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Xeon Silver 4316とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Silver 4316」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Silver 4316とほかの製品のスペック・ベンチマークを比較した結果や、おすすめPCもお伝えするので、複数の製品を比較して自身に合ったCPUを選定したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Silver 4316の基本スペック
Intel® Xeon® Silver 4316 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 20 |
スレッド数 | 40 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.3GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 |
L3キャッシュ容量 | 30MB |
対応ソケット | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 |
TDP | 150W |
発売日 | 2021/4 |
Intel® Xeon® Silver 4316は、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
エントリーレベルのデータセンターにおけるコンピューティングやネットワークに求められる性能を発揮するIntel® Xeon® SilverシリーズのCPUで、中でもXeon Silver 4316は、第3世代のIntel® Xeon® Silver 4300シリーズの最上位モデルにあたります。
また、Xeon Silver 4300シリーズには、Xeon Silver 4316のほかに、下位モデルのIntel® Xeon® Silver 4314やIntel® Xeon® Silver 4310TなどのCPUがあります。
この記事では、これらの製品や別シリーズのCPUとスペックを比較した結果もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4316はどのような用途におすすめ?
Xeon Silver 4316は、エントリーレベルのデータセンター向けに設計されたCPUで、コンピューティングやネットワークなどに求められるハードウェア支援型の性能を発揮することから、データベースや仮想環境、ファイルサーバーなどの用途での使用に適しています。
また、Xeon Silver 4300シリーズの最上位モデルで、同シリーズの中では最多の20コア40スレッドのスペックを備えているため、2D・3Dのグラフィック処理や動画編集、音楽編集でも十分なパフォーマンスを期待できます。
Xeon Silver 4216のスペック比較
Intel® Xeon® w5-3425 | Intel® Xeon® Silver 4316 | Intel® Xeon® Gold 6238R | |
製品コレクション | インテル® Xeon® W プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Sapphire Rapids | Ice Lake | Cascade Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 12 | 20 | 28 |
スレッド数 | 24 | 40 | 56 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz | 2.3GHz | 2.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.6GHz | 3.4GHz | 4.0GHz |
メモリの種類 | DDR5 4800 |
DDR4 2667 | DDR4 2933 |
L3キャッシュ容量 | 30MB | 30MB | 38.5MB |
対応ソケット | FCLGA4677 | FCLGA4189 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 5.0 | 4.0 | 3.0 |
TDP | 270W | 150W | 165W |
発売日 | 2023/1 | 2021/4 | 2020/2 |
Xeon Silver 4316のスペックを、同じIntel製CPUのIntel® Xeon® w5-3425やIntel® Xeon® Gold 6238Rとで比較してみていきます。
Xeon w5-3425は、プロフェッショナルなクリエイター向けに設計されたIntel® Xeon® WシリーズのCPUです。
Xeon w5-3425のコア数・スレッド数は12コア24スレッドと、Xeon Silver 4316よりも少ない搭載数ですが、プロセッサー・ベース動作周波数は3.2GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.6GHzと高く、Xeon Silver 4316を大きく上回っています。
また、DDR4よりも高速な転送速度が特徴のDDR5に対応している点も、Xeon Silver 4316との違いのひとつです。
Xeon w5-3425をはじめとしたXeon Wシリーズは、3DレンダリングやCAD、AI開発でも高いパフォーマンスを発揮するため、幅広いクリエイターにおすすめです。
次に、Xeon Silverシリーズの上位シリーズにあたるIntel® Xeon® GoldシリーズのXeon Gold 6238Rと比較します。
Xeon Gold 6238Rのコア数・スレッド数は28コア56スレッドと、Xeon Silver 4316の20コア40スレッドを上回る搭載数で、高いマルチスレッド性能がうかがえます。
加えて、プロセッサー・ベース動作周波数は2.2GHzと、わずかにXeon Silver 4316の2.3GHzより劣るものの、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.0GHzと、Xeon Silver 4316の3.4GHzを600MHz上回る数値です。
消費電力はXeon Silver 4316より15W高い165Wですが、優れたマルチスレッド性能や高負荷時の処理速度の高さを求める方は、Xeon Gold 6238Rがおすすめです。
Xeon Silver 4316と両製品のベンチマークも後ほど詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4216とAMDシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 7 7700 | Intel® Xeon® Silver 4316 | AMD Ryzen™ 7 7700X | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ 7 Processors | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | AMD Ryzen™ 7 Processors |
