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オンプレとは?オンプレミスとクラウドの違い・メリットとデメリット
オンプレはオンプレミスの略称であり、クラウドというキーワードとよく比較されるキーワードです。
しかし、読者の中には「そもそもオンプレミスが何かが分からない」「オンプレミスとクラウドの違いが分からない」といった疑問がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではオンプレミスの概要やオンプレミスの比較対象としてよく挙げられるクラウドとの違い、それぞれのメリットとデメリットについて紹介します。
目次
オンプレミスとは
ハードやソフトを自社環境で構築すること
オンプレミスとは、英語の「On the premises」という言葉から来ています。「プレミス(Premise)」は「店内」や「構内」という意味であり、オンプレミスで「構内で」という意味になります。日本語ではよく「オンプレ」と略すことが多いです。
「構内」というキーワードが表すとおり、オンプレミスはサーバーなどのハードウェアやアプリケーションなどのソフトウェアを自社の環境上で構築することを指します。具体的な一例としては、会社のサーバールームやデータセンターにサーバーを立ててそのサーバー内にプログラムをインストールし、各従業員が自身のパソコンからサーバー上にあるプログラムやアプリケーションを利用するといった形です。
クラウドと区別する言葉として一般化
元来、オンプレミスという考えは情報システムを構築するうえで唯一の考えであったため、「オンプレミス」という言葉自体は存在しませんでした。2006年頃からこのあと説明する「クラウドコンピューティング」という概念が提唱され、2010年頃にクラウドコンピューティングと区別するために「オンプレミス」という用語が一般的に用いられるようになりました。
クラウドとは
クラウドはオンプレミスと違い、自前でハードウェアやハードウェアを管理する施設を持たず、インターネットを介してサービスを利用する考え方です。「クラウドコンピューティング」の略称です。
クラウドは英語のCloud(雲)からきており、主に「クラウドコンピューティング」と呼ばれる「インターネットの外部ITリソース」や、外注を意味する「クラウドソーシング」の元となる「インターネットの向こう側の人的資源」といった意味があります。「一般的にはGoogle ChromeやMicrosoft Edgeといったインターネットブラウザを介してクラウドサービスを利用します。自前で環境を構築しなくてよいため、初期導入コストがかからないことが特長です。
クラウドについては「クラウドとは?クラウドの種類・メリットとデメリットについて解説!」で、詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
オンプレミスとクラウドの違い(比較表で解説)
オンプレミスとクラウドは、ハードウェアやソフトウェアが社内の環境にあるのか、社外にあるのかによって区別されます。前者がオンプレミス、後者がクラウドです。
オンプレミスとクラウドでは費用体系が異なります。オンプレミスは一から設備の購入やシステムの開発を行うため、多額の初期導入コストがかかるのに対し、クラウドは自前で環境を構築する必要がないため、月額の従量課金制、いわゆるサブスクリプション型の契約が一般的です。
技術的な面の違いでは、クラウドはインターネット環境が必須であるのに対し、オンプレミスはインターネットへの接続を必要としない場合があります。
また、そのほかの違いを以下の表で解説します。
オンプレミス | クラウド | |
業務生産性 | 手作業や人の目でのチェックが必要 | 作業の自動化・ペーパーレス化にもつながる |
サーバー管理 | 自社で担当による管理や環境の構築が必要 | ベンダー側で管理されているため、自社では不要 |
アクセス性 | 自社の社内ローカルネットワークでのみ使用が可能 | 場所を選ばずに、在宅でも利用が可能 |
アップデートに関わる業務 | 自社で手動での対応が必要 | 自動でアップデートされるため、常に最新のプログラムを利用できる |
バージョンアップに関わる業務 | 自社でデータ移行やセットアップなどの対応が必要 | ベンダーから最新のプログラムが提供されるため、バージョンアップ作業が不要 |
データ保全作業 | 定期的に手動でのバックアップが必要 | 自動でバックアップが実行される |
セキュリティ面 | 自社で独自のセキュリティ対策が必要 | セキュリティ対策はベンダーに依存 |
以下でそれぞれの違いを具体的に解説します。
業務生産性
オンプレミスとクラウドは、どちらも作業効率・品質の向上を目的に行われるものですが、業務生産性の面で大きな違いがあります。
