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【2025年最新】科研費とはなにか?直接経費や間接経費の違いと申請のプロセスを徹底解説
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科研費を活用することで、充実した研究を行うことが可能です。科研費が増えたことを理由に、スペックの高いPCを用意したい方もいるのではないでしょうか。
この記事では、科研費のなかでも研究者が気になる「経費」や「申請のプロセス」について解説します。申請から支給までのプロセスに加えて、科研費でPCを導入する注意点やポイントも解説します。研究活動を充実させるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
科研費の応募資格
科研費に応募するためには、以下に挙げる要件をすべて満たす必要があります。
| 番号 | 満たすべき要件 |
| 1 | 研究機関に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として、所属する者(有給・無給、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイムの別を問わない。また、研究活動そのものを主たる職務とすることを要しない。)であること |
| 2 | 当該研究機関の研究活動に実際に従事していること(研究の補助のみに従事している場合は除く。) |
| 3 | 大学院生等の学生でないこと(ただし、所属する研究機関において研究活動を行うことを本務とする職に就いている者(例:大学教員や企業等の研究者など)で、学生の身分も有する場合を除く。) |
| 4 | 府省共通研究開発管理システム(e-Rad)において、「科研費の応募資格有り」として研究者情報が登録されている研究者であること |
| 5 | 科研費やそれ以外の競争的研究費等で、不正使用、不正受給又は不正行為を行ったとして、公募対象年度に「交付の対象としないこと」とされていないこと |
出典:文部科学省、独立行政法人日本学術振興会「科研費ハンドブック~より有効に使っていただくために~(研究者用)2025年度版(外部リンク)」
実際には大学、国や自治体が設ける研究機関、企業が設ける研究所に所属する研究者が申請することになるでしょう。
科研費の採択率
日本学術振興会は、科研費の応募件数や採択件数、採択率を年度ごとに公表しています。令和に入ってからの実績は、以下のとおりです。
| 年度 | 採択率 | 採択件数(新規) | 応募件数(新規) |
| 令和元年度 | 28.4% | 28,892件 | 101,857件 |
| 令和2年度 | 27.4% | 28,569件 | 104,158件 |
| 令和3年度 | 27.9% | 26,550件 | 95,208件 |
| 令和4年度 | 28.6% | 26,435件 | 92,470件 |
| 令和5年度 | 27.5% | 24,809件 | 90,089件 |
| 令和6年度 | 27.3% | 25,699件 | 94,280件 |
出典:独立行政法人日本学術振興会「科研費の主な研究種目における応募件数、採択件数、採択率の推移(外部リンク)」
応募件数の多寡に関わらず、採択率は27.3%(令和6年度)、4件に1件程度となっています。科研費を受け取るためには、応募件数のうち上位25%に入る優れた内容の申請を行わなければなりません。
科研費の採択率は、研究種目ごとに異なります。詳細については、科研費データ(外部リンク)をご確認ください。
科研費の直接経費
直接経費は、補助対象となる研究課題の遂行に活用する経費です。研究成果の取りまとめに必要な経費を含みます。
直接経費で支出できる項目
文部科学省や日本学術振興会は、直接経費で支出できる項目を指定していません。研究者が補助対象となる研究課題の遂行に必要とみなせば、支出できます。物品の購入費、旅費、人件費や謝金など、幅広い項目に対して支出可能です。
但し支出する際には、所属する研究機関等のルールに従う必要があります。社会通念上、妥当とみなされる支出内容であることも必要です。文部科学省や日本学術振興会から説明を求められた場合、納得できる説明を行えることも求められます。
また以下の項目は、直接経費から支出できません。
- 建物等の施設に関する経費(整備費や管理費などは、間接経費で支出可能)
- 事故・災害の処理のための経費
- 研究代表者または研究分担者の人件費・謝金(間接経費で支出可能)
- 学術誌の購読費や研究の広報活動費など、間接経費で支出すべき項目
直接経費で支給される金額
直接経費で支給される金額は、申請内容をもとに審査で決定されます。もし余った場合は返還しなければなりませんが、余剰額が生じたことによりその後の科研費の審査で不利になることはありません。
