ChatGPTのプロンプトとは？できることや作成のポイント、活用例を解説

この記事では、ChatGPTのプロンプトの概要や、プロンプトを活用してできること、できないことを解説します。

ChatGPTのプロンプトを作成する際のポイントや具体的な活用例もあわせてお伝えします。

ChatGPTのプロンプトとは何か知りたい方や、業務への活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

ChatGPTのプロンプトとは？

ChatGPTのプロンプトとは、ユーザーからChatGPTへの指示を指します。

具体的には、ChatGPTを活用するときにチャット欄に入力する文章がプロンプトです。

ChatGPTでは、ユーザーがプロンプトを入力することで、ChatGPTがプロンプトに沿った回答を行います。

プロンプトを工夫すれば、文章作成や校正校閲、情報の検索などのさまざまなタスクを実行できるため、業務効率の改善や自動化を目的にChatGPTを活用する企業も増えています。

プロンプトの重要性

ChatGPTの回答の質は、プロンプトに左右されます。

プロンプトでどのような情報を要求するか、またはどのような操作を実行させるかを的確に指示することで、問いかけに合った内容の回答を得られます。

裏を返せば、質の低いプロンプトだと、ChatGPTから誤った情報や求めるものとは異なる情報が出力される可能性があるということです。

そのため、ChatGPTを活用して具体的かつ有用な回答を得るには、プロンプトの仕組みや作成するうえでのポイントを把握し、実行しなければなりません。

この記事では、ChatGPTのプロンプトで最適な回答を得るためのポイントや活用例も解説するので、ぜひ参考にしてください。

ChatGPTでできること

ChatGPTは、ユーザーが入力したプロンプトを正確に把握する自然言語処理能力と、文章生成能力に長けているため、テキストを用いたさまざまなタスクを実現できます。

具体的には、以下のとおりです。

• コンテンツ作成（レポート・論文・小説・記事・報告書・議事録など）
• 翻訳
• 校正・校閲
• 対話
• 情報検索
• プログラミング
• データを元にした意見形成（企業分析・新規事業の立案など）

このほかにさまざまなタスクの実行が可能で、生産性の向上や業務効率化につながることから、今後も幅広い分野での活用が予想されています。

ChatGPTでできないこと

ChatGPTは、幅広いタスクの効率化や自動化を実現できる一方で、できないこともあります。

たとえば、個人に関する情報は学習していないため、特定の個人情報に関する回答はできない場合があります。

また、医療や法的な助言、未来の予測などは、技術的な制約または政策上の理由により回答できない場合があり、仮に回答があっても正しい情報とは限らないので注意が必要です。

ChatGPTのプロンプトで最適な回答を得るためのポイント

ChatGPTで最適な回答を得るには、プロンプトの工夫が重要です。

例を交えて具体的なポイントを解説するので、ぜひ実践してみてください。

具体的な指示を出す

ChatGPTに具体的な指示を出すことで、効率的に精度の高い回答を得られます。

たとえば「肉じゃがのレシピを教えてください」というプロンプトよりも「肉じゃがを作るために必要な具材と具体的な調理手順を教えてください」といったプロンプトのほうが、適切で詳細な回答を得られます。

また「回答は箇条書きでお願いします」のように、回答の具体例を補足で付け加えると、より希望に沿った回答を得られるので、出力方法を指定したい場合は、プロンプトで指示を出しましょう。

表現方法・立場・出力形式などの条件を与える

特定の表現方法や立場、出力形式などの条件を含めたプロンプトも有用です。

たとえば「教育者の視点で、近年導入されているオンライン授業の利点を説明してください。メリットが複数ある場合は、箇条書きで回答してください」といったように、具体的な立場や形式を要求すると、ChatGPTは要求に応じて回答を生成します。

また、語調を「だ・である調」や「です・ます調」に指定することも可能なので、特定の語調でコンテンツ作成を行いたい場合は、プロンプトで指定しましょう。

指示と文脈で分ける

前述した2つのポイントに加えて、プロンプトを指示と文脈で分けることで、より質の高い回答を得られます。

たとえば、先ほどの「肉じゃがを作るために必要な具材と具体的な調理手順を教えてください」といったプロンプトに立場や出力形式を加え、指示と文脈で分けると、以下のようになります。

