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Xeon Silver 4309Yとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Silver 4309Y」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Silver 4309Yのベンチマークやカスタマイズが可能なおすすめPCもお伝えするので、これからCPUを導入するうえで、複数の製品を比較して性能を見極めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Silver 4309Yの基本スペック
Intel® Xeon® Silver 4309Y | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 8 |
スレッド数 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.8GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.6GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 |
L3キャッシュ容量 | 12MB |
対応ソケット | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 |
TDP | 105W |
発売日 | 2021/4 |
Intel® Xeon® Silver 4309Yは、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
エントリーレベルのデータセンターにおいてハードウェア支援型のパフォーマンスを発揮するIntel® Xeon® SilverシリーズのCPUで、中でもXeon Silver 4309Yは、性能と省電力性のバランスが取れたIntel® Xeon® Silver 4300シリーズのCPUにあたります。
また、Xeon Silver 4309Yは、CPUのパフォーマンスを任意に制御できる「Intel Speed Select Technology」に対応しているYシリーズのCPUである点も大きな特徴です。
この記事では、Yシリーズの特徴やXeon Silver 4309Yとほかの製品を比較した結果もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4309Yはどのような用途におすすめ?
Xeon Silver 4309Yは、エントリーレベルのデータセンター向けに設計されたXeon SilverシリーズのCPUであるため、データセンターやクラウド環境でのタスクに最適です。
また、8コア16スレッドのスペックを備えているため、メールの管理やデータベースアプリケーションにも対応できるでしょう。
さらに、Xeon Silver 4309Yは、CPUのパフォーマンスを利用者側で任意に調整できる「Intel® Speed Select Technology」に対応しているため、実行するタスクにあわせてコア数やベース動作周波数を調整し、最適なパフォーマンスを発揮したい方にもおすすめです。
Xeon Silver 4309Yのスペック比較
Intel® Xeon® E-2356G | Intel® Xeon® Silver 4309Y | Intel® Xeon® Gold 6126 | |
製品コレクション | インテル® Xeon® E プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Rocket Lake | Ice Lake | Skylake |
プロセス | 14 nm | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 6 | 8 | 12 |
スレッド数 | 12 | 16 | 24 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz | 2.8GHz | 2.6GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.0GHz | 3.6GHz | 3.7GHz |
メモリの種類 | DDR4 3200 | DDR4 2667 | DDR4 2666 |
L3キャッシュ容量 | 12MB | 12MB | 19.25MB |
対応ソケット | FCLGA1200 | FCLGA4189 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 | 3.0 |
TDP | 80W | 105W | 125W |
発売日 | 2021/9 | 2021/4 | 2017/4 |
Xeon Silver 4309Yのスペックを同じIntel製CPUのIntel® Xeon® E-2356Gや、Intel® Xeon® Gold 6126とで比較してみていきます。
Xeon E-2356Gは、プロフェッショナルレベルのサーバーでビジネスデータの利用と保護を両立し、エントリーレベルのサーバーでは高度なセキュリティーを実現するCPUです。
コア数・スレッド数は6コア12スレッドと、Xeon Silver 4309Yを下回る数値ですが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Silver 4309Yを大きく上回っています。
タスクの負荷を問わず、快適な処理速度を体感できるため、作業効率の向上を狙いたい方におすすめです。
次に、Xeon Silver 4309Yの上位シリーズにあたるIntel® Xeon® GoldシリーズのXeon Gold 6126と比較します。
コア数・スレッド数は12コア24スレッドと、Xeon Silver 4309Yを上回る数値で、高いマルチスレッド性能がうかがえます。
加えて、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は大きな性能差はみられず、L3キャッシュ容量も19.25MBと大容量であるため、業務で大規模なデータを扱う方や、複数のアプリケーションやタスクを同時並行で効率的に進めたい方は、Xeon Gold 6126も検討してみてください。
