテレワークを導入しないと、逆に事業に悪影響をもたらしかねません。
テレワークに適したPCや周辺機器などの選び方でお困りの方は、ドスパラプラスまでお問い合わせください。