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Xeon Silver 4410Yとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Silver 4410Y」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Silver 4410Yのベンチマークやほかの製品と比較した結果、おすすめのパソコンもお伝えするので、CPUの選定に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Silver 4410Yの基本スペック
Intel® Xeon® Silver 4410Y | |
製品コレクション | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー |
開発コード名 | Sapphire Rapids |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 12 |
スレッド数 | 24 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.9GHz |
メモリの種類 | DDR5 4000 1DPC and 2DPC |
L3キャッシュ容量 | 30MB |
対応ソケット | FCLGA4677 |
PCI Express リビジョン | 5.0 |
TDP | 150W |
発売日 | 2023/1 |
Intel® Xeon® Silver 4410Yは、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
データセンター向けに設計されたIntel® Xeon® SilverシリーズのCPUで、Sapphire Rapids アーキテクチャが採用された第4世代にあたります。
コア数・スレッド数は12コア24スレッドと高性能で、ビジネスシーンからクリエイティブシーンまで幅広い用途に対応します。
また、Intel® Xeon®シリーズの中では、性能を自在に調整できる「Intel Speed Select Technology」に対応したYシリーズにあたる点が大きな特徴です。
Xeon Silver 4410Yと同じYシリーズには、前世代モデルにあたるIntel® Xeon® Silver 4309Yや、Intel® Xeon® Silver 4214Yなどがあり、後述する【Xeon Silver 4410Yの特徴】でそれぞれの性能を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4410Yはどのような用途におすすめ?
Xeon Silver 4410Yは、サーバーやデータセンターシステム向けに設計されたXeon SilverシリーズのCPUであるため、データセンターやクラウド環境でのサーバータスクに適しています。
また、Xeon Silver 4410Yのコア数・スレッド数は12コア24スレッドと、CPUの中では比較的高いスペックで、L3キャッシュ容量も30MBと大きいため、大容量のデータを管理するストレージサーバーの構築にも適しているでしょう。
もちろん、Microsoft Wordを使った資料作成やメールの管理といった一般的なビジネスシーンでも対応できます。
Xeon Silver 4410Yのスペック比較
Intel® Core™ i7-13705H | Intel® Xeon® Silver 4410Y | Intel® Xeon® Gold 6122 | |
製品コレクション | 第 13 世代インテル® Core™ i7 プロセッサー | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー | インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Raptor Lake | Sapphire Rapids | Skylake |
プロセス | 14 nm | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 14(Pコア6+Eコア8) | 12 | 20 |
スレッド数 | 20 | 24 | 40 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.4GHz | 2.0GHz | 1.8GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.0GHz | 3.9GHz | 3.7GHz |
メモリの種類 | DDR5 5200 DDR4 3200 LPDDR5/x 6400 LPDDR4x 4267 |
DDR5 4000 1DPC and 2DPC | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 24MB | 30MB | 28MB |
対応ソケット | FCBGA1792 | FCLGA4677 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 不明 | 5.0 | 3.0 |
TDP | 45W | 150W | 120W |
発売日 | 2023/1 | 2023/1 | 2018/4 |
Xeon Silver 4410Yのスペックを、同等のスペックを持つIntel® Core™ i7-13705HやIntel® Xeon® Gold 6122とで比較します。
Core i7-13705Hは、ノートパソコン向けの中でも特にハイスペックなハイエンド向けのHシリーズにあたるCPUです。
Core i7-13705Hのコア数は14コアと、Xeon Silver 4410Yの12コアよりも多い搭載数で、搭載されているコアがすべてPコアのXeon Silver 4410Yに対して、Core i7-13705Hには電力効率に特化したEコアが搭載されているのが大きな違いです。
また、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数もXeon Silver 4410Yを大きく上回っており、処理性能の高さがうかがえます。
高負荷なアプリケーションを使用する方は、Core i7-13705Hのほうが適しているといえるでしょう。
次に、Xeon Silverシリーズの上位シリーズにあたるIntel® Xeon® GoldシリーズのXeon Gold 6122と比較します。
Xeon Gold 6122のコア数・スレッド数は20コア40スレッドと、Xeon Silver 4410Yの12コア24スレッドを大きく上回り、優れたマルチスレッド性能がみられます。
一方で、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数はXeon Silver 4410Yを下回っており、L3キャッシュ容量も28MBと、Xeon Silver 4410Yのほうが優れています。
後ほどXeon Silver 4410Yと両製品のベンチマークスコアを比較した結果も解説するので、より詳細な性能差を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4410YとAMD Ryzenシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 7 3800XT | Intel® Xeon® Silver 4410Y | AMD Ryzen™ 9 5980HX | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ 7 Desktop Processors | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー | AMD Ryzen™ 9 Mobile Processors with Radeon™ Graphics |