オンプレミスの場合、導入した業務ソフトやアプリケーションに含まれた機能しか使えず、場合によっては手作業や人の目でのチェックが必要なケースがあります。
一方で、クラウドは、インターネットを通じてベンダーが提供するさまざまな最新のアプリケーションを利用できるため、オンプレミスで発生する手入力などの作業の自動化が可能です。
自動化されることでチェックも容易になり、ペーパーレス化にもつながります。
サーバー管理
オンプレミスは、社内にサーバーを設置して運用するため、サーバー室の用意から空調の管理、故障・障害時の対応など、運用からメンテナンスまでさまざまな対応が求められるため、担当者の配置が必要です。
クラウドは、利用契約するだけでインターネット経由でベンダーが提供する業務ソフトやアプリケーションを利用できます。
サーバーの管理や故障時の対応も不要であるため、社内リソースの観点から、導入しやすいメリットがあります。
自社に専任の担当者を割り当てるリソースがない場合や、ほかの業務にリソースを割きたい場合は、クラウドの利用がおすすめです。
アクセス性
オンプレミスのシステムは、社内にサーバーを設置する関係で、適用範囲は社内に限定されているため、従業員は自社のローカルネットワーク内でしかアクセスできません。
そのため、在宅勤務の従業員や、社外の関係者がアクセスする場合には、VPNやリモートデスクトップサーバーなど、オンプレミスとは別でネットワークの構築が必要です。
一方で、クラウドであれば、インターネット環境さえあれば、場所を選ばずにオフィス外からでもアクセスできるため、働き方改革や災害時などにも対応できます。
アップデートに関わる業務
業務ソフトは、ベンダーによって機能性の向上や社会的な制度への対応を目的に、都度アップデートが行われています。
そのため、利用する業務ソフトは、常に最新のものであることが求められます。
オンプレミスの場合、業務ソフトのアップデートは基本的に手動での実施が求められるため、ベンダーから発表されるアップデート情報の確認や、更新作業などを自社の担当者が行わなければなりません。
クラウドであれば、プログラムの更新をベンダー側で行ってくれるので、担当者の負担になることはなく、更新漏れの心配もないため、常に最新のソフトを利用できます。
バージョンアップに関わる業務
オンプレミスは、アップデートと同様に、バージョンアップも自社で行う必要があります。
使用している業務ソフトがサポートを終了した場合、新たに最新のソフトを購入する必要があるため、大きなコストとなります。
また、データ移行やセットアップの対応も求められるので、担当者の負担が増える点も課題の一つです。
クラウドは、ベンダーから常に最新の業務ソフトが提供されるため、バージョンアップの必要がなく、オンプレミスよりも手間とコストが抑えられます。
バージョンアップによって業務がストップすることもないため、生産性の向上にもつながります。
データ保全作業
企業には、ハードウェアの故障時や障害発生時の対策として、デバイスに保存されているデータの定期的なバックアップが求められています。
オンプレミスの場合、バックアップは手動で行わなければならないため、担当者の業務負担増や、作業効率の低下を招く恐れがあります。
一方で、クラウドであれば、バックアップの取得が自動で行われるので、バックアップのための時間を確保する必要がなく、業務にロスタイムが発生することもありません。
クラウドのサービスによっては、定期的な自動バックアップだけでなく、データの暗号化まで対応してくれるものもあるため、企業の機密情報の消失や漏えい対策にもなります。
セキュリティ面
オンプレミスのシステムは、自社のローカルネットワーク内だけで利用するため、外部からの不正アクセスのリスクがクラウドよりも低いです。
クラウドの場合は、最新のサイバー攻撃に対応したセキュリティ対策をベンダー側で行ってくれるメリットがありますが、セキュリティレベルがベンダーに依存するため、利用するクラウドサービスによってセキュリティの強度に差が生じる傾向にあります。
オンプレミスとクラウドのメリット・デメリット
オンプレミスのメリット
セキュリティのリスクが少ない
オンプレミスは、サーバーやネットワークが社内で完結しているため、社外からのアクセスが遮断されており、外部からのサイバー攻撃のリスクが少なくなることがメリットです。
月額利用料がかからない
コスト面では、クラウドのようにシステムに対する毎月の利用料を支払う必要がないため、ランニングコストはクラウドほどかからないことが一般的です。
カスタマイズ性に優れている
また、カスタマイズ性に優れている点がオンプレミスの特長です。自前でシステムを構築しているため、他社の動向を気にすることなく、自社の業務に沿った形でプログラムを組むことが可能です。クラウドは一般的にすべての利用者が、クラウドサービスがあらかじめ用意した同じ機能を利用することになってしまいます。