また、Xeon Silver 4309Yと両製品のベンチマークも後ほど解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4309YとAMDシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 9 4900H | Intel® Xeon® Silver 4309Y | AMD EPYC™ 7252 | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ 9 Mobile Processors with Radeon™ Graphics | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | AMD EPYC™ 7002 Series |
開発コード名 | Renoir | Ice Lake | Rome |
プロセス | 7 nm | 10 nm | 7 nm |
コア数 | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.3GHz | 2.8GHz | 3.1GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.4GHz | 3.6GHz | 3.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 3200 LPDDR4 4266 |
DDR4 2667 | DDR4 |
L3キャッシュ容量 | 8MB | 12MB | 64MB |
対応ソケット | FP6 | FCLGA4189 | SP3 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 4.0 | 4.0 |
TDP | 45W | 105W | 120W |
発売日 | 2020/3 | 2021/4 | 2019/8 |
競合のAMD Ryzen™シリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD Ryzen™ 9 4900Hのプロセスは7nmと、Xeon Silver 4309Yの10nmより微細に設計されていますが、コア数・スレッド数は8コア16スレッドで、Xeon Silver 4309Yと同値です。
一方で、プロセッサー・ベース動作周波数は3.3GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.4GHzと、それぞれがXeon Silver 4309Yを大きく上回る数値で、安定した処理速度を実現します。
また、Ryzen 9 4900Hはノートパソコン向けCPUであるため、消費電力は45Wと抑えられているのも特徴です。
次に、AMD EPYC™ 7252と比較すると、Xeon Silver 4309Yとコア数・スレッド数は同値ですが、プロセッサー・ベース動作周波数は3.1GHzと、Xeon Silver 4309Yを300MHz上回っているので、通常利用時の処理速度を求める方には適しています。
加えて、L3キャッシュ容量は64MBと、Xeon Silver 4309Yの5倍以上の大容量であるため、高速にデータにアクセスし、処理を効率的に行いたい方におすすめです。
AMD製の両製品のベンチマークも後ほど詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
Xeon Silver 4309Yの特徴
Xeon Silver 4309Yの特徴を3つ解説します。
Xeon Silver 4309Yならではの特徴や、従来モデルのCPUと比較した結果を中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
Intel Speed Select Technologyに対応
Xeon Silver 4309Yは、Intelのプロセッサー技術のひとつである「Intel Speed Select Technology」に対応したYシリーズのCPUです。
「Intel Speed Select Technology」とは、CPUのパフォーマンスを利用者側で設定できる機能で、実行するタスクにあわせてコア数やベース動作周波数の調整が可能です。
例えば、コアあたりのパフォーマンスが高いほうが好ましい場合、少ないコア数で高いベース動作周波数で動くように設定したり、並列処理が好ましい場合は、より多くのアクティブなコアを低い周波数に設定したりできます。
購入後に変化するワークロード要件に迅速に対応できる点が大きなメリットです。
第3世代のXeon Silverシリーズの中ではクロック速度やシングルスレッド性能がトップクラス
Xeon Silver 4309Yは、第3世代のXeon Silverシリーズの中では、クロック速度やシングルスレッド性能がトップクラスのCPUです。
Xeon Silver 4309Yとほかの製品のプロセッサー・ベース動作周波数を比較すると、Xeon Silver 4309Yは2.8GHzと最も高く、第3世代のXeon Silverシリーズの中では通常利用時において高い処理速度を誇ります。
また、CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingを比較してみても、Xeon Silver 4309Yは最も高いスコアで、ほかの製品とは5%前後の性能差がみられました。
Xeon Silver 4309Yのそのほかのベンチマークも後ほど解説するので、ぜひ参考にしてください。
より高いマルチスレッド性能を求めるならXeon Goldシリーズがおすすめ
Xeon Silver 4309YよりもハイスペックなCPUを求めるなら、Xeon Silverシリーズの上位シリーズにあたるXeon GoldシリーズのCPUがおすすめです。
Intel® Xeon® Silver 4309Y | Intel® Xeon® Gold 5318Y | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Ice Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 8 | 24 |
スレッド数 | 16 | 48 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.8GHz | 2.1GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.6GHz | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 | DDR4 2933 |