開発コード名 | Raphael | Ice Lake | Raphael |
プロセス | 5 nm | 10 nm | 5 nm |
コア数 | 8 | 20 | 8 |
スレッド数 | 16 | 40 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.8GHz | 2.3GHz | 4.5GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.3GHz | 3.4GHz | 5.4GHz |
メモリの種類 | DDR5 |
DDR4 2667 | DDR5 |
L3キャッシュ容量 | 32MB | 30MB | 32MB |
対応ソケット | AM5 | FCLGA4189 | AM5 |
PCI Express リビジョン | 5.0 | 4.0 | 5.0 |
TDP | 65W | 150W | 105W |
発売日 | 2023/1 | 2021/4 | 2022/9 |
競合のAMD Ryzen™シリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD Ryzen™ 7 7700のコア数・スレッド数は8コア16スレッドと、Xeon Silver 4316と比べると少ない搭載数ですが、プロセッサー・ベース動作周波数は3.8GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は5.3GHzと優れた数値で、Xeon Silver 4316を上回っており、タスクの負荷に左右されず高い処理速度が期待できます。
また、Xeon Silver 4316が対応していないDDR5にも対応しており、L3キャッシュ容量も32MBと、わずかながら上回っています。
マルチスレッド性能よりも処理速度の高さを求める方は、Ryzen 7 7700も検討してみてください。
次に、AMD Ryzen™ 7 7700Xと比較すると、コア数・スレッド数はRyzen 7 7700と同じ8コア16スレッドで、Xeon Silver 4316のほうが上回っていますが、プロセッサー・ベース動作周波数は4.5GHz、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は5.4GHzと高く、Xeon Silver 4316を大きく上回っています。
Ryzen 7 7700Xは、Ryzen 7 7700と同様にDDR5に対応しており、L3キャッシュ容量も上回っています。
消費電力も105Wと、Xeon Silver 4316より抑えられているので、優れた処理速度や省電力性を重視したい方は、Ryzen 7 7700Xも選択肢のひとつとして検討してみてください。
Xeon Silver 4316の特徴
Xeon Silver 4316の特徴を3つ解説します。
Xeon Silver 4316と同シリーズ・前世代のCPUを比較してわかる特徴を中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4300シリーズの最上位モデル
Xeon Silver 4316は、Xeon Silver 4300シリーズの最上位モデルにあたるCPUです。
Xeon Silver 4316とほかのXeon Silver 4300シリーズのPassMarkのCPU Mark Rating(CPUの総合的な性能を数値化したベンチマーク)を比較すると、Xeon Silver 4316が唯一の30,000台のスコアで、次いで高いスコアだったXeon Silver 4314の127%の数値です。
Xeon Silver 4300シリーズのエントリーモデルのIntel® Xeon® Silver 4309Yと比べると、およそ2倍の差がみられました。
また、CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingを比較してみても、Xeon Silver 4316は最も高いスコアだったXeon Silver 4309Yと僅差の2位に位置づけられています。
Xeon Silver 4300シリーズの中でも特にハイスペックなCPUを求める方は、Xeon Silver 4316がおすすめです。
前世代のXeon Silver 4216から大幅にスペックが向上
Xeon Silver 4316は、前世代の従来モデルにあたるIntel® Xeon® Silver 4216から大幅なスペック向上がみられるCPUです。
Intel® Xeon® Silver 4316 | Intel® Xeon® Silver 4216 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Cascade Lake |
プロセス | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 20 | 16 |
スレッド数 | 40 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.3GHz | 2.1GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.4GHz | 3.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 30MB | 22MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 3.0 |
TDP | 150W | 100W |
発売日 | 2021/4 | 2019/4 |
第2世代のXeon Silver 4216ではCascade Lake アーキテクチャが採用されていましたが、第3世代のXeon Silver 4316ではIce Lake アーキテクチャに進化しています。
このことが要因で、プロセスも14nmから10nmまで微細化され、コア数・スレッド数も増量されました。
加えて、プロセッサー・ベース動作周波数とターボ・ブースト利用時の最大周波数は、それぞれ200MHz上昇し、L3キャッシュ容量も8MB増量されています。
PassMarkのCPU Single Thread Ratingも、Xeon Silver 4316のスコアはXeon Silver 4216の131%の数値で、確かなスペックアップがみられます。
より優れたマルチスレッド性能を求めるならXeon Gold 5320がおすすめ
Xeon Silver 4300シリーズの中では最上位モデルにあたるXeon Silver 4316ですが、より高いマルチスレッド性能を求めるなら、上位シリーズのXeon GoldシリーズのCPUがおすすめです。
Intel® Xeon® Silver 4316 | Intel® Xeon® Gold 5320 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Ice Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 20 | 26 |