「あなたは料理専門家です。料理番組用に肉じゃがのレシピをまとめるように頼まれました。肉じゃがを作るために必要な具材と具体的な調理手順を箇条書きで挙げてください」

「あなたは料理専門家です。料理番組用に肉じゃがのレシピをまとめるように頼まれました」が文脈で、「肉じゃがを作るために必要な具材と具体的な調理手順を箇条書きで挙げてください」が指示です。

このように、プロンプトにより具体性を持たせて指示と文脈で分けることで、ChatGPTが文章を把握しやすくなり、適切な回答を生成してくれる確率が上がります。

追加で質問・命令する

一度の質問で最適な回答を得られなかった場合は、追加で質問・命令しましょう。

たとえば、先ほどの「教育者の視点で、近年導入されているオンライン授業の利点を説明してください」というプロンプトに対する回答に、理由や具体性が欠けていた際には「理由を含めてさら詳しく回答してください」や「具体例を3つ挙げてください」のように追加で指示を出すことで、より具体的な回答を得られます。

ChatGPTの代表的なプロンプトシステム

ChatGPTの代表的なプロンプトシステムには「深津式プロンプトシステム」と「ゴールシークプロンプト」があります。

深津式プロンプトシステム

深津式プロンプトシステムは、note株式会社の深津貴之氏が考案したプロンプトシステムで、ChatGPTに的確な指示を出し、質の高い回答を得ることを目的に作られました。

深津式プロンプトシステムは、以下の3つの要素で構成されています。

• 命令書：ChatGPTに具体的な指示を出す部分
• 制約条件：表現方法や出力形式などの条件を要求する部分
• 入力文：キーワードや要約する文章、出力形式の例示を記載する部分

深津式プロンプトシステムを活用して作成したプロンプトの具体例は、以下のとおりです。

このように、プロンプトを3つの要素に分けて指示を出すことで、ChatGPTがプロンプトの中身を正確に把握できるようになります。

ゴールシークプロンプト

ゴールシークプロンプトは、変数を使って文章に制限や踏むべきステップを加え、ユーザーが求めるゴールに近づける手法です。

ゴールシークプロンプトを活用して作成したプロンプトの具体例は、以下のとおりです。

上記のように、目指す目標（ゴール）と、その目標を達成するためのステップをプロンプトで入力することで、ChatGPTからゴールへの道筋の候補を提示してもらうのがゴールシークプロンプトの考え方です。

ゴールシークプロンプトを活用することで、よりユーザーの求める回答を正確に導き出せます。

ChatGPTに利用が可能なプロンプトエンジニアリング

ここでは、ChatGPTに利用が可能なプロンプトエンジニアリングの概要から具体例まで解説します。

プロンプトエンジニアリングは、ChatGPTに最適な指示を送るためのテクニックのひとつなので、把握しておきましょう。

プロンプトエンジニアリングとは？

プロンプトエンジニアリングとは、ChatGPTなどの自然言語処理を担うAIモデルを効率的に活用するために、プロンプトを最適化する学術分野です。

ChatGPTのプロンプトの質によっては、人間の意図通りのテキスト生成を行わなかったり、誤った情報を出力したりしますが、プロンプトエンジニアリングを活用することで、回答や生成物の品質を向上させられます。

以下は、ChatGPTで利用が可能なプロンプトエンジニアリングです。

Zero-shot Prompting

Zero-shot promptingは、ChatGPTに事前知識や具体的な例を与えずに、質問を直接提示するプロンプトエンジニアリングを指します。

ChatGPTは膨大なデータを学習しているため、Zero-shot promptingでも適切な回答を提供してくれます。

Zero-shot promptingの具体例は、以下のとおりです。

• 日本の首都は？
• 東京の人口は？
• アメリカの大統領は？

Chain-of-Thought Prompting

Chain-of-Thought promptingは、複数のステップを経て問題解決を行うプロンプトエンジニアリングです。

Chain-of-Thought promptingの具体例は、以下のとおりです。

• Aさんはりんごを3つ、みかんを5つ持っていました。
• AさんはBさんにりんごを1つ、みかんを3つあげました。
• 現在、Aさんはりんごとみかんをそれぞれいくつ持っているでしょうか？

上記のプロンプトを与えることで、元となる文章を参考にして、新しい文章（回答）を生成します。

Zero-shot CoT

Zero-shot CoTは、Zero-shot promptingとChain-of-Thought promptingを組み合わせたプロンプトエンジニアリングです。

