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Core i9-13900Fとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Core™ i9-13900F」のスペックや特徴について解説します。
Core i9-13900FのベンチマークやほかのCPUと比較した結果、おすすめのパソコンもあわせてお伝えするので、CPUの選定に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Core i9-13900Fの基本スペック
Intel® Core™ i9-13900F | |
製品コレクション | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー |
開発コード名 | Raptor Lake |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 24(Pコア8+Eコア16) |
スレッド数 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.6GHz |
メモリの種類 | DDR5 5600 DDR4-3200 |
L3キャッシュ容量 | 36MB |
対応ソケット | FCLGA1700 |
PCI Express リビジョン | 5.0 and 4.0 |
TDP | 65W |
発売日 | 2023/1 |
Intel® Core™ i9-13900Fは、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発した13世代のCPUです。
Intel® Core™ iシリーズの中では、高いスペックを備えた最上位のIntel® Core™ i9シリーズにあたり、Intel® Core™ i9-12900Fの後継モデルとして登場しました。
また、Core i9-13900Fは、一般的なCPUに内蔵されているグラフィックが非搭載のFシリーズのCPUであるため、自由にグラフィックボードをカスタマイズして、PCに高いグラフィック処理性能を持たせたい方に適しています。
Fシリーズには、Core i9-13900Fのほかにも、下位モデルのIntel® Core™ i7-12700Fや、Intel® Core™ i9-13700Fなどの製品があります。
この記事では、Fシリーズの特徴もお伝えするので、CPUをより深く知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
なお「CPUの性能比較表|2024年最新版」では、比較対象となる基本スペックやCPUの性能目安となるPassMarkのベンチマークスコアを製品別で比較してご覧いただけます。どのCPUを導入すべきか悩んでいる方や、最新のCPUを検討している方は参考にしてください。
Core i9-13900Fはどのような用途におすすめ?
Core i9-13900Fは、24コア32スレッドの高いスペックを備え、Fシリーズの中でもトップクラスの性能を持つCPUであるため、Microsoft Wordを使用した資料作成やメールの管理といった一般的なビジネスタスクだけでなく、グラフィックデザインや3Dレンダリングなどのクリエイティブシーンでも高いパフォーマンスを発揮します。
また、内蔵グラフィックが非搭載であるため、用途にあわせて最適なGPUを自由にカスタマイズしたいクリエイターにもおすすめです。
ハイスペックでありながら消費電力も65Wと抑えられているので、コストパフォーマンスに優れたCPUを使用したい方にも適しています。
Core i9-13900のスペック比較
Intel® Core™ i9-13900 | Intel® Core™ i9-13900F | Intel® Core™ i9-13900E | |
製品コレクション | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー |
開発コード名 | Raptor Lake | Raptor Lake | Raptor Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 24(Pコア8+Eコア16) | 24(Pコア8+Eコア16) | 24(Pコア8+Eコア16) |
スレッド数 | 32 | 32 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz | 2.0GHz | 1.8GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.6GHz | 5.6GHz | 5.2GHz |
メモリの種類 | DDR5 5600 DDR4-3200 |
DDR5 5600 DDR4-3200 |
DDR5 5600 DDR4-3200 |
L3キャッシュ容量 | 36MB | 36MB | 36MB |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA1700 | FCLGA1700 |
PCI Express リビジョン | 5.0 and 4.0 | 5.0 and 4.0 | 5.0 and 4.0 |
TDP | 65W | 65W | 125W |
発売日 | 2023/1 | 2023/1 | 2023/1~3 |
Core i9-13900Fのスペックを、同等の性能を持つIntel® Core™ i9-13900やIntel® Core™ i9-13900Eとで比較してみていきます。
Core i9-13900は、Core i9-13900Fと同じ第13世代のCore i9シリーズにあたるCPUで、基本スペックに差はみられません。
大きな違いとしては、Core i9-13900が通常版の無印シリーズであるのに対し、Core i9-13900Fは、内蔵グラフィック非搭載のFシリーズに該当します。
Core i9-13900には内蔵グラフィックが搭載されていますが、PCにより高いグラフィック処理性能を持たせたい方は、FシリーズのCPUを導入するのも選択肢のひとつです。
Core i9-13900FとCore i9-13900の性能差は、後ほど【Core i9-13900Fのベンチマーク】でも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
