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水冷PCとは?利用するメリットとおすすめの水冷PC5選!
この記事では、水冷PCの概要、利用するメリット、水冷ユニットを構成するパーツについてわかりやすく解説しています。近年、効率的にPCパーツの冷却が行える水冷PCが注目を集めていますが、どのような仕組みかよく理解できないという方も多いでしょう。最後におすすめの水冷PCもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
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PCで温度管理が重要な理由
PCの温度は、「使用しているPCパーツ」「PCにかかる負荷」「PCケース内部のエアフロー」などさまざまな要因で変化します。一般的に、CPUをはじめとするPCパーツは、性能が高くなるほど発熱量が多くなりますが、熱に弱い傾向があるため、PCケース内部の温度上昇によりPC全体のパフォーマンスが低下し、場合によっては故障につながる恐れがあります。このため、行う作業に対して、PCの冷却性能が十分か、PCケース内部のエアフローは適切かを確認し、PCが安定して動作するように温度管理を行うことが重要です。
PCで温度管理がうまくいっていない場合の症状
PCで温度管理がうまくできていない場合の症状として、急に動作が重くなる、突然電源が落ちるなど、PCの動作が不安定になるケースがあげられます。あるいは、PC本体が手で触れられないほどの高温になるケースもあります。
これは、PC内部でCPU温度が高温になりすぎた場合に、CPUの処理性能を下げて消費電力を抑えつつ適正温度まで下がるように自動で動作する「サーマルスロットリング」と呼ばれる機能が働くためです。 サーマルスロットリングの機能が作動したのであれば、CPU温度が適正な水準を超えていることを示しているため、PCパーツ全体の冷却性能を改めて確認する必要があります。
水冷PCとは
水冷PCとは、CPUが発した熱をクーラント液と呼ばれる冷却液に伝導させ、熱を持ったクーラント液をポンプを利用してラジエーターまで送り、ラジエーターに取り付けたファンでPCケースの外に熱を排気する仕組みを持ったPCです。
PCパーツの中でも特に発熱量の多いCPUは、高温になりすぎた場合に前述のサーマルスロットリングの機能により、強制的に性能を制限されてしまいます。したがって、CPUの最大のパフォーマンスを発揮するには、発した熱をいかに冷却するかが大変重要になってきます。これまで一般的であった空冷PCでは、ヒートシンクとファンを利用してCPUの放熱を行っていましたが、大きな負荷がかかる高度な動画編集や3DCAD、3Dゲームなどの用途でPCを利用する場合には冷却性能が十分でなく、さらに効率的に冷却を行うために水冷PCが注目を集めています。
空冷と水冷の違い
空冷と水冷は、いずれもCPUから発生した熱を冷却する方法ですが、それぞれ熱の排出に異なる特徴があります。
空冷は、CPUの上に「ヒートシンク」を乗せて、CPUからヒートシンクに移動した熱をファンの風でPCケース内で対流させてから排出します。
一方、水冷は、CPUから発生する熱をクーラント液を介してラジエーターに移動し、PCケース外部へ排出します。空冷と水冷の違いは「空冷式と水冷式の違いは?メリット・デメリットや冷却方法について解説」で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
水冷PCの冷却の仕組み
水冷PCは、水冷ユニットを使用してCPUの冷却を行います。この水冷ユニットは、CPUから熱を吸収する「ヘッド」、クーラント液を貯めておく「リザーバータンク」、クーラント液の熱を放出する「ラジエーター」の各パーツを「チューブ」でつなぎ、「ポンプ」を使用してクーラント液を循環させることによりCPUを冷却する仕組みです。
水冷PCを利用するメリット
水冷の熱伝導は空冷よりも高いとされており、水冷ユニットは高い放熱効果を実現します。一般的に空冷は、搭載しているファンが熱を拡散させてしまうため、PCケース内に熱がこもってしまいますが、水冷はPCケース内に熱が拡散されることはありません。
ただし、空冷・水冷ともに、使用するパーツ、およびその配置により、PCケース内のエアフローが大きく変化するため注意が必要です。
また、水冷ユニットでは、ファンはラジエータ部分を冷やすために搭載されており、回転数が少なめで静音性に優れている製品が豊富です。一方、空冷式では、ファンの回転数を上げることでCPUの発熱量を抑えるため、製品によっては、静音性で水冷ユニットに劣る場合があります。
さらに、水冷ユニットでは、CPUの熱を吸収するヘッドが小型化されているため、PCケース内およびCPU周辺にスペースを確保できるとともに、メモリなどほかのPCパーツとの干渉リスクを軽減できます。
水冷PCを利用するデメリット
水冷PCは、冷却ユニットやラジエーターなどの複数のパーツで構成されているため、空冷と比較して高価になりやすいというデメリットがあります。
