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Xeon W-3223とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel」が開発したCPUの「Intel® Xeon® W-3223」のスペックや特徴について解説します。
Xeon W-3223のベンチマークやおすすめのパソコンも合わせてお伝えするので、どのCPUを搭載したパソコンを導入すべきか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon W-3223の基本スペック
Intel® Xeon® W-3223 | |
製品コレクション | インテル® Xeon® W プロセッサー |
開発コード名 | Cascade Lake |
プロセス | 14 nm |
コア数 | 8 |
スレッド数 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.5GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.0GHz |
メモリの種類 | DDR4 2666 |
L3キャッシュ容量 | 16.5MB |
対応ソケット | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 3.0 |
TDP | 160W |
発売日 | 2019/6 |
Intel® Xeon® W-3223は、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
プロフェッショナルなクリエイター向けに設計されたIntel® Xeon® WシリーズのCPUで、Intel® ディープラーニング・ブーストが内蔵されたCascade Lake世代のアーキテクチャが採用されており、AI開発や3DレンダリングやCADなどの幅広い用途で高いパフォーマンスを発揮します。
また、Xeon Wシリーズには、Xeon W-3223のほかに前世代のIntel® Xeon® W-2223や、同世代のIntel® Xeon® W-3225など多くの製品があるので、CPUの選定に迷っている方は、同じIntel® Xeon®シリーズの製品や競合のAMD Ryzen™シリーズとスペックを比較した結果は後述するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon W-3223はどのような用途におすすめ?
Xeon W-3223は、クリエイター向けに設計されたCPUで、さまざまなクリエイティブシーンやビジネスシーンでの用途におすすめです。
具体的には、3DCGの画像・映像を生成するためにマルチスレッド性能が必要な3Dレンダリングや、コンピューター上でシミュレーションを行うCADやCAEなどでも高いパフォーマンスを期待できます。
また、AIやディープラーニングの複雑なワークロードを柔軟に実行できる「Intel® Deep Learning Boost」にも対応しているため、AIを使ったデータ分析を行う大学の研究所や企業にも適しています。
Xeon W-3223のスペック比較
Intel® Xeon® E5-4669 v3 | Intel® Xeon® W-3223 | Intel® Xeon® E-2288G | |
製品コレクション | インテル® Xeon® プロセッサー E5 v3 ファミリー | インテル® Xeon® W プロセッサー | インテル® Xeon® E プロセッサー |
開発コード名 | Haswell | Cascade Lake | Cascade Lake |
プロセス | 22 nm | 14 nm | 14 nm |
コア数 | 18 | 8 | 8 |
スレッド数 | 36 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.1GHz | 3.5GHz | 3.7GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 2.9GHz | 4.0GHz | 5.0GHz |
メモリの種類 | DDR4 2133 | DDR4 2666 | DDR4 2666 |
L3キャッシュ容量 | 45MB | 16.5MB | 16MB |
対応ソケット | FCLGA2011 | FCLGA3647 | FCLGA1151 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 3.0 | 3.0 |
TDP | 135W | 160W | 95W |
発売日 | 2015/4~6 | 2019/6 | 2019/4~6 |
Xeon W-3223のスペックを、同じXeonシリーズのIntel® Xeon® E5-4669 v3とIntel® Xeon® E-2288Gとで比較してみていきます。
まず、Xeon E5-4669 v3と比較すると、Cascade Lake世代のXeon W-3223では14nmのプロセスを採用しているのに対し、Haswell世代のXeon E5-4669 v3では22nmのプロセスが採用されています。
プロセッサー・ベース周波数とターボ・ブースト利用時の最大周波数は、プロセスの小さいXeon W-3223の方が高い数値ですが、コア数・スレッド数はXeon E5-4669 v3がXeon W-3223の2倍以上の搭載数です。
そのため、より大規模なデータの分析や研究、動画編集・グラフィック作成などで容量の必要なアプリケーションを使用する際には、コア数・スレッド数の多いXeon E5-4669 v3がおすすめです。