次に、Core i9-13900Eとスペックを比較します。
Core i9-13900Eの「E」は「Embedded(組み込み型)」の頭文字で、デバイスや産業機器などに搭載される組み込み型のCPUを指します。
Core i9-13900Fとプロセスやコア数・スレッド数に差はみられませんが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Core i9-13900Fのほうが優れた数値です。
Core i9-13900Eのような組み込み型のCPUは、デスクトップ向けやサーバー向けの製品と比べて物理的なサイズが小さく、省電力性に優れている傾向にあります。
Core i9-13900Eのベンチマークも、Core i9-13900Fとあわせて後ほど紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Core i9-13900FとAMDシリーズのスペック比較
AMD EPYC™ 7532 | Intel® Core™ i9-13900F | AMD EPYC™ 7443 | |
製品コレクション | AMD EPYC™ 7002 Series | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー | AMD EPYC™ 7003 Series |
開発コード名 | Rome | Raptor Lake | Milan |
プロセス | 7 nm | 10 nm | 7 nm |
コア数 | 32 | 24(Pコア8+Eコア16) | 24 |
スレッド数 | 64 | 32 | 48 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.4GHz | 2.0GHz | 2.85GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.3GHz | 5.6GHz | 4.0GHz |
メモリの種類 | DDR4 | DDR5 5600 DDR4-3200 |
DDR4 |
キャッシュ | 256MB | 36MB | 128MB |
対応ソケット | SP3 | FCLGA1700 | SP3 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 5.0 and 4.0 | 4.0 |
TDP | 200W | 65W | 200W |
発売日 | 2020/2 | 2023/1 | 2021/3 |
競合のAMDシリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD EPYC™ 7532のプロセスは7nmと、Core i9-13900Fの10nmより微細に設計されており、コア数も32コアで、Core i9-13900Fを大きく上回る搭載数です。
加えて、EPYC 7532のプロセッサー・ベース動作周波数は2.4GHzと、Core i9-13900Fの2.0GHzより400MHz高く、L3キャッシュ容量も256MBと大容量です。
高性能である分、消費電力は200Wと高めですが、より多くのデータを高速に読み込みたい方や、高いマルチタスク性能を求める方は、EPYC 7532も検討してみてください。
次に、AMD EPYC™ 7443と比較すると、コア数は同値ですが、EPYC 7443のスレッド数は48スレッドと、Core i9-13900FがEコアを搭載している分、EPYC 7443が上回っています。
プロセッサー・ベース動作周波数も2.85GHzと、Core i9-13900Fを大きく上回っており、通常利用時の処理速度の性能差がみられました。
一方で、ターボ・ブースト利用時の最大周波数に注目すると、Core i9-13900Fが3つの製品の中で最も高く、高負荷時の処理性能の高さがうかがえます。
Core i9-13900FとAMD製の両製品とのベンチマークの比較も後ほど解説するので、どのメーカーのCPUを導入すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
Core i9-13900Fの特徴
Core i9-13900Fの特徴を3つ解説します。
Fシリーズならではの特徴や、前世代のCPUと比較した結果からわかったことを中心にお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
内蔵GPU非搭載で発熱量とコストが抑えられたFシリーズのCPU
Core i9-13900Fは、内蔵グラフィック非搭載のFシリーズにあたるCPUです。
内蔵GPUが搭載されていない分、内蔵GPU搭載のCPUと比べて発熱量が少ない傾向にあるため、CPU全体の冷却効率が向上し、発熱による機能低下を抑えられます。
また、内蔵GPU搭載よりもGPU分のコストが抑えられているので、安価で手に取りやすい傾向にあり、ユーザーが独立したGPUを選定する際の選択肢が広がる点もメリットのひとつといえます。
発熱量が抑えられたCPUを導入したい方や、自身で用途に応じた最適なGPUを選定したい方は、Core i9-13900FをはじめとしたFシリーズのCPUを検討してみてください。
Fシリーズの中ではトップクラスの性能を誇る
Core i9-13900Fは、内蔵グラフィック非搭載のFシリーズの中でトップクラスの性能を誇るCPUです。
CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingをもとに、Fシリーズの製品を比較すると、Core i9-13900Fが最も高い数値で、次いで高いスコアだったIntel® Core™ i7-13790Fの115%の数値であることから、性能の高さがうかがえます。
※Core i7-13700Fはヒットしなかったため、4製品で比較
また、CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingもみてみると、CPU Mark Ratingと同値に、Core i9-13900Fのスコアが最も高い結果で、比較的負荷の小さいタスクでも高いパフォーマンスを発揮できるため、FシリーズのCPUでよりハイスペックな性能を求める方は、Core i9-13900Fがおすすめです。
