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Xeon Gold 5315Yとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Gold 5315Y」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Gold 5315Yのベンチマークやカスタマイズが可能なおすすめPCもお伝えするので、CPUの選定に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Gold 5315Yの基本スペック
Intel® Xeon® Gold 5315Y | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 8 |
スレッド数 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.6GHz |
メモリの種類 | DDR4 2933 |
L3キャッシュ容量 | 12MB |
対応ソケット | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 |
TDP | 140W |
発売日 | 2021/4 |
Intel® Xeon® Gold 5315Yは、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
要求の厳しいデータセンターやマルチクラウド・コンピューティング、ネットワークなどのワークロードに最適化されたIntel® Xeon® GoldシリーズのCPUで、中でもXeon Gold 5315Yは、Intel® Xeon® Gold 5300シリーズのエントリークラスにあたります。
また、Xeon Gold 5300シリーズには、Xeon Gold 5315Yの上位モデルのIntel® Xeon® Gold 5317やIntel® Xeon® Gold 5318YなどさまざまなCPUがあります。
この記事では、これらの同シリーズや、競合のAMD製のCPUと性能を比較した結果もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Gold 5315Yはどのような用途におすすめ?
Xeon Gold 5315Yは、高い処理性能が求められるメインストリームのデータセンターやネットワークに最適化されたXeon GoldシリーズのCPUで、データベースサーバーや仮想化環境の用途での使用に適しています。
また、運用者側でCPUのパフォーマンスを調整できる「Intel® Speed Select Technology」に対応しているため、用途やタスクに応じてCPUの性能を自在に切り替えたい方にもおすすめです。
ただし、コア数・スレッド数は8コア16スレッドと、上位モデルと比べるとマルチスレッド性能は劣るため、より高い処理性能を求める方は、より多くのコアを搭載した上位モデルや上位シリーズのCPUの検討をおすすめします。
Xeon Gold 5315Yのスペック比較
Intel® Core™ i5-12500E | Intel® Xeon® Gold 5315Y | Intel® Core™ i7-11800H | |
製品コレクション | 第 12 世代インテル® Core™ i5 プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 11 世代インテル® Core™ i7 プロセッサー |
開発コード名 | Alder Lake | Ice Lake | Tiger Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 6 | 8 | 8 |
スレッド数 | 12 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.9GHz | 3.2GHz | 2.3GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.5GHz | 3.6GHz | 4.6GHz |
メモリの種類 | DDR5 4800 DDR4 3200 |
DDR4 2933 | DDR4 |
L3キャッシュ容量 | 18MB | 12MB | 24MB |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA4189 | FCBGA1787 |
PCI Express リビジョン | 5.0 and 4.0 | 4.0 | 4.0 |
TDP | 65W | 140W | 45W |
発売日 | 2022/1 | 2021/4 | 2021/5 |
Xeon Gold 5315Yのスペックを同じIntel製CPUのIntel® Core™ i5-12500Eや、 Intel® Core™ i7-11800Hとで比較してみていきます。
Core i5-12500Eは、Intel® Core™ iシリーズの第12世代のCPUで、末尾のEは「Embedded(組み込み)」の略です。
Core i5-12500Eのコア数・スレッド数は6コア12スレッドと、エントリークラスの搭載数で、Xeon Gold 5315Yを下回っており、プロセッサー・ベース動作周波数も2.9GHzでXeon Gold 5315Yのほうが優れた数値です。
一方で、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.5GHzと、Xeon Gold 5315Yを上回っており、DDR4から転送速度が高速化したDDR5に対応しています。
高い負荷のかかるクリエイティブ系アプリケーションを快適な速度で使用したい方は、Core i5-12500Eがおすすめです。
次に、ノートパソコン向けCPUのハイエンドモデルにあたるHシリーズのCore i7-11800Hと比較します。
Core i7-11800Hのコア数・スレッド数は8コア16スレッドと、Xeon Gold 5315Yと同値で、
プロセッサー・ベース動作周波数は2.3GHzと低い数値ですが、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.6GHzと高く、高負荷時の処理速度の高さがうかがえます。
また、L3キャッシュ容量も24MBと、Xeon Gold 5315Yの2倍の容量であるため、大規模なデータに効率的にアクセスしたい方に適しているでしょう。
消費電力も45Wと、低く抑えられている点も特徴です。
Xeon Gold 5315Yは、両製品と比べて通常利用時の処理速度が高いので、一般的なビジネスシーンで快適に作業したい方におすすめです。
