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Xeon Silver 4215Rとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Silver 4215R」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Silver 4215RとほかのCPUのベンチマークを比較した結果や、カスタマイズが可能なおすすめPCもお伝えするので、CPUの選定に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Silver 4214Rの基本スペック
Intel® Xeon® Silver 4215R | |
製品コレクション | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Cascade Lake |
プロセス | 14 nm |
コア数 | 8 |
スレッド数 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.0GHz |
メモリの種類 | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 11MB |
対応ソケット | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 3.0 |
TDP | 130W |
発売日 | 2020/2 |
Intel® Xeon® Silver 4215Rは、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
高速なメモリや優れた電力効率が特徴のIntel® Xeon® SilverシリーズのCPUで、エントリーレベルのデータセンター向けに設計されました。
そんなXeon Silverシリーズの中でもXeon Silver 4215Rは、第2世代のIntel® Xeon® Silver 4200シリーズにあたり、Xeon Silver 4200シリーズには、Xeon Silver 4215Rの従来モデルのIntel® Xeon® Silver 4215や、上位モデルのIntel® Xeon® Silver 4216などさまざまなCPUがあります。
この記事では、これらの製品とスペックやベンチマークを比較した結果もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4215Rはどのような用途におすすめ?
Xeon Silver 4215Rは、エントリーレベルのデータセンターにおけるコンピューティングやネットワークに求められるパフォーマンスを発揮するXeon SilverシリーズのCPUで、データベースや仮想化環境、ファイルサーバーでの利用に適しています。
また、シングルスレッド性能にも優れており、メールの管理やMicrosoft PowerPointなどのビジネスアプリケーションを活用した資料作成といったビジネスシーンでも高い性能を発揮します。
ただし、コア数・スレッド数は8コア16スレッドと、そのほかのCPUと比べるとエントリーレベルのスペックであるため、高いマルチスレッド性能が求められる3Dレンダリングや機械学習には向いていません。
Xeon Silver 4215Rのスペック比較
Intel® Core™ i9-10900T | Intel® Xeon® Silver 4215R | Intel® Core™ i7-10875H | |
製品コレクション | 第 10 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー・ファミリー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 10 世代インテル® Core™ i7 プロセッサー・ファミリー |
開発コード名 | Comet Lake | Cascade Lake | Comet Lake |
プロセス | 14 nm | 14 nm | 14 nm |
コア数 | 10 | 8 | 8 |
スレッド数 | 20 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 1.9GHz | 3.2GHz | 2.3GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.6GHz | 4.0GHz | 5.1GHz |
メモリの種類 | DDR4 2933 | DDR4 2400 | DDR4 2933 |
L3キャッシュ容量 | 20MB | 11MB | 16MB |
対応ソケット | FCLGA1200 | FCLGA3647 | FCBGA1440 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 3.0 | 3.0 |
TDP | 35W | 130W | 45W |
発売日 | 2020/4 | 2020/2 | 2020/4 |
Xeon Silver 4215Rのスペックを、同じIntel製CPUのIntel® Core™ i9-10900TやIntel® Core™ i7-10875Hとで比較してみていきます。
Core i9-10900Tのコア数・スレッド数は10コア20スレッドと、Xeon Silver 4215Rの8コア16スレッドを上回る搭載数です。
一方で、Core i9-10900Tのプロセッサー・ベース動作周波数は1.9GHzと低く、Xeon Silver 4215Rの3.2GHzと1.3GHzの差がみられるため、通常利用時の処理速度を重視したい方は、Xeon Silver 4215Rがおすすめです。
また、Core i9-10900Tは、Intel® Core™ iシリーズの中でも特に省電力性に優れたTシリーズのCPUで、デスクトップ向けでありながら消費電力は35Wに抑えられているので、消費電力が低いCPUを導入したい方は、Core i9-10900Tを検討してみてください。
次に、Core i7-10875Hと比較します。
Core i7-10875Hは、ノートパソコン向けのハイエンドモデルにあたるHシリーズのCPUで、コア数・スレッド数はXeon Silver 4215Rと同値ですが、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は5.1GHzと高く、Xeon Silver 4215Rを大きく上回っています。
そのため、高負荷がかかるクリエイティブ系のアプリケーションの使用での処理速度を重視したい方は、Core i7-10875Hがおすすめです。
消費電力も45Wと、ノートパソコン向けであるため低く抑えられているのも特徴です。
後ほどXeon Silver 4215Rと両製品のベンチマークを比較した結果も解説するので、ぜひあわせてご覧ください。
Xeon Silver 4215RとAMDシリーズのスペック比較
AMD EPYC™ 7301 | Intel® Xeon® Silver 4215R | AMD Ryzen™ 5 5560U | |
