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Xeon Silver 4310 とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUの「Intel® Xeon® Silver 4310」のスペックや特徴について解説します。
Xeon Silver 4310のベンチマークやおすすめPCもお伝えするので、これからCPUを導入する方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Xeon Silver 4310の基本スペック
Intel® Xeon® Silver 4310 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake |
プロセス | 10 nm |
コア数 | 12 |
スレッド数 | 24 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.1GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.3GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 |
L3キャッシュ容量 | 18MB |
対応ソケット | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 |
TDP | 120W |
発売日 | 2021/4 |
Intel® Xeon® Silver 4310は、アメリカの半導体メーカー「Intel®」が開発したCPUです。
エントリーレベルのデータセンターにおけるコンピューティングやネットワークに求められる性能を備えたIntel® Xeon® SilverシリーズのCPUで、中でもXeon Silver 4310は、性能と電力効率のバランスが取れたIntel® Xeon® Silver 4300シリーズのミドルクラスにあたります。
また、Xeon Silverシリーズには、Xeon Silver 4310のほかに、従来モデルからマイナーチェンジされたIntel® Xeon® Silver 4210Rや、低消費電力のIntel® Xeon® Silver 4410Yなど、さまざまな製品があるので、ぜひ参考にしてください。
Xeon Silver 4310はどのような用途におすすめ?
Xeon Silver 4310は、エントリーレベルのデータセンターにおけるコンピューティングやストレージに求められるハードウェア支援型のパフォーマンスを発揮するXeon SilverシリーズのCPUであるため、一般的なビジネスシーンからデータベースサーバーまで幅広い用途で使用できます。
12コア24スレッドの高スペックを備えているため、高い処理性能が要求されるデータベースアプリケーションにも対応できるでしょう。
ビジネスシーンで大規模なデータセットやファイルを扱う方におすすめです。
Xeon Silver 4310のスペック比較
Intel® Core™ i9-10900KF | Intel® Xeon® Silver 4310 | Intel® Core™ i9-11900F | |
製品コレクション | 第 10 世代インテル® Core™ i9 プロセッサー・ファミリー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー |
開発コード名 | Comet Lake | Ice Lake | Rocket Lake |
プロセス | 14 nm | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 10 | 12 | 8 |
スレッド数 | 20 | 24 | 16 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.7GHz | 2.1GHz | 2.5GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 5.3GHz | 3.3GHz | 5.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 2933 | DDR4 2667 | DDR4 3200 |
L3キャッシュ容量 | 20MB | 18MB | 16MB |
対応ソケット | FCLGA1200 | FCLGA4189 | FCLGA1200 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 4.0 | 4.0 |
TDP | 125W | 120W | 65W |
発売日 | 2020/6 | 2021/4 | 2021/3 |
Xeon Silver 4310のスペックを、同等のスペックを持つ、同じIntel製CPUのIntel® Core™ i9-10900KFや、 Intel® Core™ i9-11900Fとで比較してみていきます。
Core i9-10900KFは、CPU内蔵グラフィック非搭載で、なおかつオーバークロックに対応しているKFシリーズのCPUです。
そのため、コア数・スレッド数はXeon Silver 4310の12コア24スレッドを下回っていますが、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Silver 4310を大きく上回る数値です。
