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Intel Arc A310とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
目次
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Arc A310の基本スペック
GPU名称 | Intel® Arc™ A310 |
アーキテクチャ | Xe HPG |
GPU | ACM-G11 |
プロセス | 6nm |
トランジスタ数 | 72億 |
ダイサイズ | 157mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 6基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 96基 |
RTユニット(RTコア) | 6基 |
ベースクロック | 2000MHz |
ブーストクロック | - |
メモリ規格 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4GB |
メモリバス | 64bit |
バンド幅 | 124GB/s |
消費電力 | 75W |
発売日 | 2022/10 |
Intel® Arc™ A310は、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が発売しているグラフィックボードです。Arc A310のメモリ容量は4GBの1種類で、Intel® Arc™ Aシリーズのデスクトップ版モデルのエントリークラスとして、2022年10月に発売されました。
Arc AシリーズのノートPC向けモデルよりも性能が高く、デスクトップ版の中では最も安価なモデルであることから、個人のクリエイターやグラフィックボードを初めて導入する企業での採用がみられます。
また、Arc Aシリーズのデスクトップ版モデルには、Arc A310のほかにも、ミドルクラスのIntel® Arc™ A380や、ハイエンドクラスのIntel® Arc™ A750、Intel® Arc™ A770があります。
Arc A310のスペック比較
GPU名称 | Intel® Arc™ A310 | NVIDIA® GeForce GTX 1630 | NVIDIA® GeForce GTX 1650 |
アーキテクチャ名 | Xe HPG | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | ACM-G11 | TU117 | TU117 |
プロセス | 6nm | 12 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 47億 | 47億 |
ダイサイズ | 157mm² | 200mm² | 200mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 6基 | 512基 | 896基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 96基 | - | - |
RTユニット(RTコア) | 6基 | - | - |
ベースクロック | 2000MHz | 1740MHz | GDDR5:1485MHz GDDR6:1410MHz |
ブーストクロック | - | 1785MHz | GDDR5:1665MHz GDDR6:1590MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR5 / GDDR6 |
メモリ容量 | 4GB | 4GB | 4GB |
メモリバス | 64bit | 64bit | 128bit |
バンド幅 | 124GB/s | 96GB/s | 128.1GB/s |
消費電力 | 75W | 75W | 75W |
発売日 | 2022/10 | 2022/6 | 2019/4 |
Arc A310の特徴
Arc A310の特徴を3つ紹介します。Arc A310ならではの特徴や、ほかの製品と比較して利用できる性能をお伝えするので、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
レイトレーシングの高い負荷に対応できる
Arc A310は、ゲーミング用途で採用されることの多い、Windows 11専用の最新バージョンである「DirectX 12 Ultimate」をサポートしています。
DirectX 12 Ultimateは、次世代ゲームの新しいスタンダードとして、レイトレーシングや可変レート・シェーディング、メッシュ・シェーダー、サンプラー・フィードバックなどに対応し、クリエイティブシーンにも役立つ機能が満載です。
例えば、動画編集や3DCG、イラスト制作やCADなど、創作活動に適したスペックを搭載しているので、負荷の高い処理で活用を検討している方におすすめです。
Intelの独自機能「Deep Link」が搭載
Arc Aシリーズと、GPUを搭載するIntel® Core™ プロセッサーを組み合わせたときに利用可能な「Intel® Deep Link」は、電力分配でパフォーマンスの向上が期待できる「ダイナミック・パワー・シェア」や、ストリーミング時の負荷をGPUに振り分ける「ストリーム・アシスト」などを活用することで、快適な作業環境を実現しています。
また、プロセッサー間で発生する電力や熱を最適に処理できるので、2Dグラフィックスの画像編集や動画制作などのクリエイティブシーンでパフォーマンスを向上させます。
メモリ容量がほかのGPUに比べて少ない
Arc A310のメモリ容量は、4GBと少ない点がデメリットです。
クリエイティブな処理では、特にメモリ容量が重要になってくるので、動画編集や3DCG制作、ゲーム開発などの業務は快適に行えません。
デスクトップ版PCの購入を検討しており、クリエイティブワークで長い期間利用したい方は、8GB以上のメモリを積んだグラフィックボードがおすすめです。
Intel Arc AシリーズとNVIDIA GeForceシリーズの特徴比較
NVIDIAは、GeForceやNVIDIA RTX(旧Quadro)などのGPUを開発する、アメリカのカリフォルニア州に本社を構える半導体メーカーです。