製品コレクション | AMD EPYC™ 7001 Series | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | AMD Ryzen™ 5 Mobile Processors with Radeon™ Graphics |
開発コード名 | Matisse | Cascade Lake | Cezanne |
プロセス | 14 nm | 14 nm | 7 nm |
コア数 | 16 | 8 | 6 |
スレッド数 | 32 | 16 | 12 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.2GHz | 3.2GHz | 2.3GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 2.7GHz | 4.0GHz | 4.0GHz |
メモリの種類 | DDR4 |
DDR4 2400 | DDR4 LPDDR4X |
L3キャッシュ容量 | 64MB | 11MB | 8MB |
対応ソケット | SP3 | FCLGA3647 | FP3 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 3.0 | 3.0 |
TDP | 155W | 130W | 15W |
発売日 | 2017/6 | 2020/2 | 2021/1 |
競合のAMDシリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD EPYC™ 7301のコア数・スレッド数は16コア32スレッドと、Xeon Silver 4215Rの2倍の搭載数で、優れたマルチスレッド性能がうかがえます。
その一方で、プロセッサー・ベース動作周波数は2.2GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は2.7GHzと、Xeon Silver 4215Rと比べると物足りない数値であるため、処理速度を重視したい方は、Xeon Silver 4215Rのほうが適しているでしょう。
L3キャッシュ容量は64MBと大容量なので、業務で大規模なデータを扱う方は、EPYC 7301も検討してみてください。
次に、AMD Ryzen™ 5 5560Uと比較します。
Ryzen 5 5560Uは、ノートパソコン向けの中でも特に省電力性に優れたUシリーズのCPUで、消費電力は15Wに抑えられているため、前述したCore i9-10900Tと同様に、消費電力を重視する方におすすめです。
コア数・スレッド数、プロセッサー・ベース動作周波数は、Xeon Silver 4215Rが上回る数値で、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は同値です。
マルチスレッド性能や処理速度を重視するなら、Xeon Silver 4215Rのほうが適しています。
Xeon Silver 4215Rの特徴
Xeon Silver 4215Rの特徴を3つ解説します。
Xeon Silver 4215Rと同シリーズのCPUを比較してわかる特徴や、上位シリーズとの性能差を中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4215のリフレッシュモデル
Xeon Silver 4215Rは、従来モデルのXeon Silver 4215のリフレッシュモデルにあたるCPUで、さまざまな性能でスペックアップがみられます。
Intel® Xeon® Silver 4215R | Intel® Xeon® Silver 4215 | |
製品コレクション | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Cascade Lake | Cascade Lake |
プロセス | 14 nm | 14 nm |
コア数 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz | 2.5GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.0GHz | 3.5GHz |
メモリの種類 | DDR4 2400 | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 11MB | 11MB |
対応ソケット | FCLGA3647 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 3.0 |
TDP | 130W | 85W |
発売日 | 2020/2 | 2019/4 |
従来モデルのXeon Silver 4215のプロセッサー・ベース動作周波数は2.5GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は3.5GHzですが、Xeon Silver 4215Rではそれぞれ500MHz〜700MHzの向上がみられます。
クロック速度が向上した分、消費電力も上がっていますが、より優れた処理速度を求める方は、Xeon Silver 4215Rがおすすめです。
また、CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingを比較してみても、およそ11%のスペック向上がみられました。
CPUには、Xeon Silver 4215Rのように末尾にRのつくリフレッシュモデルがあるので、従来モデルよりも優れたスペックを備えたCPUを導入したい方は、参考にしてください。
Xeon Silver 4200シリーズの中ではトップクラスのシングルスレッド性能を誇る
Xeon Silver 4215Rは、Xeon Silver 4200シリーズのほかのCPUと比較しても、トップクラスのシングルスレッド性能を誇ります。
Xeon Silver 4215RのCPU Single Thread Ratingのスコアは2290で、ほかの4製品と比べると唯一の2000台の数値です。
次いで高いスコアだったIntel® Xeon® Silver 4214Rと比較しても、Xeon Silver 4215RはXeon Silver 4214Rの116%の数値で、大きな性能差がみられます。
シングルスレッド性能は、Webサイトでの検索やメールの送受信といった、単一のスレッドで実行できる負荷の軽いタスクの処理性能を表すので、これらのタスクを業務で行うビジネスパーソンの方は、Xeon Silver 4200シリーズの中ではXeon Silver 4215Rがおすすめです。
より高いマルチスレッド性能を求めるならXeon Silver 4216がおすすめ
Xeon Silver 4215からスペックアップがみられ、Xeon Silver 4200シリーズの中でもトップクラスのシングルスレッド性能を誇るXeon Silver 4215Rですが、より高いマルチスレッド性能を求めるなら、Xeon Silver 4200シリーズの最上位モデルにあたるXeon Silver 4216がおすすめです。
Intel® Xeon® Silver 4215R | Intel® Xeon® Silver 4216 | |