動作周波数が高い分、消費電力も125WとXeon Silver 4310より高い数値ですが、快適な処理速度を求める方は、Core i9-10900KFがおすすめです。
次に、Core i9-10900KFの後継にあたり、同じCPU内蔵グラフィック非搭載モデルのCore i9-11900Fと比較します。
Core i9-11900Fのコア数・スレッド数は8コア16スレッドと、Xeon Silver 4310より少ない搭載数ですが、Core i9-10900KFと同様に、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は大きく上回っています。
最も大きな違いは消費電力で、Xeon Silver 4310の消費電力が120Wであるのに対し、Core i9-11900Fは65Wと、およそ半分の数値に抑えられています。
優れた高負荷状態での処理速度と省電力性を求める方は、Core i9-11900Fをひとつの選択肢として検討してみてください。
また、Xeon Silver 4310とそれぞれのCPUのベンチマークスコアを比較した結果を後ほど解説するので、ぜひあわせてご確認ください。
Xeon Silver 4310とAMD Ryzenシリーズのスペック比較
AMD Ryzen™ 9 5900HX | Intel® Xeon® Silver 4310 | ADM Ryzen™ 5 7640U | |
製品コレクション | AMD Ryzen™ 9 Mobile Processors with Radeon™ Graphics | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | AMD Ryzen™ 5 Processors with Radeon™ Graphics |
開発コード名 | Cezanne | Ice Lake | Phoenix |
プロセス | 7 nm | 10 nm | 4 nm |
コア数 | 8 | 12 | 6 |
スレッド数 | 16 | 24 | 12 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 3.3GHz | 2.1GHz | 3.5GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.6GHz | 3.3GHz | 4.9GHz |
メモリの種類 | DDR4 3200 LPDDR4 4266 |
DDR4 2667 | DDR5 (FP7r2) LPDDR5/x (FP7、FP8) |
L3キャッシュ容量 | 16MB | 18MB | 16MB |
対応ソケット | FP6 | FCLGA4189 | FP7 FP7r2 FP8 |
PCI Express リビジョン | 3.0 | 4.0 | 4.0 |
TDP | 45W | 120W | 28W |
発売日 | 2021/1 | 2021/4 | 2023/5 |
競合のAMD Ryzen™シリーズのCPUともスペックを比較します。
AMD Ryzen™ 9 5900HXは、ノートパソコン向けのCPUで、プロセスは7nmとXeon Silver 4310の10nmより微細な設計ですが、コア数・スレッド数は8コア16スレッドと、Xeon Silver 4310よりも少ない搭載数です。
一方で、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数は、Xeon Silver 4310を大きく上回っており、なおかつ消費電力は45Wに抑えられています。
ノートパソコン向けCPUは、デスクトップ向けのCPUと比べて消費電力が抑えられている傾向にあるので、少ない消費電力でCPUを運用したい方は、Ryzen 9 5900HXをはじめとしたノートパソコン向けCPUも検討してみてください。
次に、ADM Ryzen™ 5 7640Uとスペックを比較します。
Ryzen 5 7640UもRyzen 9 5900HXと同じくノートパソコン向けのCPUで、プロセスは4nmと微細に設計されていますが、コア数・スレッド数はXeon Silver 4310のほうが上回っています。
また、プロセッサー・ベース動作周波数やターボ・ブースト利用時の最大周波数はRyzen 9 5900HX以上の性能差がみられ、処理速度の高さがうかがえます。
消費電力も28Wと、優れた省電力性が見受けられました。
Xeon Silver 4310の特徴
Xeon Silver 4310の特徴を3つ解説します。
同じXeon Silver 4300シリーズや従来モデルのCPUと比較した結果を中心に解説するので、ぜひ参考にしてください。
性能と電力効率のバランスが取れたXeon Silver 4300シリーズのミドルクラスCPU
Xeon Silver 4310は、性能と電力効率のバランスが取れたXeon Silver 4300シリーズの中でもミドルクラスにあたるCPUです。
Xeon Silver 4300シリーズには、Xeon Silver 4310のほかに、エントリークラスのIntel® Xeon® Silver 4309Yや、最上位クラスのIntel® Xeon® Silver 4316などのCPUがあり、それぞれで性能は大きく異なります。
Xeon Silver 4310は、12コア24スレッドのスペックを備えており、ビジネスシーンでは十分な性能を発揮することから、中規模のデータセンターやビジネス向けサーバー、仮想化環境などで広く使用されています。
従来モデルのXeon Silver 4210から性能が大幅に向上