Zero-shot CoTの具体例は、以下のとおりです。

• 以下の問題をステップごとに考えて計算してください
• 3＋2*5＝？

上記のように、最初にステップごとに考えて計算するように指示することで、以下のような回答を得られます。

• ステップ1：乗算を先に行います。なので、2*5は10となります。
• ステップ2：その結果を加算の部分に代入します。なので、3 + 10となります。
• ステップ3：3 + 10は13となります。
• したがって、3 + 2*5は13となります。

ただ解を出すのではなく、どのように計算したのか明確に出力してくれるのがメリットです。

計算問題だけでなく、論理的な問いに対してZero-shot CoTを活用すれば、どのように思考したのか教えてくれます。

Few-shot Prompting

Few-shot promptingは、ChatGPTに複数の具体的な例を与え、それを基にしたタスクを実行させるプロンプトエンジニアリングです。

特定の条件がある場合や、少量のデータしか所有していないケースで使用できます。

Few-shot promptingの具体例は、以下のとおりです。

• 例文1：猫→cat
• 例文2：犬→dog
• 例文3：ぶどう→grape
• りんご→

上記のプロンプトを与えることで、ChatGPTは、3つの例文からりんごの英訳の出力が必要だと判断し、プロンプトへの回答として「apple」を出力します。

Generate Knowledge Prompting

Generate Knowledge Promptingは、ChatGPTに知識を与えて回答の質を高めるプロンプトエンジニアリングです。

Generate Knowledge Promptingの具体例は、以下のとおりです。

• Question：東京都と埼玉県はどちらの方が大きいですか？東京都or埼玉県で答えてください。
• Knowledge：東京都の面積は2,194 km²で、埼玉県の面積は3,798 km²です。

上記のように質問だけでなく知識を与えることで、ChatGPTは知識を基にした回答を行います。

特定の問題に関する深い洞察や詳細な情報を生成するのに役立ちます。

Self-Consistency

Self-Consistencyは、ChatGPTからの回答の一貫性を保つためのプロンプトエンジニアリングです。

Self-Consistencyの具体例は、以下のとおりです。

• 問題：Aさんは3個の飴を持っています。Bさんに飴を1個あげました。Aさんの持っている飴はいくつになりましたか？
• 回答：最初にAさんが持っていた飴は3個です。そのあと1個あげたので、3 -1＝2個です。
• 問題：犬が5匹います。しかし、2匹逃げました。帰る途中に1匹戻ってきました。犬は、今何匹いますか？
• 回答：最初にいた犬の数は5匹です。その後2匹逃げたので、残りの犬の数は5 -2＝3匹です。しかし、帰る途中に1匹戻ってきたので、現在の犬の数は3 + 1=4匹です。
• 問題：ケーキが4つあります。途中で2個食べました。帰りにケーキ屋さんで3個買いました。現在のケーキの数はいくつですか？
• 回答：

上記のプロンプトに対しての回答は、以下のとおりです。

• 最初にケーキが4つあったところ、2つ食べたので、4 - 2 = 2つのケーキが残りました。その後、ケーキ屋さんで3つケーキを買ったので、2 + 3 = 5つのケーキが現在あることになります。

複数の問題と解答の例を提示することで、ChatGPTは一貫した回答を生成するようになり、回答の信頼性を向上させられます。

ReAct

ReActは、Thought（考え）・Action （行動）・Observation （観測）の3つの要素からより正確な回答を得るためのプロンプトエンジニアリングです。

ReActの具体例は、以下のとおりです。

• プログラミング初心者がプログラミングスキルを取得する方法を教えてください。
• Thought：
• Action：
• Observation：

上記のプロンプトに対する返答は、以下のとおりです。

• Thought：プログラミング初心者がプログラミングスキルを習得するためには、まずは基本的な理解を深めることが重要です。さらに、プログラミング言語の選択、学習リソースの選択、実践的なプロジェクトに取り組むことなどが有効です。
• Action：初めてプログラミングを学ぶ人は、Pythonのような初心者に優しいプログラミング言語から始めると良いでしょう。次に、オンライン学習プラットフォーム（例えばCodecademyやCourseraなど）を使用して、プログラミングの基本を学びましょう。また、実践的なプロジェクトに取り組むことで、学んだスキルを実際の問題解決に生かす経験を積むことができます。
• Observation：プログラミングスキルの習得には時間と練習が必要です。学習を続ける中で、新たな概念を理解することが難しく感じるかもしれませんが、それは正常なプロセスです。困難を乗り越えるためには、毎日少しずつでもプログラミングを行うことが重要です。また、他のプログラマーとコミュニケーションを取ることも、新たな視点を得て問題解決のヒントを得たりするためには非常に有用です。