製品コレクション | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Cascade Lake | Cascade Lake |
プロセス | 14 nm | 14 nm |
コア数 | 8 | 16 |
スレッド数 | 16 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz | 2.1GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.0GHz | 3.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 2400 | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 11MB | 22MB |
対応ソケット | FCLGA3647 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 3.0 |
TDP | 130W | 100W |
発売日 | 2020/2 | 2019/4 |
Xeon Silver 4216は、Xeon Silver 4215Rと同じ第2世代のCPUで、クロック速度は劣りますが、コア数・スレッド数は16コア32スレッドと、Xeon Silver 4215Rの2倍の搭載数で高いマルチスレッド性能を備えています。
そのため、複数のアプリケーションやタスクを同時並行で行いたい方や、高度な並列計算タスクが求められる科学計算や機械学習を実行する方は、Xeon Silver 4216がおすすめです。
また、Xeon Silverシリーズの上位シリーズにあたるIntel® Xeon® Goldシリーズも多くのコア・スレッドを搭載しており、優れたマルチスレッド性能を備えたCPUなので、あわせて検討してみてください。
Xeon Silver 4215Rのベンチマーク
Xeon Silver 4215RのベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Silver 4215Rの性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingからみていきましょう。
Xeon Silver 4215Rのスコアは15056と、EPYC 7301やCore i9-10900Tを上回るスコアでした。
Xeon Silver 4215Rは、EPYC 7301やCore i9-10900Tよりもコア数・スレッド数は少ないですが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は上回る数値であることから、上位のスコアになったと考えられます。
一方で、Core i7-10875HやRyzen 5 5560Uと比較すると、わずかに劣るスコアです。
以降では、コストパフォーマンスやシングルスレッド性能のベンチマークも解説するので、あわせて確認してCPUの得意・不得意分野を見極めましょう。
PassMark(CPU Value)
※Ryzen 5 5560Uは、情報が不足しているため、4製品で比較
PassMarkのCPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを数値化したベンチマークです。
販売価格をCPU Mark Ratingで割って算出され、一目でCPUのコストパフォーマンスを把握できるため、コストパフォーマンスを重視したい方は、把握しておきたいベンチマークのひとつです。
Xeon Silver 4215Rのスコアは21.7と、EPYC 7301と比べるとおよそ217%の数値で、コストパフォーマンスの差がみられました。
一方で、同じIntel製のCore i7-10875HやCore i9-10900Tと比較すると、およそ54%〜96%の開きがあります。
CPUのコストパフォーマンスを比較したい方は、基本スペックとあわせてCPU Valueも確認してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingも比較します。
Xeon Silver 4215Rのスコアは2290と、CPU Valueと同様に、EPYC 7301とは大きなスコア差がみられました。
ただし、最も高いスコアだったRyzen 5 5560Uと比べると、Xeon Silver 4215Rの122%の数値で大きな性能差がみられ、Core iシリーズの2製品よりも劣るスコアでした。
ビジネスシーンでのPCの使用を検討している方は、上記のように複数のCPUのCPU Single Thread Ratingを比較して性能を見極めましょう。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Xeon Silver 4215Rの消費電力は130Wと、5つの製品の中ではEPYC 7301に次いで高い数値でした。
最も低い消費電力だったのは、省電力性に優れたノートパソコン向けのUシリーズにあたるRyzen 5 5560Uの15Wで、Xeon Silver 4215Rとは115Wもの差があります。
一般的には、ノートパソコン向けよりもデスクトップ向けのほうが消費電力が高い傾向にあるので、消費電力を抑えたい方は、ノートパソコン向けや、デスクトップ向けの超省電力モデルにあたるCore i9-10900TをはじめとしたTシリーズのCPUをおすすめします。
Xeon Silver 4215Rを使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Silver 4215Rのカスタマイズが可能なおすすめPC
Xeon Silver 4215Rのカスタマイズが可能なおすすめPCを紹介します。
Xeon Silver 4215Rの導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4612 標準モデル
raytrek Workstation X8612は、X4612の上位モデルにあたるフラッグシップモデルのPCです。
X4612と同様に、最大で28コア56スレッドの実現が可能なだけでなく、NVIDIA® T600をはじめとしたウルトラハイエンドのグラフィックボードを最大4枚まで搭載でき、動画・オーディオ編集やディープラーニング、3Dアニメーションなど、さまざまなシーンで高いパフォーマンスを発揮します。
また、商用100V電源での運用が可能なため、オフィスにも導入できるでしょう。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Silver 4215R」のスペックや特徴、ベンチマーク、カスタマイズが可能なおすすめPCまでを解説しました。
Xeon Silver 4215Rは、Xeon Silver 4200シリーズの中でトップクラスのシングルスレッド性能を備えたCPUで、ビジネスシーンでの活用がおすすめです。
高いマルチスレッド性能を求める方は、この記事で紹介したXeon Silver 4216やXeon Goldシリーズを検討してみてください。
また、これからCPUを選定する方は、紹介した基本スペックやベンチマークを参考に、用途に合った製品を導入しましょう。