タスク処理の高速化を求める方は、Xeon W-3223のほうが適しているでしょう。
一方で、Xeon E-2288Gと比較すると、プロセスやコア数・スレッド数は同値ですが、プロセッサー・ベース周波数とターボ・ブースト利用時の最大周波数はXeon E-2288Gが上回っています。
また、L2キャッシュに収まりきらないデータを格納するL3キャッシュの容量は大差ありませんが、消費電力もXeon E-2288Gの方が優れています。
のちほど両製品とベンチマークを比較した結果も解説するので、ぜひ最後までお読みください。
Xeon W-3223とAMD Ryzenシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 7 3700X | Intel® Xeon® W-3223 | AMD Ryzen™ 5 3600 | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ Processors | インテル® Xeon® W プロセッサー | AMD Ryzen™ Processors |
開発コード名 | Matisse | Cascade Lake | Matisse |
プロセス | 7 nm | 14 nm | 7 nm |
コア数 | 8 | 8 | 6 |
スレッド数 | 16 | 16 | 12 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.6GHz | 3.5GHz | 3.6GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.4GHz | 4.0GHz | 4.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 3200 | DDR4 2666 | DDR4 3200 |
L3キャッシュ容量 | 32MB | 16.5MB | 32MB |
対応ソケット | AM4 | FCLGA3647 | AM4 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 3.0 | 4.0 |
TDP | 65W | 160W | 65W |
発売日 | 2019/7 | 2019/6 | 2019/7 |
同時期に発売された競合のAMD Ryzen™シリーズのCPUともスペックを比較してみます。
Zen2世代のアーキテクチャを採用したAMD Ryzen™ 7 3700Xのプロセスは7nmと、Xeon W-3223の14nmより50%の数値で微細に作られています。
コア数とスレッド数は同値ですが、プロセッサー・ベース周波数とターボ・ブースト利用時の最大周波数は、AMD Ryzen 7 3700Xが上回っています。
L3キャッシュの容量もAMD Ryzen 7 3700Xがおよそ2倍の数値で、消費電力も半分以下に抑えられています。
一方で、Ryzen 7 3700Xの前世代にあたるAMD Ryzen™ 5 3600と比較すると、L3キャッシュ容量や消費電力はAMD Ryzen 5 3600が優れていますが、コア数とスレッド数はXeon W-3223が上回っています。
科学研究やディープラーニング、大規模なデータ分析などに必要な高い並列処理性能や高速処理を求める方は、コア数とスレッド数の多いXeon W-3223がおすすめです。
Xeon W-3223の特徴
Xeon W-3223の特徴を3つ解説します。
クリエイターや企業にとってのメリットや、ほかのシリーズと比較したときのデメリットをお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
プロフェッショナルなクリエイター向けのCPU
Xeon WシリーズのCPUは、クリエイティブシーンでの高いパフォーマンスと信頼性の提供を重視した設計で、プロフェッショナルなクリエイターやエンジニア向けのタスクに適しています。
具体的には、複数のコアとスレッドを搭載することで、Webサイトの閲覧や資料の作成から3DレンダリングやCAD・CAE、AI開発などの複雑な作業まで同時に処理できるため、作業効率の向上を実感できます。
また、エントリーレベルのワークステーション向けのIntel® Xeon® Eシリーズよりも高いクロック速度やキャッシュ容量を持つ傾向にあり、クリエイティブな作業や科学技術計算など、要求の高いタスクに対して優れたパフォーマンスを発揮します。
高いセキュリティー・管理機能を提供
Xeon Wシリーズは、ビジネスクラスのセキュリティー機能・リモート管理機能を提供するPCプラットフォームのIntel® vPro® Enterpriseに対応しています。
Intel® vPro® Enterpriseでは、OSより下層のアプリケーション・データに対する外部からの攻撃を検知する「Intel® Hardware Shield」や、遠隔での電源操作やOSのインストールが実行できるリモート機能の「Intel® AMT」を活用できます。
また、Xeon Wシリーズは、仮想化環境でのセキュリティーを向上させるために、ハードウェア仮想化支援を提供しており、仮想マシン間のデータの隔離や保護が可能です。
Core iシリーズと比べて省電力性に欠ける
Xeon W-3223は、一般コンシューマー向けのIntel® Core™ iシリーズと比べて省電力性に欠けるデメリットがあります。
例えば、Xeon W-3223と同等のコア数・スレッド数、プロセッサー・ベース動作周波数のIntel® Core™i9-9900Kの消費電力は95Wと、Xeon W-3223の160Wより65Wも抑えられています。