また、水冷ユニットではチューブを用いて各パーツをつなぎますが、チューブの劣化・破損によりクーラント液が漏れることで、ショートが発生しPCの故障につながるリスクを有しています。このため、水冷PCを使用する場合には、定期的にホースの点検が必要です。
本格水冷と簡易水冷(一体型水冷)とは
水冷ユニットは、「本格水冷」と「簡易水冷(一体型水冷)」の2つに分けられますので、それぞれ解説していきます。
本格水冷と簡易水冷の仕組み
「本格水冷」は、ヘッド、リザーバータンク、ポンプ、ラジエーター、ファンなどの各パーツが独立しており、購入後に自分で組み立てます。カスタマイズ性能に優れるとともに、本格水冷のみが備えるリザーバータンクは、予備のクーラント液を貯めておくことで高い冷却性能を発揮します。
一方、「簡易水冷(一体型水冷)」は、すでに組み立てがなされており、購入後にPCに取り付けてすぐに利用可能です。ヘッドにポンプが内蔵されているのが一般的で、構成は非常にシンプルといえます。
本格水冷と簡易水冷を選ぶときのポイント
本格水冷と簡易水冷を選ぶときのポイントとして、カスタマイズ性能、組み立てやメンテナンスの手間などがあげられます。
本格水冷は、カスタマイズ性能に優れており、ヘッドを増やせばCPUだけでなくGPUの冷却が行えるとともに、ラジエーターやポンプの増設によりさらに冷却性能を高めることも可能です。
しかし、購入したパーツの組み立てや定期的なメンテナンスが不可欠で、簡易水冷と比較すると少し手間がかかります。
簡易水冷では、カスタマイズは制限されますが、組み立て済みのパーツを購入して取り付けるだけですぐ利用でき、また、メンテナンスフリーとして販売されている製品も多いことから、組み立てやメンテナンスにあまり手間をかけたくない方にもおすすめです。
重視するポイントによって、最適な水冷は変わってくるため、目的・利用環境に合わせて選択しましょう。
本格水冷と簡易水冷のメンテナンス方法
本格水冷と簡易水冷では、メンテナンス方法が大きく異なります。
まず、本格水冷では、時間の経過によりクーラント液が蒸発していくため、定期的にリザーバータンクを確認して水位が減っている場合には補充が必要です。また、メンテナンスの際には、チューブの破損や各パーツとの接続箇所からクーラント液が液漏れしていないか確認しましょう。液漏れは部品のショートにより故障のリスクがあるため、常に注意が必要です。
一方、簡易水冷は、クーラント液の蒸発を抑える素材のチューブが使用されており、定期的な補充は不要です。メンテナンス不要として販売されている製品も多くあるため、メンテナンスの手間を軽減したい方におすすめです。
ただし、本格水冷と同様に、クーラント液の液漏れによるPC故障リスクはあるため、まったくの放置ではなく、定期的に状態の確認をするのがよいでしょう。
簡易水冷の耐用年数
簡易水冷は、クーラント液が蒸発しにくいため補充の必要がなく、基本的にメンテナンスは不要です。
しかし、完全に蒸発を防ぐのは難しく、少しずつクーラント液の量は減っていきます。クーラント液が不足してくると、チューブ内に空気が混入し、冷却性能が低下するとともに、ポンプの故障リスクが高まります。
簡易水冷は、メンテナンスの手間はかかりませんが、パーツごとの交換が難しく、クーラント液を入れ替えることもできないため、パーツの故障、クーラント液の不足が明らかな場合には寿命を迎えたといえるでしょう。
簡易水冷のメーカー保証は、2年から3年と設定されているものが多く、耐用年数の目安は3年程度といわれます。
ただし、メーカー保証を6年としている製品もあることから、使い方・製品によっては5年以上利用できる場合もあります。
簡易水冷の交換のタイミングは、クーラント液の不足、ポンプの故障、チューブや接続箇所からの液漏れなどが想定されますが、簡易水冷の不具合によってPC本体の故障につながる恐れもあります。このため、日頃からCPU温度を測定し、冷却性能が落ちてきたと感じる場合には、早めに交換を検討しましょう。
水冷ユニットを構成するパーツ
水冷ユニットは、複数のパーツから構成されていますので、主要な構成パーツについてそれぞれ解説していきます。
ヘッド(水枕)
ヘッド(水枕)は、ウォーターブロックとも呼ばれ、CPUの発する熱を吸収し、クーラント液に熱を受け渡す機能を有しています。カスタマイズ性能に優れた本格水冷の場合には、ヘッドを増やすことでCPUだけでなくGPUも冷却可能です。一方、簡易水冷では、ヘッドにポンプを内蔵しているのが一般的で、本格水冷よりもヘッドのサイズは大きくなる傾向がありますが、空冷のCPUクーラーと比較すればサイズは小型といえます。
ポンプとリザーバータンク
ポンプは、水冷ユニット内でクーラント液を循環させる役割を果たしており、性能が高くなるほど水流が増えるため、高い冷却効果が期待できます。本格水冷の場合に採用されるリザーバータンクは、予備のクーラント液を貯めておくパーツで、時の経過とともに水位が減少していくため、定期的に補充が必要です。ポンプとリザーバータンクは、別々に単体としても販売されていますが、一体となっている製品も多くあります。