開発コード名 | Matisse | Sapphire Rapids | Cezanne |
プロセス | 7 nm | 10 nm | 7 nm |
コア数 | 8 | 12 | 8 |
スレッド数 | 16 | 24 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.9GHz | 2.0GHz | 3.3GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.7GHz | 3.9GHz | 4.8GHz |
メモリの種類 | DDR4 | DDR5 4000 1DPC and 2DPC | DDR4 3200 LPDDR4 4266 |
L3キャッシュ容量 | 32MB | 30MB | 16MB |
対応ソケット | AM4 | FCLGA4677 | FP6 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 5.0 | 3.0 |
TDP | 105W | 150W | 45W |
発売日 | 2020/7 | 2023/1 | 2021/1 |
同等のスペックを持つ競合のAMD Ryzen™シリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD Ryzen™ 7 3800XTのプロセスは7nmと、Xeon Silver 4410Yの10nmより微細に設計されていますが、コア数・スレッド数は8コア16スレッドと、Xeon Silver 4410Yのほうが上回っています。
一方で、プロセッサー・ベース動作周波数は3.9GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.7GHzと高く、Xeon Silver 4410Yを大きく上回っており、安定した処理速度を提供します。
L3キャッシュ容量も32MBと大きな容量なので、大規模なデータを扱う方にも適しているでしょう。
AMD Ryzen™ 9 5980HXのコア数・スレッド数はRyzen 7 3800XTと同値で、Xeon Silver 4410Yよりも少ない搭載数ですが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Silver 4410Yを上回る数値です。
また、Ryzen 9 5980HXはノートパソコン向けCPUであるため、消費電力も45Wと低く抑えられており、ランニングコストを抑えたい方におすすめです。
Xeon Silver 4410Yの特徴
Xeon Silver 4410Yの特徴を3つ解説します。
Xeon Silver 4410Yならではの特徴や、前世代のCPUと比較した結果を中心にお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Intel Speed Select Technologyに対応したYシリーズのCPU
Xeon Silver 4410Yは、Intelのプロセッサー技術のひとつである「Intel Speed Select Technology」に対応したYシリーズのCPUです。
「Intel Speed Select Technology」とは、CPUのパフォーマンスを任意に制御できる機能で、例えば、並列処理性能を高めたい場合、アクティブなコアの数を多く、プロセッサー・ベース動作周波数を少なく設定できます。
また、コアあたりのパフォーマンスを高めたい場合には、より高いプロセッサー・ベース動作周波数で稼働するアクティブなコアの数を増やすことも可能です。
変化するワークロード要件に迅速に対応できるため、適応性の高いサーバーを組み合わせられます。
前世代のXeon Silver 4309Yから大幅にスペックが向上
Xeon Silver 4410Yは、前世代のXeon Silver 4309Yから大幅にスペックの向上がみられます。
Intel® Xeon® Silver 4410Y | Intel® Xeon® Silver 4309Y | |
製品コレクション | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Sapphire Rapids | Ice Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 12 | 8 |
スレッド数 | 24 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz | 2.8GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.9GHz | 3.6GHz |
メモリの種類 | DDR5 4000 1DPC and 2DPC | DDR4 2667 |
L3キャッシュ容量 | 30MB | 12MB |
対応ソケット | FCLGA4677 | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 5.0 | 4.0 |
TDP | 150W | 105W |
発売日 | 2023/1 | 2021/4 |
第3世代のXeon Silver 4309Yは、Ice Lake アーキテクチャを採用していますが、第4世代のXeon Silver 4410Yでは、Sapphire Rapids アーキテクチャが採用されています。
加えて、Xeon Silver 4309Yのコア数・スレッド数は8コア16スレッドですが、Xeon Silver 4410Yでは12コア24スレッドに増量されており、マルチスレッド性能の向上がうかがえます。
プロセッサー・ベース動作周波数はXeon Silver 4309Yのほうが優れた数値ですが、ターボ・ブースト利用時の最大周波数やL3キャッシュ容量は、確かなスペックアップがみられました。
メモリの種類も、Xeon Silver 4309YはDDR4までしか対応していませんが、Xeon Silver 4410YはDDR4から処理速度が高速化されたDDR5に対応している点も大きな特徴です。
また、CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingを比較してみても、Xeon Silver 4410YのスコアはXeon Silver 4309Yの123%の数値で、性能差がみられました。
CPUは、世代が新しい製品のほうが緻密に設計されて高性能な傾向にあるので、これからCPUを選定する方は、上記のように各世代の製品を比較して採用を検討してみてください。
より高いマルチスレッド性能を求めるならXeon Goldシリーズがおすすめ
前世代のCPUから大幅なスペックアップがみられるXeon Silver 4410Yですが、より高性能なCPUを求めるなら、Xeon Goldシリーズの製品がおすすめです。
Xeon Goldシリーズは、Xeon Silverシリーズの上位にあたるシリーズで、高性能が求められるメインストリーム・データセンターやマルチクラウド・コンピューティングなどにあわせて最適化されています。
そのため、Xeon SilverシリーズのCPUよりもコア数・スレッド数が多く、プロセッサー・ベース動作周波数が優れている傾向にあります。