より高い処理速度とシングルスレッド性能を求めるならKFシリーズがおすすめ
Fシリーズの中ではトップクラスの性能を誇るCore i9-13900Fですが、より高い性能を求める方は、オーバークロックに対応したKFシリーズのCPUがおすすめです。
Intel® Core™ i9-13900F | Intel® Core™ i9-13900KF | |
製品コレクション | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー | 第 13 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー |
開発コード名 | Raptor Lake | Raptor Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 24(Pコア8+Eコア16) | 24(Pコア8+Eコア16) |
スレッド数 | 32 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.0GHz | 2.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.6GHz | 5.8GHz |
メモリの種類 | DDR5 5600 DDR4-3200 |
DDR5 5600 DDR4-3200 |
L3キャッシュ容量 | 36MB | 36MB |
対応ソケット | FCLGA1700 | FCLGA1700 |
PCI Express リビジョン | 5.0 and 4.0 | 5.0 and 4.0 |
TDP | 65W | 125W |
発売日 | 2023/1 | 2022/10~12 |
例えば、Core i9-13900Fと同じ第13世代のIntel® Core™ i9-13900KFと比較すると、コア数・スレッド数やL3キャッシュ容量などに差はみられませんが、プロセッサー・ベース動作周波数とターボ・ブースト利用時の最大周波数は、それぞれ200MHz高い数値です。
また、PassMarkのCPU Single Thread Ratingをみてみても、Core i9-13900KFのスコアはCore i9-13900Fの104%の数値で、性能差がみられました。
Core i9-13900Fよりも高い処理速度を実現したい方や、優れたシングルスレッド性能を求める方は、Core i9-13900KFも検討してみてください。
Core i9-13900Fのベンチマーク
Core i9-13900FのベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Core i9-13900Fの性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingからみていきます。
Core i9-13900Fのスコアは53121と、同じCore iシリーズで第13世代にあたるCore i9-13900やCore i9-13900Eを上回る数値でしたが、AMD製のEPYC 7532やEPYC 7443と比較すると、下回っています。
Core i9-13900Fは、Core i9-13900Eよりもプロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数が優れているため、上記の差がみられたと考えられます。
一方で、Core i9-13900FとCore i9-13900は、前述したとおり基本スペックは同じでしたが、スコアはCore i9-13900Fのほうが上回っています。
より詳しい性能差を次のベンチマークから比較していきましょう。
PassMark(CPU Value)
CPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを数値化したベンチマークです。
Core i9-13900Fのスコアは101で、5つの製品の中では最も高い数値でした。
特に、AMD製の両製品との差が大きく、Core i9-13900FのスコアはEPYC 7532の360%、EPYC 7443の410%の数値です。
また、Core i9-13900やCore i9-13900Eとも10%前後の開きがみられ、Core i9-13900Fのコストパフォーマンスのよさがうかがえました。
CPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスをおおまかに確認するうえで便利なベンチマークなので、基本スペックやほかのベンチマークとあわせて、ほかの製品と比較してみてください。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingもみていきましょう。
Core i9-13900Fのスコアは4453と、CPU Valueと同様に、5つの製品の中で最も高い数値でした。
最も低い数値だったのはEPYC 7532で、Core i9-13900Fとはおよそ200%の差がみられました。
Intel製のCore i9-13900やCore i9-13900Eは、AMD製のCPUと比べると高い数値ですが、Core i9-13900Fと比較すると、わずかに下回っています。
シングルスレッド性能は、Webサイトの閲覧や動画視聴、メールの管理といった、単一のスレッドで実行できる負荷の小さいタスクの処理性能を指します。
AMD製よりもIntel製のCPUのほうがシングルスレッド性能が高い傾向にあるので、導入を検討しているCPUがある方は、実際に上記のように比較して性能を見極めてみてください。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Core i9-13900FをはじめとしたIntel製の3製品の消費電力は65Wと、AMD製のEPYC 7443やEPYC 7532の200Wよりも低く抑えられています。
一般的にCPUは、デスクトップ向けよりもノートパソコン向けのほうが省電力性に優れている傾向にあります。
今回比較した製品は、デスクトップ向けや組み込み型のCPUでしたが、消費電力を抑えたい方は、ノートパソコン向けCPUも選択肢のひとつとして検討してみてください。
PassMarkのベンチマークスコアや消費電力を製品別で比較したい方はこちら