なお直接経費が300万円以上となった場合は、前期(4月~9月)と後期(10月~翌年3月)の2回に分けて請求する必要があります。
科研費の間接経費
科研費には、直接経費と別に「間接経費」も支払われます。間接経費は研究機関に向けて、以下の目的で支払われる経費です。
- 研究者の研究開発環境を改善する
- 研究機関全体の機能を向上する
間接経費で支出できる項目
日本学術振興会は、間接経費の使用例を以下のように示しています。
- 人件費
- 設備の共用のための技術職員の配置、共用設備の整備
- 施設費(整備費、管理費など)
- 設備費(購入費、運用経費など)
- 図書館費(施設整備費、維持費、管理のための経費)
- 学術誌の購読費や論文投稿費(論文処理費)
- 共用して使用するコピー機・プリンタなどの消耗品費
- 研究の広報活動費
- 競争的研究費に関する管理事務の必要経費
- 特許出願費用、弁理士費用、審査請求費用など
出典:文部科学省、独立行政法人日本学術振興会「科研費ハンドブック~より有効に使っていただくために~(研究者用)2025年度版(外部リンク)」
間接経費は、上記に挙げた項目に限りません。研究活動を支援し、研究環境の整備に関する費用であれば支出可能です。
間接経費で支給される金額
間接経費で支給される金額は、直接経費の30%にあたる金額です。直接経費が多いほど、間接経費も増える仕組みです。
直接経費と間接経費の相違点
科研費の直接経費は研究の遂行に直接かかわる経費に対して、研究者が使用できます。一方で間接経費は研究環境の整備などに関わる経費に支出でき、研究者が所属する組織が使用できます。
日本学術振興会は直接経費と間接経費の相違点を、以下のように示しています。
- 直接経費は、研究に必要な物品の購入費、旅費、人件費・謝金及びその他(当該研究を遂行するために必要な経費)に使用することができます。
- 間接経費は、研究機関の管理等に必要な経費として、研究機関において執行するものです。
出典:独立行政法人日本学術振興会「直接経費の費目別内訳の入力(外部リンク)」
直接経費か間接経費か、迷う項目の判定方法
支出項目によっては、直接経費で支出できるか間接経費にすべきか、迷うケースがあるかもしれません。実験や調査に使う機器は、その一つに挙げられます。同じ機器を購入した場合でも、用途によって直接経費になるか間接経費になるか分かれるためです。
購入予定の備品や設備が科研費を申請した研究テーマでの活用にとどまる場合は、直接経費として扱ってよいでしょう。科研費を申請した研究の合間に、他の研究で使う場合も直接経費として扱うことが可能です。
一方で購入した備品を多種多様な研究活動で共同利用する場合、直接経費として支出することはふさわしくありません。この場合は、間接経費としての支出を検討することになります。
科研費での支出に注意が必要な項目
どのような費用でも、科研費で落とせるとは限りません。ここからは科研費で支出できない、または支出する際に注意を要する項目を紹介します。
科研費の対象とならない支出項目
科研費は、研究の遂行を支援する目的で支給される金銭です。以下の項目は採択された研究内容と関係ないため、科研費の対象となりません。
- 採択された研究と無関係の支出項目
- 教育を目的とする支出項目
- 研究者が自宅において、私用で使うIT機器
- 研究者を訪問する際の手土産代
支出した全額すべてを申請できないケース
科研費の対象となる活動であっても、支出した金額すべてを申請できないケースがあります。一例として科研費の対象となる研究課題を発表するため、学会に出席するケースが考えられます。学会に出席した後、以下に挙げる活動を行う場合は、延長部分の交通費や宿泊費は科研費の支出対象とならないことに注意してください。
- プライベートで旅行する
- 実家に帰省する
- 科研費の対象外となる研究活動を行う
科研費の申請から支給までのプロセス
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科研費は、所定の手続きを経て申請する必要があります。ここからは申請から支給までのプロセスを、4つに分けて紹介します。
1.公募内容の確認と申請
まずは公募要領(外部リンク)などを参照して公募内容を確認しましょう。そのうえで、研究内容など申請すべき内容を整理してください。申請にあたり記入すべき項目も、事前に準備しておくことをおすすめします。以下の項目は、事前に済ませておきましょう。
- 応募資格の確認
- 研究者情報登録の確認(所属する研究機関の担当者に確認する)
- e-RadのID・パスワードを取得(所属する研究機関から付与される)
- 研究や科研費に関するスケジュールの確認
- 研究代表者、研究分担者について、氏名や所属等の確認
応募期間終了後に、応募書類を修正することはできません。申請内容に誤りが無いことを、入念にチェックしてください。
2.審査および結果の通知