Xeon Silver 4310は、従来モデルにあたるInte® Xeon® Silver 4210から大幅な性能向上がみられるCPUです。
Intel® Xeon® Silver 4310 | Intel® Xeon® Silver 4210 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 2 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Cascade Lake |
プロセス | 10 nm | 14 nm |
コア数 | 12 | 10 |
スレッド数 | 24 | 20 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.1GHz | 2.2GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.3GHz | 3.2GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 | DDR4 2400 |
L3キャッシュ容量 | 18MB | 13.75MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA3647 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 3.0 |
TDP | 120W | 85W |
発売日 | 2021/4 | 2019/4~6 |
Xeon Silver 4210では、Intelの14nmのプロセス技術を使用したCascade Lake アーキテクチャが採用されていましたが、Xeon Silver 4310では、10nmのプロセス技術を基にしたIce Lakeが採用されています。
Xeon Silver 4310のコア数は、Xeon Silver 4210の10コアから2コア追加されて12コアにスペックアップしており、L3キャッシュ容量も4.25MB多い18MBです。
また、CPUの総合的な性能を数値化したPassMarkのCPU Mark Ratingを比較してみても、Xeon Silver 4310のスコアはXeon Silver 4210の163%の数値で、大きな性能差がみられました。
加えて、CPUのシングルスレッド性能を数値化したPassMarkのCPU Single Thread Ratingをみてみても、およそ123%の性能差がみられます。
このように、CPUは1世代の差が大きな性能差となるので、現在Intel® Xeon® Silver 4200シリーズのCPUを活用していてスペック不足に感じている方や、これからCPUを導入する方には、後継モデルにあたるXeon Silver 4300シリーズ以降のCPUをおすすめします。
より高い性能とIntel Optane Persistent Memory対応CPUを求めるならXeon Silver 4314がおすすめ
Xeon Silver 4310よりも高スペックなCPUを求める方には、同じXeon Silver 4300シリーズのIntel® Xeon® Silver 4314をおすすめします。
Intel® Xeon® Silver 4310 | Intel® Xeon® Silver 4314 | |
製品コレクション | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー | 第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー |
開発コード名 | Ice Lake | Ice Lake |
プロセス | 10 nm | 10 nm |
コア数 | 12 | 16 |
スレッド数 | 24 | 32 |
プロセッサー・ベース動作周波数 | 2.1GHz | 2.4GHz |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 3.3GHz | 3.4GHz |
メモリの種類 | DDR4 2667 | DDR4 2667 |
L3キャッシュ容量 | 18MB | 24MB |
対応ソケット | FCLGA4189 | FCLGA4189 |
PCI Express リビジョン | 4.0 | 4.0 |
TDP | 120W | 135W |
発売日 | 2021/4 | 2021/4 |
Xeon Silver 4314は、Xeon Silver 4310と同じ第3世代のCPUであるため、アーキテクチャやプロセス値は同じですが、コア数・スレッド数は16コア32スレッドと、Xeon Silver 4314の上位モデルにふさわしいスペックを備えています。
また、L3キャッシュ容量は6MBも大きく、大規模なデータを快適に処理したい方に適しています。
また、Xeon Silver 4314は、Xeon Silver 4310が対応していないIntel® Optane™ Persistent Memory(外部サイト)に対応している点も大きな特徴です。
Intel Optane Persistent Memoryは、Intelが開発したメモリ技術のひとつで、通常のDRAMとは異なり、電源供給しなくてもデータを保持する不揮発性メモリの「3D XPoint」が使用されているため、システムの高可用性やデータ保護に貢献します。
また、DRAMよりも高速なデータアクセスを提供してくれるため、メモリ負荷の高いワークロードや仮想マシンの集約で高いパフォーマンスを実現してくれます。
