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リアルタイムレイトレーシングとは?対応GPUも一覧で紹介
近年のゲームは3Dグラフィックが綺麗になりました。そのグラフィック表現に欠かせないのがレイトレーシングです。しかしレイトレーシングだけでは、リアルタイムのグラフィック処理に対応しきれないという課題がありました。3Dグラフィックをリアルタイムに表現できるようにしたのが、リアルタイムレイトレーシングの手法です。
本記事では、リアルタイムレイトレーシングについて、その特徴と対応GPUやパソコンについてもお伝えしていきます。
目次
レイトレーシングについておさらい
レイトレーシング(ray tracing:光線追跡法)とは、画像を生成する工程であるレンダリングの手法の一つです。光源の状況や物体の状態を加味して処理を行うことで、3Dグラフィックをディスプレイに表現します。
従来のレイトレーシングは決められた位置・状況でのグラフィック処理に対応するのみでしたが、ゲームではプレイヤーの操作に応じて動き回るキャラクターや物体をリアルタイムに反映する必要があります。
※レイトレーシングについては、「レイトレーシングとは?効果や対応グラボを紹介」の記事をご参照ください。
リアルタイムレイトレーシングとは
しかし、従来の技術では、リアルタイムに変化する情報が多すぎて、演算しきれないことがあったのです。 その、演算しきれないグラフィック処理に対応するために登場したのがリアルタイムレイトレーシングです。その名の通り即時(リアルタイム)にレイトレーシングを行います。
動きに合わせた光の反射を即時に表現
リアルタイムレイトレーシングでは、地面の水たまりを反射させて景色をリアルタイムに映したり、キャラクターの動きに合わせた光の照射状況を変えたりなど、従来できなかった美しい3Dグラフィック処理が可能です。
リアルタイムレイトレーシングのメリットとデメリット
メリット:まるで現実のようなリアルな映像表現が可能
リアルタイムレイトレーシングのメリットは、現実と見間違えるほどのリアルな映像が出力できる点です。ゲームであれば、現実世界と同様に光や影が表現されるため、今までにはない没入感が得られます。また、製作者は自分の意図する世界観が的確に表現可能です。
デメリット:膨大なコンピューターリソースが必要
ただし、大きなコンピューターリソースを必要とすることが、リアルタイムレイトレーシングのデメリットです。少なくとも、リアルタイムレイトレーシングに対応するGPUが必須だといえます。
もし機器側のリソースが足りないと、ゲームによっては使用するフレームレート(1秒間に描写する回数)が下がります。一時的にでも画像が乱れれば、オンラインFPSなどフレームレートが勝敗に影響するゲームでは不利になってしまいます。
フレームレートとの関係に関しては「レイトレーシングとは?対応グラボ、選び方も紹介」でご紹介しています。合わせてご覧ください。
リアルタイムレイトレーシングを助けるDLSS
DLSSとは「Deep Learning Super Sampling(ディープラーニング スーパー サンプリング)」の略です。ゲーム内の同じシーンで綺麗なグラフィックと粗いグラフィックを用意し、学習済みのAIを搭載することで、できるだけ負荷をかけずにグラフィックを処理する技術です。
DLSSに対応したゲームは動作が軽く、かつ高画質表示ができるメリットがあります。例えば、GeForce RTXシリーズに搭載されている「Tensorコア」を用いるとDLSSが活かせます。
Tensorコアについて詳しく知りたい方は、「Tensorコアとは何なのか?性能や特徴についても解説!」 の記事をご参照ください。
リアルタイムレイトレーシング対応のGPUとは
リアルタイムレイトレーシングに対応している主なGPUは、NVIDIA社の「GeForce RTX」と、AMD社の「Radeon RX」の2種類があります。それぞれの製品についてスペックと特徴をみていきましょう。
NVIDIA社のGeForce RTX
まずはGeForce RTXについて、下記製品のスペックと特徴をみていきましょう。
スペック項目 |
製品名 |
||
GeForce RTX 3050 |
GeForce RTX 3070 Ti |
GeForce RTX 3090 Ti |
|
NVIDIA CUDA Cores |
2560 / 2304(※1) |
6144 |
10752 |
Boost Clock (GHz) |
1.78 / 1.76(※1) |
1.77 |
1.86 |
Base Clock (GHz) |
