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グラボ「GTX」と「RTX」の違いを性能面・機能面からわかりやすく解説
この記事では、人気のグラフィックボード(以下、グラボ)であるNVIDIA GeForceの「GTX」と「RTX」の違いを、性能面・機能面からわかりやすく解説します。
グラボを搭載することで、簡単な動画編集から高度な3Dモデリング制作まで効率的に作業を行えますが、「GTX」と「RTX」どちらが適しているのかわからないという方も多いでしょう。それぞれのグラボについてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
グラボ GeForce GTXとは
「GeForce GTX」は、NVIDIA製のGPUを搭載するグラボです。上位シリーズの「GeForce RTX」よりも機能を制限することで、低めの予算でも導入が可能で、動画編集などのクリエイティブな作業のために初めてグラボを購入する人向けのシリーズになっています。
価格は、下位モデルであれば2万円前後、最上位モデルでも6万円台となっており、パソコンへの負荷が比較的軽めの動画編集やWebデザインなどであれば、処理が高速になることで作業を効率的に進められるでしょう。
なお、上位シリーズの「GeForce RTX」は新製品が継続的に販売されているのに対して、「GeForce GTX」は、最新モデルのリリースが2019年を最後に止まっており、今後の動向が注目されます。
グラボ GeForce RTXとは
「GeForce RTX」も、NVIDIA製のGPUを搭載するグラボで、「GeForce GTX」の上位シリーズにあたります。「リアルタイム・レイトレーシング」と呼ばれる、光や影の表現、水たまりやガラスの反射の表現などを、よりリアルに描写できる機能が備わっており、プロフェッショナルとしてクリエイティブな作業を行う現場でも広く利用されています。
高性能ゆえに金額も高額になるものが多く、下位モデルで6万円台から、最上位モデルの「RTX 4090」は35万以上で販売されています。(※2023年3月現在)
GTXとRTXの性能を比較
ここでは、GTXとRTXで大きく異なる性能について、主要な項目ごとに比較していきます。
グラボ別性能比較表
以下は過去に発売されたGeForce RTXシリーズとGTXシリーズの性能一覧表です。それぞれの立ち位置を確認していきましょう。
GeForce RTX4090 | GeForce RTX4080 | GeForce RTX3090Ti | GeForce RTX3090 | GeForce RTX3080 | GeForce RTX3070 | GeForce RTX3060 | GeForce RTX3050 | |
CUDA コア | 16384 | 9728 | 10752 | 10496 | 8960 | 5888 | 3584 | 2560 |
ブースト クロック (GHz) | 2.52 | 2.51 | 1.86 | 1.7 | 1.71 | 1.73 | 1.78 | 1.78 |
ベース クロック (GHz) | 2.23 | 2.21 | 1.67 | 1.40 | 1.26 | 1.50 | 1.32 | 1.55 |
標準メモリ構成 | 24GB GDDR6X | 16GB GDDR6X | 24GB GDDR6X | 24GB GDDR6X | 12GB GDDR6X | 8GB GDDR6 | 12GB GDDR6X/8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 |
メモリ インターフェイス幅 | 384ビット | 256ビット | 384ビット | 384ビット | 384ビット | 256ビット | 192ビット/128ビット | 128ビット |
GeForce GTX1660Ti | GeForce GTX1660 SUPER | GeForce GTX1660 | GeForce GTX1650(G5) | |
CUDA コア | 1536 | 1408 | 1408 | 896 |
ブースト クロック (GHz) | 1.770 | 1.785 | 1.785 | 1.665 |
ベース クロック (GHz) | 1.500 | 1.530 | 1.530 | 1.485 |
標準メモリ構成 | 6GB GDDR6 | 6GB GDDR6 | 6GB GDDR5 | 4GB GDDR6 |
メモリ インターフェイス幅 | 192ビット | 192ビット | 192ビット | 192ビット |
GeForce RTX40シリーズ | GeForce RTX30シリーズ | GeForce RTX20シリーズ | GeForce GTX16シリーズ | |
ストリーミング マルチプロセッサ | FP32x2 | FP32x2 | FP32x1 | FP32x1 |
レイ トレーシング コア | 第3世代 | 第2世代 | 第1世代 | - |
Tensor コア(AI) | 第4世代 | 第3世代 | 第2世代 | - |
NVIDIA DLSS | DLSS 3(超解像度+フレーム生成) | DLSS 2(超解像度) | DLSS 2(超解像度) | - |
NVIDIA Broadcast | 対応 | 対応 | 対応 | - |