Xeon Silver 4310のベンチマーク
Xeon Silver 4310のベンチマークのPassMarkを中心に解説します。
Xeon Silver 4310の性能をより詳細に知りたい方は、参考にしてください。
PassMark(CPU Mark Rating)
PassMarkのCPU Mark Ratingから比較していきます。
Xeon Silver 4310のスコアは22797と、CPU内蔵グラフィック非搭載のCore i9-11900Fや、ノートパソコン向けのRyzen 9 5900HXを上回る数値でした。
一方で、Core i9-10900KFやノートパソコン向けのIntel® Core™ i7-11700Bと比較すると、わずかに下回っています。
Core i9-10900KFがXeon Silver 4310を上回った要因のひとつとしては、Core i9-10900KFがオーバークロックに対応したモデルで、高い処理性能を発揮できる点が考えられます。
このように、Intel製CPUにはFシリーズやKFシリーズなどさまざまなシリーズがあるため、これからCPUを導入する方は、シリーズの特徴やそれぞれの製品のベンチマークを加味したうえで選定してみてください。
PassMark(CPU Value)
※Core i7-11700BとRyzen 9 5900HXは必要な情報が不足しているため、3製品で比較
PassMarkのCPU Valueは、CPUのコストパフォーマンスを数値化したベンチマークスコアです。
Xeon Silver 4310のスコアは54.3と、Core i9-11900Fと同値でした。
一方で、3つの製品の中ではCore i9-10900KFが最も高い数値であり、Xeon Silver 4310の133%のスコアで、コストパフォーマンスの高さがうかがえました。
Core i9-10900KFとCore i9-11900Fは、同じCPU内蔵グラフィック非搭載モデルですが、Core i9-10900KFはオーバークロックにも対応しているため、Core i9-11900Fを上回る性能とコストパフォーマンスがみられたと考えられます。
コストパフォーマンスのよいCPUを導入したい方は、基本スペックとあわせてPassMarkのCPU Valueの確認もおすすめします。
PassMark(CPU Single Thread Rating)
PassMarkのCPU Single Thread Ratingもみていきます。
Xeon Silver 4310のスコアは2243と、5つの製品の中では最も低い数値でした。
特に、Intel® Core™ iシリーズのCPUとの性能差が大きく、スコアにおよそ40%〜50%の開きがみられました。
Core iシリーズは、Intel® Xeon®シリーズと比べて、ゲーミングやクリエイティブ作業などのシングルスレッド性能が重要な用途に重点を置いて設計されているため、シングルスレッド性能が高い傾向にあります。
Webサイトの閲覧やメールの受送信といった単一のスレッドで実行される、負荷の軽いシンプルなタスクの処理性能を求める方は、Core iシリーズのCPUも選択肢のひとつとして検討してみてください。
消費電力
最後に、消費電力も比較します。
Xeon Silver 4310の消費電力は120Wと、Core i9-10900KFの125Wに次いで高い数値でした。
5つの製品の中で最も少なかったのは、Ryzen 9 5900HXの45Wで、Xeon Silver 4310とは75Wもの差がみられました。
Core i9-11900FやCore i7-11700Bと比較しても、55Wの差があります。
消費電力が少なければ、低発熱で冷却が容易で高負荷時でも性能が落ちにくいため、消費電力を重視したい方は、求めるスペックを満たしているかを確認しつつ、複数の製品の消費電力も確認して、最適なCPUを導入しましょう。
Xeon Silver 4310を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Xeon Silver 4310を搭載したおすすめPC
Xeon Silver 4310を搭載したおすすめPCを紹介します。
Xeon Silver 4310の導入を検討している方は、参考にしてください。
raytrek Workstation X4620 標準モデル
raytrek Workstation X4620は、高い拡張性と性能が特徴のハイエンドモデルのPCです。
デュアルプロセッサー構成時には、最大32コア64スレッドの実現が可能で、グラフィックボードも最大2枚まで搭載できるため、高解像度の動画編集やCAD、3Dアニメーションなど、さまざまな用途で高いパフォーマンスを発揮します。
また、最大1024GB の大容量メモリも搭載できるので、大規模なデータの処理が必要なディープラーニングにも対応しています。
まとめ
この記事では、Intel社が開発したCPU「Xeon Silver 4310」のスペックや特徴、ベンチマーク、おすすめのパソコンまでを解説しました。
Xeon Silver 4310は、Xeon Silver 4300シリーズのミドルクラスにあたるCPUで、高い処理性能と電力効率の両方を兼ね備えており、一般的なビジネスシーンだけでなく、中規模のデータセンターやビジネス向けサーバーで広く使用されています。
これからCPUを選定する方は、この記事で紹介したスペックの比較結果やベンチマークを参考に、用途に合ったCPUを選定してみてください。