1.55 / 1.51(※1) |
1.58 |
1.67 |
Standard Memory Config |
8 GB GDDR6 |
8 GB GDDR6X |
24 GB GDDR6X |
Memory Interface Width |
128-bit |
256-bit |
384-bit |
Ray Tracing Cores |
2nd Generation |
2nd Generation |
2nd Generation |
Tensor Cores |
3rd Generation |
3rd Generation |
3rd Generation |
NVIDIA DLSS |
Yes |
Yes |
Yes |
※1:OEM版のGeForce RTX 3050のスペックは、2304個のCUDAコア、1.51GHzのベースクロック、1.76GHzのブーストクロック。OEM版とは一般向けには発売されず、主にPCメーカー向けに提供されるもの
製品名についている「Ti」はTitanium(チタン)の略で、鉄より軽く硬いチタンのイメージから無印のものよりも高性能であることを表しています。価格は2022年8月現在で、GeForce RTX3050が約3.2万円、GeForce RTX3070 Tiが約7.5万円、GeForce RTX3070 Tiが約18万円です。
なおベンチマークしたGPUの性能目安は、2022年8月現在でGeForce RTX3050が1753、GeForce RTX3070 Tiが3023、GeForce RTX3090 Tiが4111です。
AMD社のRadeon RX
続いてRadeon RXについて、下記製品のスペックと特徴をみていきましょう。
スペック項目 |
製品名 |
||
Radeon RX 6650XT |
Radeon RX 6800 Radeon |
RX 6900 XT |
|
演算ユニット |
32 |
60 |
80 |
RAY ACCELERATORS |
32 |
60 |
80 |
ゲーム周波数(※1) |
2410 MHz |
1815 MHz |
2015 MHz |
INFINITY CACHE |
32 MB |
128 MB |
128 MB |
最大メモリーサイズ |
8 GB |
16 GB |
16 GB |
メモリータイプ |
GDDR6 |
GDDR6 |
GDDR6 |
※1:ゲーム周波数は、一般的なゲームアプリケーションを実行しているときに期待される周波数。実際のゲーム周波数は状況によって異なる場合がある。
製品名についている「XT」は、無印のものよりも高性能であることを表しています。価格は2022年8月現在で、Radeon RX 6650XTが4.7万円程度、Radeon RX 6800が8.6万円程度、Radeon RX 6900XTが13万円程度となっています。
ベンチマークの性能目安は、同じく2022年8月現在でRadeon RX 6650XTが2246、Radeon RX 6800が2829、Radeon RX 6900XTが3613でした。
各GPUの性能値と期待できる動作の目安
RTXシリーズ/RXシリーズGPUの性能値と期待できる動作の目安は、下記の通りです。実際はゲームタイトル、表示解像度、アプリケーションの設定等によって動作状況が変化するため、注意しましょう。
RTXシリーズ/RXシリーズ GPU性能値 |
期待できる動作 |
3000以上 |
4K解像度においてリアルタイムレイトレーシングONで60fps以上での動作 |
2000~3000 |
フルHD解像度においてリアルタイムレイトレーシングONで60fps以上での動作 |
2000未満 |
HD解像度においてリアルタイムレイトレーシングONで60fps以上での動作 |
60fpsの動画は、1秒間の動画に60枚のフレーム(静止画)が使われており、一般的な30fps程度の動画に比べて映像がスムーズに動きます。この60fpsの動画を問題なく閲覧できることがGPU性能の判断基準の一つになっています。
リアルタイムレイトレーシングに対応したGPU製品については、ドスパラプラスへお問い合わせください。
まとめ
リアルタイムレイトレーシングとは、場面ごとに変化する物体やキャラクターをリアルタイムに表現する仕組みです。よく性能が比較されるのは、NVIDIA社の「GeForce RTX」と、AMD社の「Radeon RX」です。
リアルタイムレイトレーシングの特徴を知って、より没入できるゲームプレイや開発に役立てましょう。
このほかリアルタイムレイトレーシングの比較検討やご不明点は、ドスパラプラスへお気軽に下さいお問い合わせください。