また、Intel® Core™Core i9シリーズの下位グレードにあたるIntel® Core™ i7シリーズのIntel® Core™ i7-11700Kと比較しても35Wの差があります。
とはいえ、省電力性はCPUのスペックの一部であり、消費電力に着目し過ぎると用途に適したCPUを選べない可能性があるので、あくまで評価項目のひとつとして捉え、ほかのスペックや後ほど解説するベンチマークを参考にして選定してみてください。
Xeon W-3223のベンチマーク
Xeon W-3223のベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon W-3223の性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
PassMarkのCPU Mark Ratingは、CPUの総合的な性能を数値化したものです。
Xeon W-3223のスコアは17382と、同じIntel XeonシリーズのXeon E-2288Gや、Intel® Core™ i7-1260Pを上回る数値でした。
一方で、Xeon E5-4669 v3やIntel® Core™i5-1240Pと比較すると、わずかに劣る数値でした。
Xeon Wシリーズがクリエイター向けであるのに対し、Xeon Eシリーズは、エントリーレベルのサーバー・ソリューションや、ビジネスに対応したパフォーマンス・拡張性を提供するCPUで、Core iシリーズは、一般コンシューマー向けのCPUです。
それぞれのシリーズで主要な用途や性能に違いがあるので、どのCPUを搭載したパソコンがいいか悩んでいる方は、上記のように複数の製品を比較して性能を見極めましょう。
PassMark(CPU Value)
※Core i5-1240PとCore i7-1260Pはヒットしなかったため3つの製品で比較
PassMarkのCPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを表したベンチマークです。
Xeon W-3223のスコアは21.2と、CPU Mark Ratingでは下回っていた Xeon E5-4669 v3のおよそ7倍の数値で、Xeon E5-4669 v3よりもコストパフォーマンスに優れたCPUだとわかりました。
一方で、CPU Mark Ratingで上回っていたXeon E-2288Gと比較すると低い数値です。
コストパフォーマンスのよいCPUを採用したい方は、上記のように複数の製品のCPU Valueを比較してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingは、単一のプログラムやタスクを処理する性能を数値化したベンチマークで、負荷の大きいアプリケーションを使うビジネス・クリエイティブシーンでパソコンを利用する方は、注目しておきたい指標のひとつです。
Xeon W-3223のスコアは2480と、Xeon E5-4669 v3の168%の数値でした。
しかし、そのほかの3つの製品とは大きな性能差がみられ、特にCore i7-1260Pとは35%もの差があります。
これまで3つのベンチマークを紹介しましたが、CPU Mark Ratingでは最も低いスコアだったCore i7-1260PがCPU Single Thread Ratingでは最も高いスコアであったように、CPUによって得意・不得意があるので、重視したい性能や用途が決まっている方は、適切なベンチマークを参考にしてCPUを選定しましょう。
消費電力
最後に、消費電力の観点からも比較します。
Xeon W-3223の消費電力は160Wと、5つの製品の中では最も高い数値でした。
一方で、省電力性に優れたCore iシリーズのCore i5-1240PとCore i7-1260Pは、両製品とも28Wで、Xeon W-3223より消費電力が少なく、Intel Xeon Eシリーズの両製品もXeon W-3223より消費電力が抑えられています。
消費電力を抑えてパソコンを使用したい方はCore iシリーズがおすすめですが、消費電力だけでなく、ほかの基本スペックや用途に応じたベンチマークを参考にして、最適なCPUを選んでください。
Xeon W-3223を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon W-3223を搭載したおすすめPC
Xeon W-3223を搭載したおすすめPCを紹介します。
Xeon W-3223が搭載されたPCを導入したい方は、参考にしてください。
THIRDWAVE Pro WORKSTATION X6612 標準モデル
THIRDWAVE Pro WORKSTATION X6612は、プロフェッショナル向けのハイエンドモデルのPCです。
最大28コア・56スレッドの搭載が可能で、なおかつグラフィックボードを最大4基搭載できます。
その拡張性の高さから、高解像度の動画編集、CAD、3Dアニメーション、ディープラーニングなど、幅広い用途で高いパフォーマンスを発揮します。
また、商用100V電源で運用できるため、オフィスや大学でも使用できるでしょう。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Intel® Xeon® W-3223」のスペックや特徴、ベンチマーク、おすすめのパソコンまでを解説しました。
Xeon W-3223は、プロフェッショナルなクリエイター向けに設計されたCPUです。
外部の脅威から、OSより下層のアプリケーションやデータを守る「Intel® Hardware Shield」や、リモート機能の「Intel® AMT」も活用でき、高いセキュリティーレベルを実現できます。
どのCPUが搭載されたPCを選んだらいいかわからない方は、この記事を参考に、用途に合ったCPUを選定しましょう。