スレッド数 | 40 | 52 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.3GHz | 2.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.4GHz | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 | DDR4 2933 |
L3キャッシュ容量 | 30MB | 39MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 |
TDP | 150W | 185W |
発売日 | 2021/4 | 2021/4 |
例えば、同じ第3世代で同時期に発売されたIntel® Xeon® Gold 5320とスペックを比較すると、アーキテクチャやプロセスは同世代のため同じですが、コア数・スレッド数は26コア52スレッドと、Xeon Silver 4316の20コア40スレッドを大きく上回る搭載数です。
また、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は大きな差はみられませんが、Xeon Gold 5320のL3キャッシュ容量は39MBと大容量です。
ハイスペックな分、消費電力は185Wと高めですが、より優れたマルチスレッド性能を求める方は、Xeon Gold 5320をはじめとしたXeon GoldシリーズのCPUを検討してみてください。
Xeon Silver 4316のベンチマーク
Xeon Silver 4316のベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Silver 4316の性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
まずは、PassMarkのCPU Mark Ratingから比較していきます。
Xeon Silver 4316のスコアは37264と、AMD製のRyzen 7 7700やRyzen 7 7700Xとおよそ3%〜6%の差を開いて上回る数値でした。
Xeon Silver 4316は、両製品と比べてクロック速度は劣りますが、搭載されているコア数・スレッド数は大きく上回るため、上位に位置づけられたと考えられます。
一方で、同じIntel製のXeon w5-3425やXeon Gold 6238Rと比較すると、わずかに下回っています。
Xeon Silver 4316は、Xeon w5-3425よりもコア数・スレッド数は多いものの、クロック速度で大きな性能差がみられ、Xeon Gold 6238Rとはコア数・スレッド数で差がある点が、下回るひとつの要因として考えられるでしょう。
PassMark(CPU Value)
CPUのコストパフォーマンスを数値化したPassMarkのCPU Valueも比較します。
Xeon Silver 4316のスコアは40.3と、CPU Mark Ratingでは下回っていたXeon w5-3425やXeon Gold 6238Rを上回る数値でした。
その一方で、CPU Mark Ratingで上回っていたAMD製のRyzen 7 7700やRyzen 7 7700Xと比べると、Ryzen 7 7700はXeon Silver 4316の272%、Ryzen 7 7700Xは285%のスコアで、両製品のコストパフォーマンスのよさがうかがえます。
PassMarkのCPU Valueは、販売価格をCPU Mark Ratingのスコアで割って算出されるベンチマークで、コストパフォーマンスを把握するうえで参考になるので、優れたコストパフォーマンスを備えたCPUを導入したい方は、ぜひ参考にしてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingもみていきましょう。
Xeon Silver 4316のスコアは2380と、5つの製品の中では2番目に低い数値でした。
特に、CPU Valueと同様に、AMD製の両製品との差が大きく、Ryzen 7 7700はXeon Silver 4316の172%、Ryzen 7 7700Xは178%のスコアで、シングルスレッド性能の大きな性能差がみられました。
また、Intel製のXeon w5-3425と比較しても、141%の開きがあります。
シングルスレッド性能は、Webブラウジングやメールの管理といった、単一のスレッドで実行できる負荷の小さいタスクの処理性能を表すので、これらのタスクを業務で行う方は、PassMarkのCPU Single Thread Ratingも参考に、CPUを選定してみてください。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Xeon Silver 4316の消費電力は150Wと、最も高い消費電力のXeon w5-3425の270Wと比べると、120W抑えられていますが、最も低い消費電力だったRyzen 7 7700よりも85W高い数値です。
低消費電力のCPUは、発熱量も低く冷却がしやすいため、性能を維持しやすいのが特徴ですが、消費電力が高い製品と比べて性能が控えめな傾向にあります。
省電力性に優れたCPUを導入したい方は、消費電力だけでなく、基本スペックやベンチマークも確認したうえで、用途に対して十分な性能を発揮できるCPUを選定しましょう。
Xeon Silver 4316を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Silver 4316のカスタマイズが可能なおすすめPC
Xeon Silver 4316のカスタマイズが可能なおすすめPCを紹介します。
Xeon Silver 4316の導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4620 標準モデル
raytrek Workstation X4620は、拡張性に優れたハイエンドモデルのPCです。
デュアルプロセッサー構成時には、最大で32コア64スレッドの実現が可能なうえに、標準搭載されたNVIDIA® T1000のほかにNVIDIA® GeForceシリーズやNVIDIA® RTX™ シリーズのウルトラハイエンド・グラフィックボードを最大2枚まで搭載できます。
そのため、高い処理性能が求められる高解像度の動画編集やオーディオ編集、3Dアニメーションなどのクリエイティブシーンでも高いパフォーマンスを期待できます。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Silver 4316」のスペックや特徴、ベンチマーク、カスタマイズが可能なおすすめPCまでを解説しました。
Xeon Silver 4316は、Xeon Silver 4300シリーズの最上位モデルにあたるCPUで、20コア40スレッドのスペックを備えているため、データセンターやサーバーなどの用途での使用はもちろん、グラフィック処理や動画編集などのクリエイティブシーンでも十分な性能を発揮します。
CPUの選定に悩んでいる方は、この記事で紹介したXeon Silver 4316とほかのCPUの基本スペック、ベンチマークを比較した結果を参考に、自身に合った製品を導入しましょう。