Xeon Gold 5315YとAMDシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 7 6800U | Intel® Xeon® Gold 5315Y | AMD EPYC™ 7262 | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ 7 Mobile Processors with Radeon™ Graphics | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | AMD EPYC™ 7002 Series |
開発コード名 | Rembrandt | Ice Lake | Rome |
プロセス | 6 nm | 10 nm | 7 nm |
コア数 | 8 | 8 | 8 |
スレッド数 | 16 | 16 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.7GHz | 3.2GHz | 3.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.7GHz | 3.6GHz | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR5 |
DDR4 2933 | DDR4 |
L3キャッシュ容量 | 16MB | 12MB | 128MB |
対応ソケット | FP7 | FCLGA4189 | SP3 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
TDP | 28W | 140W | 155W |
発売日 | 2022/4 | 2021/4 | 2019/8 |
競合のAMDシリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD Ryzen™ 7 6800Uのコア数・スレッド数は8コア16スレッドで、Xeon Gold 5315Yと差はありません。
プロセッサー・ベース動作周波数は、Xeon Gold 5315Yのほうが500MHz高い3.2GHzですが、Ryzen 7 6800Uのターボ・ブースト利用時の最大周波数は、4.7GHzとXeon Gold 5315Yを1.1GHz上回る高い数値です。
また、Ryzen 7 6800Uは、Xeon Gold 5315Yが対応していないDDR5に対応しています。
消費電力は28Wと、ノートパソコン向けであるため低く抑えられている点も特徴のひとつです。
省電力性に優れているCPUを導入したい方や、高負荷時に快適な処理速度を発揮するCPUを導入したい方は、Ryzen 7 6800Uも検討してみてください。
次に、AMD EPYC™ 7262と比較すると、EPYC 7262のコア数・スレッド数は8コア16スレッドで、Xeon Gold 5315YやRyzen 7 6800Uと同値です。
また、EPYC 7262のプロセッサー・ベース動作周波数もXeon Gold 5315Yと同じ3.2GHzですが、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Gold 5315Yのほうが200MHz上回っています。
L3キャッシュ容量は128MBと、Xeon Gold 5315YやRyzen 7 6800Uを大きく上回る大容量で、機械学習などで大量のデータを扱う方に適しています。
Xeon Gold 5315Yと両製品のベンチマークは、前述したIntel製の2製品とあわせて後ほど解説するので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Gold 5315Yの特徴
Xeon Gold 5315Yの特徴を3つ解説します。
Xeon Gold 5315Yならではの特徴や、同じXeon Gold 5300シリーズのCPUと性能を比較した結果を中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
Intel Speed Select Technologyに対応したYシリーズ
Xeon Gold 5315Yは、Intel Speed Select Technologyに対応したYシリーズのCPUです。
Intel Speed Select Technologyは、CPUのパフォーマンスを任意で制御できるIntel独自の機能で、実行するタスクや利用するアプリケーションにあわせてコア数やベース動作周波数の調整が可能です。
例えば、コアあたりのパフォーマンスを向上させたい場合は、高いベース動作周波数で稼働するように設定したり、並列処理性能を向上させたい場合は、アクティブなコアの数を多くして、ベース動作周波数を低く設定したりできます。
このように、変化するワークロード要件や実行するタスクに迅速に対応できる点がメリットです。
Intel Speed Select Technologyは、Xeon Gold 5315Yのように末尾にYのつくYシリーズに搭載されているので、Intel Speed Select Technologyを利用したい方は、ほかの対応しているCPUとスペックやベンチマークを比較して性能を見極めてみてください。
Xeon Gold 5300シリーズの中ではシングルスレッド性能・プロセッサー・ベース動作周波数がトップクラス
Xeon Gold 5315Yは、Xeon Gold 5300シリーズのエントリーモデルでありながら、トップクラスのシングルスレッド性能とベース動作周波数が備わっています。
CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingを比較してみると、4つの製品の中ではXeon Gold 5315Yが最も高いスコアです。
次いで高いスコアだったXeon Gold 5317の105%のスコアで、Intel® Xeon® Gold 5320とは136%もの開きがみられました。
また、CPUの通常利用時の処理速度を表すプロセッサー・ベース動作周波数を比べてみても、Xeon Gold 5315Yの3.2GHzが最も高い数値で、Xeon Gold 5318Yとは1.1GHzの差があります。
高いマルチスレッド性能を求めるならXeon Platinumシリーズがおすすめ
Xeon Gold 5300シリーズの中ではトップクラスのシングルスレッド性能を誇るXeon Gold 5315Yですが、コア数・スレッド数は8コア16スレッドと少なめです。
より高いマルチスレッド性能を求める方は、Xeon Goldシリーズの上位シリーズにあたり、優れたマルチスレッド性能が特徴のIntel® Xeon® PlatinumシリーズのCPUがおすすめです。
Intel® Xeon® Gold 5315Y | Intel® Xeon® Gold 5315Y | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Ice Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 8 | 32 |