通信速度が安定している
オンプレミスは、サーバーやネットワーク関連の機器が社内に設けられているため、サーバーと各端末とのレスポンスが早く、安定した通信速度を維持できます。
対して、クラウドは多くのユーザーが一度に使用してサーバーが重たくなる可能性があります。
オンプレミスにはその心配がなく、快適に利用できる点が大きなメリットです。
オンプレミスのデメリット
導入にコストと時間がかかる
オンプレミスは自前でシステム環境を一から構築しなければなりません。そのため、システムを新たに構築するための開発費用がかかりますし、開発する期間が必要なので導入までに通常、数か月以上を要します。
自社での運用体制の構築が必要
システムの規模が大きかったり、セキュリティ性を担保する必要のあるシステムの場合は、自前でサーバーを立てたり、データセンターなどの設備を自前で用意・管理しなければなりません。自前で管理するとシステムを管理するためのエンジニアやデータセンターの維持費などで運用コストが毎月発生します。セキュリティ面の担保も自前で管理する必要があります。
システム構成の面でもバックアップ体制がしっかりしていないと、仮にデータを保管しているデータセンターが災害などで故障した際にデータが消えるといったリスクが生じます。
クラウドのメリット
コストや時間がかかりにくい
クラウドはすでにできあがっている仕組みをブラウザ経由で利用できますので、導入期間がオンプレミスよりも短いことがメリットです。クラウドサービスを用いてシステム開発を行う際も、ボタン一つでサーバーやサービスを構築することもできます。
また、自前で一からシステムを構築する必要がありませんので、システム開発が不要であり、初期導入コストもオンプレミスと比較すると安いです。
利用端末に依存しない
アプリケーションが個人のパソコンにインストールして使う形式であればデータは利用者それぞれのパソコンの中にしか保管されないため、データを利用者同士で共有することが難しいです。クラウドであればデータはインターネット上にあるサーバーに保管しているため、利用端末に依存することなく、どこからでも同じデータを見ることができます。
クラウドサービスを利用すれば、サービス提供者側でバックアップやセキュリティのレベルを維持するため、サービス利用者側は特に意識する必要がないことも利点です。
アプリケーションの最新バージョンが利用できる
アプリケーションが常に最新のバージョンで利用できる点もクラウドのメリットです。例えば、クラウド型の勤怠管理システムを利用した場合、法改正などの社会ルールが変わった場合に、クラウドサービスの提供者側が利用者のためにシステムをアップデートしてくれます。
管理者の負担が軽減する
クラウドサービスは、システムの保守や管理、トラブル対応などがクラウドの運営元に一任されているため、自社で専用の管理者を立てる必要がなく、情報システム担当者の負担が軽減されます。
オンプレミスの場合は、自社にネットワーク機器を保有するため、トラブルが発生すると社内で対応が求められますが、クラウドはその工数を削減できる点がメリットです。
リモートワークへの対応が可能
クラウドは、インターネット環境とアカウントがあれば、場所を選ばずに利用できるため、リモートワークへの対応にも有用です。
オンプレの場合は、社内にネットワーク環境を構築する関係上、利用が社内に限定されるので、これからリモートワークを取り入れたい企業には、クラウドがおすすめです。
クラウドのデメリット
インターネット環境が必須
クラウドサービスを利用するためには必ずインターネットに接続しなければなりません。オフラインで作業ができるクラウドサービスも存在しますが、インターネットに接続しない限りデータが保存されなかったり、最新の内容に反映されなかったりと本来のクラウドの強みを生かすことができません。
サービス側の状況に依存
またクラウドサービスの提供側のサーバー状況に依存するため、仮にクラウドサーバーが停止すると、まったくサービスが使用できないといったことが起きる場合もあります。
月額利用料が発生する
クラウドサービスは外部のサービスを利用するので、月額利用料が発生します。そのため、要件を満たすためには結果的に膨大なランニングコストがかかってしまったというケースもあり得ます。手軽な分、導入には注意をはらう必要があります。
まとめ
オンプレミスは自前で環境を導入・運用する考え方であるのに対し、クラウドは社外の環境を利用し、クラウドサービスの提供側が環境を維持管理するという考えのもとで成り立っています。
近年、クラウド環境が流行っているからといって、必ずしもオンプレミスが劣っているというわけではありません。オンプレミスとクラウドでそれぞれの利点や欠点が存在します。
そのため、利用者は用途や目的に応じてオンプレミスとクラウドを使い分けることが重要です。