Intel® Xeon® Silver 4410Y | Intel® Xeon® Gold 5418Y | |
製品コレクション | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー | 第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー |
開発コード名 | Sapphire Rapids | Sapphire Rapids |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 12 | 24 |
スレッド数 | 24 | 48 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz | 2.0GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.9GHz | 3.8GHz |
メモリの種類 | DDR5 4000 1DPC and 2DPC | DDR5 4400 1DPC and 2DPC |
L3キャッシュ容量 | 30MB | 45MB |
対応ソケット | FCLGA4677 | FCLGA4677 |
PCI Express リビジョン | 5.0 | 5.0 |
TDP | 150W | 185W |
発売日 | 2023/1 | 2023/1 |
例えば、同じ第4世代でYシリーズのIntel® Xeon® Gold 5418Yと比較すると、Xeon Gold 5418Yのコア数・スレッド数は24コア48スレッドと、Xeon Silver 4410Yの2倍の搭載数です。
プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数に大きな性能差はみられませんでしたが、L3キャッシュ容量は45MBと大容量で、大規模なデータの処理に適しています。
高性能な分、消費電力は185Wと高めですが、高いパフォーマンスを求める方は、Xeon Gold 5418YをはじめとしたXeon GoldシリーズのCPUがおすすめです。
Xeon Silver 4410Yのベンチマーク
Xeon Silver 4410YのベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Silver 4410Yの性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
PassMarkのCPU Mark Ratingからみていきます。
Xeon Silver 4410Yのスコアは23713と、AMD製の両製品を上回る数値でした。
Xeon Silver 4410Yは、Ryzen 7 3800XTやRyzen 9 5980HXよりもコア数・スレッド数が多いため、上記のような差がみられたと考えられます。
一方で、Xeon Gold 6122やCore i7-13705Hと比較すると、Xeon Silver 4410Yは下回る結果でした。
Xeon Gold 6122は、Xeon Silver 4410Yよりも上位のXeon GoldシリーズのCPUで、コア数・スレッド数も多いことから、Xeon Silver 4410Yを上回るスコアになったと思われます。
CPUは、シリーズや世代によって性能差が表れるので、CPUの選定に悩んでいる方は、基本スペックだけでなく、CPU Mark Ratingも参考にCPUの特徴・性能を見極めてみてください。
PassMark(CPU Value)
※Ryzen 9 5980HXは必要な情報が不足しているため、4製品で比較
CPUのコストパフォーマンスを数値化したPassMarkのCPU Valueもみていきましょう。
Xeon Silver 4410Yのスコアは42.1と、4つの製品の中ではXeon Gold 6122に次いで低い数値でした。
同じIntel製でノートパソコン向けCPUのCore i7-13705Hと比較すると、Core i7-13705HのスコアはXeon Silver 4410Yの112%の数値で、差がみられました。
また、Ryzen 7 3800XTとの差が最も大きく、Ryzen 7 3800XTのスコアはXeon Silver 4410Yの272%で、コストパフォーマンスのよさがうかがえました。
コストパフォーマンスのよいCPUを求めている方は、用途に対してスペック不足にならないように、基本スペックやほかのベンチマークも加味したうえで、CPU Valueも参考に選定してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
※Core i7-13705Hは必要な情報が不足しているため、4製品で比較
PassMarkのCPU Single Thread Ratingも比較します。
Xeon Silver 4410Yのスコアは2344と、CPU Valueと同様に、Xeon Gold 6122に次いで低い数値でした。
AMD製の両製品と比較すると、Ryzen 7 3800XTのスコアはXeon Silver 4410Yの119%、Ryzen 9 5980XTは143%の数値で、大きな性能差がみられました。
シングルスレッド性能は、Webサイトの閲覧や動画の視聴といった、単一のスレッドで実行できる比較的負荷の小さいタスクの処理性能を表します。
特にビジネスシーンでの活用を検討している方は、CPU Single Thread Ratingも参考にしてください。
消費電力
最後に、消費電力もみていきます。
Xeon Silver 4410Yの消費電力は150Wと、5つの製品の中では最も高い数値でした。
Core i7-13705HやRyzen 9 5980HXと比較すると、105Wもの差があります。
両製品は消費電力を抑えて設計されるノートパソコン向けCPUであるため、デスクトップ向けのXeon Silver 4410Yと大きな差がみられました。
消費電力が抑えられたCPUを導入したい方は、ノートパソコン向けCPUを選択肢のひとつとして検討してみてください。
Xeon Silver 4410Yを使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Silver 4410Yを搭載したおすすめPC
Xeon Silver 4210Rを搭載したおすすめPCを紹介します。
Xeon Silver 4210Rの導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4630 標準モデル
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デュアルプロセッサー時には、圧倒的な最大64コア128スレッドまでの処理能力を有し、加えてグラフィックボードは最大2基まで搭載可能。高画質のビデオ編集、ディープラーニング、CAD設計など、さまざまな用途で卓越したパフォーマンスを発揮します。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Silver 4410Y」のスペックや特徴、ベンチマークを解説しました。
Xeon Silver 4410Yは、パフォーマンスを自由に制御できる「Intel Speed Select Technology」に対応したYシリーズのCPUで、なおかつ12コア24スレッドのスペックを備えているため、幅広い用途に採用できます。
どのCPUが搭載されたPCを選んだらいいかわからない方は、この記事を参考に、複数の製品の基本スペックやベンチマークを比較して、CPUの特徴を見極めてみてください。