申請後、科研費の審査が行われます。審査終了後に採択課題が決定され、結果の通知が行われます。
なお科研費の通知には、「審査結果通知」と「内定通知」があります。審査結果通知では採択・不採択が、科研費電子申請システム(外部リンク)上で通知されます。但し採択された場合でも、内定通知日以前の契約や支出には科研費を使えません。
3.交付申請
科研費は採択されれば、自動的に金銭が交付されるわけではありません。交付内定を受けた方は、決められた期日までに交付申請書等を提出する必要があります。科研費電子申請システムにログインして、経費の項目など必要な情報を入力してください。また事前に、振込先口座が正しいことを確認してください。
研究種目によっては、交付内定日から交付申請書等の提出期限が短い場合もあります。事前に日本学術振興会の公式サイト(外部リンク)などで、交付申請の締切日を確認してください。
4.科研費の支給
交付申請の内容に問題がなければ、科研費が指定した口座に振り込まれます。支払予定額の一覧は、科研費電子申請システム(外部リンク)の「振込額データ等出力」で確認できます。
科研費の申請スケジュール
科研費は、1年に1回申請の機会が設けられています。申請スケジュールは、研究種目別に分かれています。令和8年度(2026年度)のスケジュールは、以下のとおりです。
| 研究種目 | 公募期間 | 審査結果通知 | 交付内定 |
|
特別推進研究基盤研究(S) |
2025年4月11日~6月17日 |
2026年2月中旬 |
2026年4月上旬 |
| 学術変革領域研究(A)(公募研究) 基盤研究(A・B・C) 若手研究 奨励研究研究成果公開促進費 |
2025年7月14日~9月17日 |
2026年1月末~3月下旬(研究種目により異なる) |
2026年4月上旬 |
| 挑戦的研究(開拓・萌芽) | 2025年7月14日~9月17日 | 2026年6月30日 | 2026年6月30日 |
基盤研究(A・B・C)などの審査結果通知時期は、以下のとおりとなっています。
| 研究種目 | 審査結果通知 |
| 奨励研究 | 2026年1月30日 |
| 学術変革領域研究(A)(公募研究) | 2026年2月中旬 |
| 基盤研究(A・B・C) 若手研究 |
2026年2月27日 |
| 成果公開促進費 | 2026年3月下旬 |
早い段階でスケジュールを確認して、申請漏れを防ぎましょう。
参照:科学研究費助成事業(科研費) スケジュール(外部リンク)
科研費でPCを購入する場合に押さえておきたい4つのポイント
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読者のなかには、科研費でPC(パソコン)を購入したいと考える方もいるのではないでしょうか。ここからは科研費でPCを購入するために押さえておきたい4つのポイントを確認していきましょう。
科研費の直接経費・間接経費どちらかに該当すること
PCはさまざまな用途に使える機器ですから、申請の提出時や事後の監査を受けた際に厳しくチェックされる可能性があります。購入するPCは、科研費の研究に直接関係するものでしょうか。あるいは、研究の環境を改善するものでしょうか。どちらかに該当する場合は、科研費の活用を検討するとよいでしょう。
研究活動で必要な性能を備えること
購入するPCは、研究活動で求められる性能を備えていることが求められます。安価なPCは多数販売されていますが、研究活動に支障をきたすのでは無駄遣いになってしまいます。必要なスペックを確認したうえで、要件を満たすPCを選びましょう。そのうえで、より安い製品を選ぶよう努めてください。状況によっては、型落ち品(新製品の発売により、最新型でなくなった商品)を狙うこともおすすめです。
弊社では法人向けに、パソコンをはじめとしたIT機器の購入窓口を用意しています。要望に沿った個別最適化されたPCを提供でき、見積書も発行できることはメリットの一つです。PCの購入をお考えの方は、問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
購入時の証拠書類を保存する
科研費は税金から支出されています。このため、適切に支出したことを証明する証拠書類を保管したうえで、実績報告の際に写しを提出しなければなりません。証拠書類の代表例として、「領収書」「見積書」「納品書」「請求書」「クレジットカードの明細書」などがあります。宛名は研究代表者の氏名としてください。また証拠書類には、日付が入っていることを確認しましょう。
科研費が支給されるまでのやり繰り
科研費でPCを購入する場合は、いったん立て替え払いを行ったうえで、後日科研費の支給を受ける場合があります。PCの代金をクレジットカードで支払った場合でも、科研費が支給される前に引き落とし日が到来するかもしれません。高価なPCを購入する場合は、科研費が支給されるまでのやり繰りをどうするか、事前に考えておく必要があります。