スレッド数 | 16 | 64 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.2GHz | 2.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.6GHz | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR4 2933 | DDR4 3200 |
L3キャッシュ容量 | 12MB | 48MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 |
TDP | 140W | 205W |
発売日 | 2021/4 | 2021/4 |
例えば、Xeon Gold 5315Yと同じ第3世代のYシリーズにあたるIntel® Xeon® Platinum 8352Yと比較すると、Xeon Platinum 8352Yのコア数・スレッド数は32コア64スレッドと、Xeon Gold 5315Yの4倍の搭載数で、優れたマルチスレッド性能がうかがえます。
また、L3キャッシュ容量も4倍の48MBと大容量であるため、大規模なデータを扱う方にもおすすめです。
また、Xeon Goldシリーズの上位モデルには、Xeon Platinumシリーズに引けを取らないマルチスレッド性能を備えたCPUもあるので、あわせて確認してみてください。
Xeon Gold 5315Yのベンチマーク
Xeon Gold 5315YのベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Gold 5315Yの性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
まずは、CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingから比較していきます。
Xeon Gold 5315Yのスコアは20724と、Core i5-12500EやRyzen 7 6800Uをわずかに上回る数値でした。
一方で、Core i7-11800HやEPYC 7262と比較すると、下回るスコアです。
Xeon Gold 5315Yとそのほかの4製品の基本スペックは、前述のとおり、項目別で多少の性能差はみられたものの、大きな差はないため、上記のような僅差の結果になったと考えられます。
次からはシングルスレッド性能やコストパフォーマンスに関するベンチマークも比較するので、あわせて参考にしてください。
PassMark(CPU Value)
※Ryzen 7 6800Uは、情報が不足しているため、4製品で比較
PassMarkのCPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを数値化したベンチマークです。
Xeon Gold 5315Yのスコアは10.4と、4つの製品の中では最も低い数値でした。
特に、同じIntel製のCore i5-12500Eとの差が大きく、Core i5-12500EのスコアはXeon Gold 5315Yの884%の数値です。
また、次いで高いスコアだったのは、同じくCore iシリーズのCore i7-11800Hで、Xeon Gold 5315Yとはおよそ500%の開きがみられました。
CPU Valueのスコアは、販売価格をCPU Mark Ratingで割って算出されます。
CPUのコストパフォーマンスを把握するうえで参考になるベンチマークのひとつなので、コストパフォーマンスに優れたCPUを選定したい方は、ぜひほかのベンチマークとあわせて確認してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingもみていきましょう。
Xeon Gold 5315Yのスコアは2488と、CPU Valueと同様に、Intel製の2製品とスコア差がみられました。
具体的には、Core i7-11800HはXeon Gold 5315Yの124%、Core i5-12500Eは150%の数値で、大きな性能差があります。
Core iシリーズは、XeonシリーズやAMD製と比べてシングルスレッド性能が高い傾向にあるので、Webブラウジングやメールの送受信といった、単一のスレッドで実行できるタスクの処理性能を求める方は、CPU Single Thread Ratingのスコアを確認しつつ、Core iシリーズのCPUも検討してみてください。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Xeon Gold 5315Yの消費電力は140Wと、最も高い消費電力だったEPYC 7262より15W抑えられています。
最も低い消費電力だったのは、ノートパソコン向けのRyzen 7 6800Uで、消費電力は28WとXeon Gold 5315Yより112Wも低い数値です。
ノートパソコン向けは、Xeon Gold 5315Yのようなサーバー向けやデスクトップ向けと比べて消費電力が抑えられているので、消費電力の低いCPUを導入したい方は、ノートパソコン向けを検討してみてください。
ただし、ノートパソコン向けは、サーバー向けやデスクトップ向けと比べて性能も抑えられている傾向にあるので、用途に対して十分なスペックを備えているかもあわせて確認してください。
Xeon Gold 5315Yを使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Gold 5315Yのカスタマイズが可能なおすすめPC
Xeon Gold 5315Yのカスタマイズが可能なおすすめPCを紹介します。
Xeon Gold 5315Yの導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4620 標準モデル
raytrek Workstation X4620は、デュアルプロセッサー構成時に最大32コア64スレッドのスペックの実現が可能なPCです。
拡張性に優れているのが特徴で、標準搭載されたNVIDIA® T1000だけでなく、NVIDIA® GeForceシリーズやNVIDIA® RTX™ シリーズのウルトラハイエンド・グラフィックスカードを最大2枚まで搭載できるため、高いグラフィック処理性能が必要な動画編集や3Dアニメーションなどのクリエイティブシーンでも高いパフォーマンスを発揮できます。
また、サーバークラスのIntel® Gigabit LANを搭載しており、低いCPU使用率と温度、さまざまなOSをサポートします。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Gold 5315Y」のスペックや特徴、ベンチマーク、カスタマイズが可能なおすすめのパソコンまでを解説しました。
Xeon Gold 5315Yは、Xeon Gold 5300シリーズのエントリーモデルでありながら、トップクラスのシングルスレッド性能とプロセッサー・ベース動作周波数を誇るCPUで、データベースだけでなく、一般的なビジネスシーンでの使用に適しています。
Xeon Gold 5315Yの導入を検討している方は、この記事で紹介したほかのCPUの基本スペックやベンチマークを参考に、用途に対して最適な製品を選定しましょう。