L3キャッシュ容量 | 12MB | 36MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 |
TDP | 105W | 165W |
発売日 | 2021/4 | 2021/4 |
例えば、Xeon Silver 4309Yと同じ第3世代のYシリーズで、同時期に発売されたIntel® Xeon® Gold 5318Yと比較すると、Xeon Gold 5318Yのコア数・スレッド数は24コア48スレッドと、Xeon Silver 4309Yの3倍の数値です。
プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Silver 4309Yにわずかに劣るものの、L3キャッシュ容量は36MBと大容量で、データへの高速なアクセスを実現します。
Xeon GoldシリーズのCPUは、Xeon Silverシリーズと比べてコア数やスレッド数、L3キャッシュ容量が優れている傾向にあるので、高いマルチスレッド性能を求める方は、Xeon Gold 5318YをはじめとしたXeon GoldシリーズのCPUをおすすめします。
Xeon Silver 4309Yのベンチマーク
Xeon Silver 4309YのベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Silver 4309Yの性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingからみていきます。
Xeon Silver 4309Yのスコアは19227と、Xeon Gold 6126やXeon E-2356Gを上回るスコアでした。
Xeon Gold 6126は、Xeon Silver 4309Yの上位シリーズにあたるXeon GoldシリーズのCPUで、コア数・スレッド数はXeon Silver 4309Yを上回る数値ですが、上記のような位置づけになりました。
一方で、AMD製の両製品と比較すると、Xeon Silver 4309Yはわずかに下回っています。
AMD製の両製品のコア数・スレッド数はXeon Silver 4309Yと同値ですが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数が上回っていることが、上位のスコアになったひとつの要因として考えられます。
PassMark(CPU Value)
※Ryzen 9 4900Hは必要な情報が不足しているため、4製品で比較
CPUのコストパフォーマンスを数値化したPassMarkのCPU Valueも比較します。
Xeon Silver 4309Yのスコアは44.3と、4つの製品の中では最も低い数値でした。
最も高いスコアだったのはXeon Gold 6126で、Xeon Silver 4309Yのおよそ240%の数値で大きな開きがあることから、コストパフォーマンスのよさがうかがえます。
PassMarkのCPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを把握するうえで参考になるベンチマークのひとつなので、コストパフォーマンスに優れた製品を導入したい方は、基本スペックやほかのベンチマークとあわせて確認してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingもみていきましょう。
Xeon Silver 4309Yのスコアは2398と、CPU Mark Ratingと同様に、Xeon Gold 6126を上回る数値でした。
一方で、CPU Mark Ratingでは上回っていたXeon E-2356Gと比較すると、およそ40%の開きがみられました。
また、AMD製のRyzen 9 4900Hと比較しても、およそ15%の性能差がみられます。
シングルスレッド性能は、メールの管理やMicrosoft Wordを使った資料作成といった、単一のスレッドで実行できる比較的負荷の小さいタスクの処理性能を表します。
ビジネスシーンでCPUを活用する方は、特に注目しておきましょう。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Xeon Silver 4309Yの消費電力は105Wと、5つの製品の中では中間の数値でした。
最も低い消費電力だったのは、ノートパソコン向けのRyzen 9 4900Hで、Xeon Silver 4309Yとは60Wの差がみられます。
一般的に、CPUはデスクトップ向けやサーバー向けよりもノートパソコン向けのほうが消費電力が抑えられている傾向にあるので、少しでも省電力性に優れたCPUを導入したい方は、ノートパソコン向けCPUや、デスクトップ向けの省電力モデルにあたるTシリーズのCPUがおすすめです。
Xeon Silver 4309Yを使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Silver 4309Yのカスタマイズが可能なおすすめPC
Xeon Silver 4309Yのカスタマイズが可能なおすすめPCを紹介します。
Xeon Silver 4309Yの導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4620 標準モデル
raytrek Workstation X4620は、幅広い用途で高いパフォーマンスを発揮できるハイエンドモデルのPCです。
拡張性に優れており、デュアルプロセッサー構成時には、最大32コア64スレッドの実現が可能です。
加えて、標準搭載されたNVIDIA® T1000以外にも、グラフィックボードを最大2枚まで搭載できるため、動画編集やディープラーニング、CADなど、さまざまなクリエイティブシーンで高いパフォーマンスを期待できます。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Silver 4309Y」のスペックや特徴、ベンチマーク、カスタマイズが可能なおすすめのパソコンまでを解説しました。
Xeon Silver 4309Yは、Xeon Silver 4300シリーズのエントリークラスにあたるCPUで、8コア16スレッドのスペックを備えています。
また、CPUのパフォーマンスを任意に制御できる「Intel Speed Select Technology」に対応しているYシリーズのCPUでもあるため、タスクに応じてCPUの性能を調整し、最適なパフォーマンスを発揮したい方に適しています。
これからCPUを選定する方は、この記事で紹介した基本スペックやベンチマークの比較結果を参考に、用途に適した製品を選定してみてください。