AMDと並ぶGPUの2大メーカーとして君臨しており、主力製品は画像処理に特化したNVIDIA® GeForceシリーズです。APIは、DirectXに対応しているので、3DCADや音声を多用したゲーム開発のプログラミング言語である、「C言語」や「C++」「Visual Basic」などから開発できます。
Arc AシリーズのAPIは、NVIDIA GeForceシリーズと同じDirectXに対応しているので、さまざまなクリエイティブシーンにも最適です。
また、Intel独自機能の「Deep Link」や「XMX」を搭載しているので、写真やビデオなどのコンテンツの高速なアップスケーリングやパフォーマンス向上を実現します。
APIは同じDirectXに対応しているため、両シリーズともゲーミング向けのGPUとして開発された経緯があるとわかりますが、クリエイティブシーンで利用を検討している方は、それぞれの製品の特長や独自機能、ベンチマークを確認して選定しましょう。
Arc A310のベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、G3D Mark・G2D Mark・消費電力の3つの観点から紹介します。グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
G3D Mark
3Dグラフィックの処理性能を知りたい方は、G3D Markのベンチマークを活用して確認することをおすすめします。
Arc A310のスコアは4722と、競合のNVIDIA2製品と比較すると最も低い数値でした。特にGTX 1650との性能差が最も大きく、Arc A310が約50%下回っています。また、GTX 1630との比較でも同じく、約6%下回る結果でした。
どのグラフィックボードを導入するか検討している方は、Arc A310などのIntel製だけではなく、上記であげたNVIDIAの製品もあわせて比較することで、より用途に合ったものを選定できます。
G2D Mark
2Dグラフィックスの性能を表すPassMarkのG2D Markのベンチマークも紹介します。
2Dのグラフィックデザインをはじめ、動画編集や画像制作を行うクリエイターは注目しておきたいベンチマークです。
Arc A310のスコアは634と、G3D Markと同様に、GTX 1630を下回る数値でした。一方で、Arc A310とGTX 1650を比較すると、G3D Markでは、GTX 1650と大きな性能差がありましたが、G2D Markでは、約9%上回っています。
このように、グラフィックボードの種類によって処理性能は異なるので、用途に応じてベンチマークを確認することで、最適なグラフィックボードを選定できます。
消費電力
コストが気になる方は、消費電力の数値もみていきましょう。
Arc A310は75Wで、GTX 1630とGTX 1650は同じ消費電力でした。
GTX 1630は、G3D MarkやG2D Markのベンチマークで、Arc A310を上回るスコアでしたが、消費電力はArc A310と同じ数値でした。グラフィックボードの消費電力は、同じメーカーの製品やシリーズ、どんな用途に活用するかによっても大きく異なります。
法人向けのPCを大量導入する企業の担当者は、ランニングコストを抑えるためにも、消費電力のベンチマークにも注目するようにしましょう。
Arc A310はどのような用途におすすめ?
Arc A310は、3DCGや2Dグラフィックスの画像編集・動画編集などのクリエイティブシーンにおすすめです。
DirectXの最新バージョンDirectX 12 Ultimateに対応しており、開発者の負担軽減や開発速度の向上につながる機能が豊富です。
また、解像度の向上を可能にする、最新グラフィック技術「XeSS スーパーサンプリング」を搭載しているので、超高解像度レンダリングから優れた品質を提供できます。
Arc A310は、デスクトップPCモデルのエントリークラスということもあり、上位モデルと比べると性能は劣りますが、上記であげた機能を活用すれば、クリエイティブシーンで高いパフォーマンスを発揮してくれます。
一方で、メモリ容量は4GBと少なく、大容量メモリを搭載したPCに比べてパフォーマンスは低下する可能性があるので、余裕をもってメモリを搭載したい方は、6GBのArc A380や8GBのArc A750もおすすめです。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。
CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年ほどで3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどがあげられます。具体例を出すとAdobe PhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルター処理を行う際にグラフィックボードによって高速化できます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、あげられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。従って、複数のアプリを立ち上げて作業することで、動作が重たくなる恐れがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であれば、CPUのメインメモリが使われることはないため複数のアプリを立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を上げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。
まとめ
この記事では、Intel社が発売しているグラフィックボード「Intel Arc A310」のスペックや特徴、ベンチマークまでを解説しました。
Arc A310は、Arc Aシリーズのデスクトップ版PCのエントリークラスにあたるGPUです。ノート版PCよりも高いグラフィック処理でクリエイティブワークをしたい方や、普段デスクトップ版PCを利用している方におすすめです。
ほかのデスクトップ版PCに比べて導入しやすい価格帯で、コストパフォーマンスに優れている点が特徴です。
どのGPUを導入しようか検討している方は、今回紹介したNVIDIA製のグラフィックボードとの性能差やベンチマークを参考に、最適なGPUを選定しましょう。