ラジエーターとファン
ラジエーターは、吸収した熱を放熱することにより冷却を行うパーツでヒートシンクとしての役割を果たしています。具体的には、CPUの発する熱をヘッドが吸収し、クーラント液に熱を伝導します。この熱を持ったクーラント液がチューブを経由してラジエーターで空気中に放熱し冷却されたのち、ポンプによって再びヘッドに向かいCPUを冷やす仕組みです。ラジエーターは、冷却効果を高めるためにファンと一緒に使用されることが多く、ラジエーターのサイズが大きく、ファンの数が増えるほど冷却性能が高まりますが、騒音が大きくなるとともにPCケースに収まらないことがあるため注意が必要です。
なお、本格水冷の場合には、ラジエーターの数を増やすことでさらに冷却性能を高めることも可能です。
簡易水冷の4つのラジエーターサイズ
PCケース側で、簡易水冷用のラジエーター取り付けに対応していると、ほかのパーツとの物理干渉のリスクが低い傾向があるのも魅力といえます。
簡易水冷は、主に以下の4種類のラジエーターのサイズが販売されています。
120mmラジエーター(120mmファン×1)
240mmラジエーター(120mmファン×2)
360mmラジエーター(120mmファン×3)
280mmラジエーター(140mmファン×2)
簡易水冷への交換を検討するときは、購入前にまず現在使用しているPCケースが上記のどのサイズに対応しているかを確認しましょう。 利用しているPCケースがどのサイズに対応しているかは、PCケースを販売するメーカーの公式サイト製品ページやマニュアルで調べることが可能です。
チューブ
チューブは、ヘッド・ポンプ・ラジエーター・リザーバータンクをつなぎ、クーラント液を循環させる役割を果たしています。ソフトタイプとハードタイプがありますが、どちらを使用する場合でもPCケースのエアフロー設計を妨げないように配置するのが重要です。
なお、ハードタイプは加工が難しいため、取り扱いやすさの点で初心者の方にはソフトタイプがおすすめです。
チューブと各パーツをつなぐときは、フィッティング(継ぎ手)と呼ばれる部品を使用しますが、接続がうまくできていないとクーラント液の蒸発や液漏れの原因になります。本格水冷の場合には、それぞれのパーツを自分で接続する必要があるため、慎重に組み立てを行いましょう。また、チューブの破損などにより液漏れが発生していないか定期的に確認するのも大切です。
クーラント液(冷却液)
クーラント液は、チューブを経由して水冷ユニット内を循環し、ヘッドがCPUから吸収した熱を受け取り、ラジエーターで放熱することにより、CPUの発熱を抑える役割を果たします。水冷ユニットを構成するパーツには、ヘッド、ラジエーター、フィッティングなど金属製のものが多いため、クーラント液には、長期間腐食やさびを防止するためにエチレングリコールなどの腐食防止剤が含まれています。また、エチレングリコールは凍結しづらい性質も有しています。
本格水冷の場合には、定期的にリザーバータンクの水位を確認し、クーラント液が少なくなってきたら補充する必要があります。ここで、水道水や精製水をクーラント液の代わりに使用しても冷却性能自体は低下しませんが、金属製のパーツの腐食やさびにより、水冷ユニットを傷めてしまい寿命短縮の恐れがあるため、補充する際には水冷用のクーラント液を使用するのがよいでしょう。
水冷ユニットの導入を検討するPCスペック
ここでは、高い冷却性能を有する水冷ユニットの導入を検討すべきPCスペックの目安について解説していきます。
CPU
Intel®製であればIntel® Core™ i7、Intel® Core™ i9、AMD製であればAMD Ryzen™ 7、AMD Ryzen™ 9といったハイエンドモデルのCPUで、理論上最大負荷時の消費電力である熱設計電力(TDP)が100W超の場合には、水冷ユニットの冷却性能を十分に期待できます。また、オーバークロックやTurbo Boost(外部サイト)などCPUに高い負荷をかけてPCを利用することがある方も、CPUが高温になりやすく高度な排熱処理が求められるため、水冷ユニットが適しているといえるでしょう。
なお、ミドルレンジモデルのCPUでも、静音性にこだわる場合には、水冷ユニットも選択肢となります。
GPU
近年、GPU(グラフィックボード)に対応した水冷ユニットも多く販売されるようになってきました。ハイエンドモデルのGPUでは、消費電力の増加とともに発熱量が高まるため、NVIDIA® GeForce RTX™ 4080 SUPER、NVIDIA® GeForce RTX™ 4090、AMD Radeon™ RX 7900XT、AMD Radeon™ RX 7900XTXなどを搭載したPCであれば、水冷ユニットの性能を発揮できるでしょう。
また、水冷ユニットのヘッドは空冷と比較し小さいため、PCケース内にスペースを確保できるメリットがあります。空冷から切り替えることで、これまで使用できなかったスロットが使用できる可能性があります。
水冷PCおすすめ5選
ここからは、冷却性能に優れた水冷ユニットを搭載した高スペックなおすすめのデスクトップPCを5つご紹介していきます。