VR Ready | 対応 | 対応 | 対応 | GTX1650 SUPER以上 |
NVIDIA Omniverse™ | 対応 | 対応 | 対応 | - |
Pcle | 第4世代 | 第4世代 | 第3世代 | 第3世代 |
NVIDIA Encoder(NVENC) | 第8世代 | 第8世代 | 第7世代 | 第6世代 |
NVIDIA Decoder(NVDEC) | 第5世代 | 第5世代 | 第4世代 | 第4世代 |
AV1 エンコード | 対応 | - | - | - |
AV1 デコード | 対応 | 対応 | - | - |
CUDA対応 | 8.9 | 8.6 | 7.5 | 7.5 |
DX12 Ultimate | 対応 | 対応 | - |
CUDAコア数を比較
ここからは、具体的な項目について比較していきます。
まずGPUの処理能力の指標である「CUDAコア数」をみると、GTXの最上位モデル「GTX 1660 Ti」は「1,536」、RTXの最下位モデル「RTX 3050」は「2,560」となっており、RTXシリーズの最下位モデルの方がGTXの最上位モデルより高い性能を有していることがわかります。RTXの最上位モデル「RTX 4090」では「16,384」とGTXの10倍以上の数値となっており、RTXの性能の高さを確認できます。
搭載メモリを比較
次に搭載メモリは、「GTX 1660 Ti」が「6GB」、「RTX 3050」は「8GB」となっており、RTXの方がより多くのマルチタスク・計算処理を行える性能を有しています。
消費電力を比較
消費電力に関しては、グラフィックボード電力(W)が「GTX 1660 Ti」は「120」、「RTX 3050」は「130」と大きな差はありませんが、システム電力要件は「GTX 1660 Ti」が「450」、「RTX 3050」は「550」となっており、RTXの方が性能が高い分だけパソコン全体にかかる消費電力が大きくなっています。
GTXとRTXの機能を比較
ここでは、GTXとRTXの機能を比較します。
RTXは、GTXにはない機能「リアルタイムレイトレーシング」が新たに搭載され、また「NVIDIA Broadcast」対応になりました。ここではこの2つについて解説します。
精彩な映像描写を実現する「リアルタイムレイトレーシング」
RTXでは、「RTコア」を新たに搭載することで、「リアルタイムレイトレーシング」の機能が追加されています。
「レイトレーシング」とは、光の屈折率や光の反射率を緻密に計算し、光や影・水面やガラスの反射などをよりリアルに表現するための技術です。これまでも映画などの映像制作、CADでの3Dモデリング制作などの場面で利用されてきましたが、膨大な演算処理が求められるため、リアルタイムで完全なレイトレーシングを行うのは困難でした。
しかし、RTXでは視点の移動がともなう場面でも、瞬時に演算処理を行えるため、リアルタイムレイトレーシングが可能となりました。
これによりリアルで精彩にオブジェクトや空間を表現することができ、最近では建築ビジュアライゼーションなどにも活用されています。特に最上位モデルのRTX40シリーズでは、3Dレンダリング・映像編集・グラフィックデザインなどの描画処理において驚異的な性能を有しています。
レイトレーシングに関しては「レイトレーシングとは?効果や対応グラボを紹介」、リアルタイムレイトレーシングに関しては「リアルタイムレイトレーシングとは?対応GPUも一覧で紹介」、RTコアに関しては「RTコアとは? 実現できることや特徴、性能を解説!」にて詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
「NVIDIA Broadcast」で、快適なオンライン会議・ライブ配信
RTXに対応した「NVIDIA Broadcast」は利用することで、より快適な環境でオンライン会議やライブ配信を行うことが可能です。
「NVIDIA Broadcast」はNVIDIA社から無料で提供されているソフトで、AI技術を活用して、ボタンひとつで周囲の雑音除去・ビデオノイズの除去が可能です。クリアな音声・映像に加え、グラフィック性能にも優れているため画像のカクつきもなく、円滑なオンライン会議・ライブ配信ができるでしょう。
なお、「NVIDIA Broadcast」を利用するためには、GPUのシステム要件があり「NVIDIA GeForce RTX 2060、Quadro RTX 3000、TITAN RTX 以降」となっているため注意が必要です。
RTXとGTXの選び方
パソコンの利用目的を明確にすると、RTXとGTXどちらがよいか選択がしやすくなります。
動画・3Dを基礎から学ぶならGTX
グラフィックボードの購入が初めてで、簡単な動画編集(フルHD画質・30fps程度)や3Dモデリング制作を基礎から学びたい場合には、低価格なエントリーモデルであるGTXを選択するのがよいでしょう。
本格的なクリエイティブ作業や業務用途ならRTX
しかし、業務で高度な動画編集(4K画質以上・60fps以上)や、3DCADソフト・3DCGソフトなどを利用した本格的な3Dモデリング制作を行う必要がある場合には、「リアルタイムレイトレーシング」など最新技術を搭載するRTXをおすすめします。
RTXを搭載すれば、「NVIDIA Broadcast」でオンライン会議を快適に行えるなど、ビジネスの場面で活用の幅が広がります。