- HOME
- 法人様向けお役立ちコンテンツ
- Tensorコアとは何なのか?性能や特徴について解説!
Tensorコアとは何なのか?性能や特徴について解説!
NVIDIA(エヌビディア)社のサイトなどでGPUの性能を比較する際によく目にする「Tensorコア」。
しかし、「そもそもTensorコアとは何か」「Tensorコアが導入されていることで何かメリットはあるのか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、Tensorコアの概要や特徴、性能について解説します。
目次
Tensorコアとは
Tensorはディープラーニングで用いられる数学的な概念を表す用語
TensorコアのTensor(テンソル)という言葉は、ディープラーニングで用いられる数学的な概念を表す用語に由来しています。
Tensorは二次元配列以上の配列である「多次元配列」に相当します。例えば、データを格納する箱が横一列の場合は一次元配列となり、箱が縦横に並べた場合は二次元配列になります。その箱を縦横に積み重ねた場合は三次元配列となります。さらに複雑な四次元配列以上の配列も存在します。この多次元配列は、ディープラーニングで用いられる考え方です。
Tensorコアはディープラーニングに特化した行列演算回路
Tensorコアとはアメリカの半導体メーカーであるNVIDIA(エヌビディア) 社が開発した技術の一つで、AI(人工知能)や大量のデータに対して複雑な演算処理を高速に行うHPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)などのディープラーニングに特化した演算回路です。「行列演算」という演算処理を行っており、2017年NVIDIAのGPU(Volta世代)から採用された技術です。
Tensorコア数はGPUの処理能力を表す
Tensorコア数はその行列演算の処理能力を測る指標として用いられます。GPUの性能を比較する上では「Tensorコア数」以外にも「CUDAコア数」「RTコア数」などとCPUではなじみのない指標が存在します。こういった指標は、アメリカの大手半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)社のGPUで採用されています。
CUDAコア、RTコアとの違い
CUDAコアは映像の処理に特化したコア
前述の通り、GPUにはTensorコアだけでなく、CUDAコアという指標も存在します。CUDAコアとは、CUDAを動作させるグラフィックボード内のGPUのコアであり、3D映像や動画再生などの複雑な処理を行うために並列処理が可能かどうかを表す指標です。
RTコアはレイトレーシング処理に特化したコア
RTコアは、レイトレーシングに特化したコアです。レイトレーシングとは「物体の表面や水面などで起こる光の屈折や反射を計算して現実世界に近い映像を表示させる技術」で、映像やゲーム領域で活用されています。
Tensorコアはディープラーニングの領域であるのに対し、CUDAコアは映像処理、RTコアはレイトレーシングに関連するコアであるため、そもそも領域が異なります。
※※CUDAコアについてより詳しく知りたい方は、「CUDAコアとは。数が多いと何が良い? 」の記事をご参照ください。また、RTコアについては、「RTコアとは? 実現できることや特徴、性能を解説! 」の記事をご参照ください。
Tensorコアの特徴
ディープラーニングに最適
Tensorコアの特徴は、ディープラーニング(深層技術)に特化した装置である点にあります。Tensorコアは、行列演算回路という特性から1回のクロックで演算を同時実行が可能です。これにより演算の高速化を実現しました。例えば、NVIDIA A100 Tensor コア GPUと呼ばれるGPUでは、FP64と呼ばれる倍精度浮動小数点フォーマットを使用した演算により、大量のデータを対象としながら、高速なデータ分析を可能にしています。 NVIDIA にはA100以外にも様々な種類のGPUが存在しており、各種類のTensorコア数は下記のとおりです。
型番 |
Tensorコア数 |
NVIDIA A100 Tensor コア GPU |
640 |
NVIDIA A40 Tensor コア GPU |
336 |
NVIDIA A16 Tensor コア GPU |
160 |
NVIDIA RTX™ A6000 |
336 |
NVIDIA RTX™ A5000 |
256 |
データ分析はいかに大量のデータを高速に処理できるかがカギになりますが、コンピューターの性能が不足していると、元のデータを減らすなどしなくてはならず、本来研究者などが望んでいた分析ができなくなってしまう恐れがあります。
Tensorコアの魅力とは
高度なHPCに対応
Tensorコアの魅力としては、高度なHPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)に対応しているため、科学技術に応用できます。例えば新薬の発見や物理学からエネルギー源の可能性を探るなどといったことが可能です。Intel社の見解によるとTensorコアがAIによる推論(予測)に最適であることがわかっています。
Tensorコアの活用例
Tensorコアを搭載したGPUを活用することにより、シミュレーションによる新薬の発見、大気データから極端な天候パターンをより高い精度で予測するなど、化学や気象学、様々な分野での研究が可能になります。また、製造向けのデザイナーは、シミュレーションによるスポーツカー、ジェットエンジンなどといった高度な技術が要求されるデザイン業務に活用できるでしょう。
研究機関、データ分析を行う一般企業などへの導入も期待できます。
Tensorコア搭載GPUをカスタマイズ可能なおすすめパソコン
以下リンクからTensorコアを搭載したGPUを搭載可能なワークステーションをご紹介します。合わせてご覧ください。
まとめ
Tensorコアとはアメリカの半導体メーカーNVIDIA(エヌビディア)社が開発したAIやHPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)のための技術です。ディープラーニングに特化した装置であり、AI推論(予測)、HPC、シミュレーションなどといったことが可能です。
同様の指標でCUDAコアが存在しますが、CUDAコアは映像関連処理に特化した演算回路であるのに対し、Tensorコアは深層学習に特化している演算回路であるため、そもそも用途が異なります。高い精度での予測が必要な化学分野や気象学、デザインなど幅広い分野で利用されています。
問い合わせ窓口が設置されているドスパラプラスならパソコン選びに不安がある方や、GPUを搭載した法人向けのパソコンをお探しの方でも安心してパソコンを導入できます。ぜひご活用ください。