ChatGPTの活用例をプロンプトを交えて解説

ChatGPTの活用例をプロンプトを交えて解説します。

業務に活用できるものを中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。

文章要約

ChatGPTでは、元となる文章と条件を提示することで、要約を行えます。

具体的なプロンプトは、以下のとおりです。

上記のように、立場や制約条件を与えることで、希望に沿った出力を行ってくれます。

自社や自身の学んでいる分野に関連する論文・レポートを素早く理解するために活用するのもひとつの活用例です。

文章校正

ChatGPTでは、文章の要約だけでなく、誤字や脱字などの文章の校正も行えます。

今回は修正箇所を3点に絞っていますが、項目を増やすことでより精度の高い校正が可能です。

翻訳

ChatGPTでは、翻訳も可能です。

例では英文を日本語に翻訳していますが、日本語をフランス語に、フランス語を英語に翻訳することも可能です。

プログラミング

プログラミングコードの作成もChatGPTで行えます。

具体的なプロンプトは、以下のとおりです。

上記のようなシンプルなコードだけでなく、実際にシステムに実装できるようなコードも作成が可能です。

表の作成

データと項目を与えることで、表の作成も行えます。

「データはあるけどどのように表にまとめたらいいかわからない」といった時に、ヒントを得るために活用するのもひとつの活用方法です。

メルマガ作成

ChatGPTでは、販促に適したメルマガの作成も行えます。

上記ではターゲットのみ絞っていますが、目的やダウンロードしてもらいたい資料の詳細などをプロンプトで与えることで、より質の高いメルマガを作成できます。

キャッチコピー作成

キャッチコピーの作成もChatGPTで行えます。

商品の特徴や価格帯、ターゲット、パッケージのイメージなどを詳細にプロンプトで与えれば、より商品にあったキャッチコピーを提案してくれます。

キャッチコピー作成では、たくさんの案を挙げてそのなかから良いものを選定するので、ChatGPTからヒントを得るために活用するのもおすすめです。

会議のアジェンダ作成

ChatGPTに会議の目的や参加者などをプロンプトで与えることで、アジェンダを作成してくれます。

会議で決めたいことや前回の会議で決まったことなどもプロンプトに加えると、より的確なアジェンダを作成してくれます。

企業分析

企業分析にもChatGPTは活用できます。

今回はGoogleのSWOT分析を要求しました。

プロンプトを工夫すれば、企業の事業規模や業務内容なども回答してくれます。

ただし、前述のとおり、ChatGPTから得られる個人・法人の情報は正確でない場合があるため、出力された内容は、あくまで参考程度に留めておくと良いでしょう。

新規事業の立案

ChatGPTは、新規事業の立案にも活用が可能です。

今回は、大学生をターゲットとしたWebサービスの立案を要求しました。

上記では制約条件を2つに絞っていますが、さらに絞り込むことで、より具体性のある事業を立案してくれます。

ChatGPTを利用する際はプロンプトインジェクションに注意

プロンプトインジェクションとは、ChatGPTなどのAIモデルを狙ったサイバー攻撃の一種で、ChatGPTへの悪意のある指示を用いて不正利用する行為を指します。

たとえば、ChatGPTは性的な話題や戦争、政治などの問いには返答しない設定になっていますが、ユーザーが意図的にこの制限を解除するようにプロンプトで指示を出したり、特定の個人情報や機密情報を開示するようにプロンプトで要求したりといったものが、プロンプトインジェクションにあたります。

このようなプロンプトインジェクションを行うと、以降の質問に対して誤った情報や偏った情報が出力される場合があるため、プロンプトの設計と仕様には、最新の注意が必要です。

まとめ

この記事では、ChatGPTのプロンプトの概要からプロンプトを活用してできること、できないこと、ChatGPTで活用が可能なプロンプトエンジニアリングまで解説しました。

ChatGPTのプロンプトの質は、回答の質に直結します。

プロンプトの質が低いと、ChatGPTが誤った解答や偏った回答をしてしまう可能性があるので、今回紹介したポイントやプロンプトエンジニアリングを参考に、プロンプトを作成してみてください。

また、ChatGPTの活用例もプロンプトを交えて解説したので、ぜひ定型的な業務などに応用してみてください。