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CADとは│基本知識・機能・導入するメリットをわかりやすく解説

この記事では、CADに関する基本知識、種類、機能、CADを導入するメリット・注意点、業界別の利用状況について、わかりやすく解説します。

近年、建築・土木・製造などものづくりの分野を中心に、業務効率改善・データ共有の円滑化を目的に幅広く導入されていますが、日頃から設計業務に携わっていないとどのような機能を持つソフトかわからないという方も多いでしょう。初心者におすすめのソフトもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

CADとは図面作成ツール

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CAD(Computer Aided Design)とは、コンピュータ支援設計と訳され、コンピュータ上で図面の作成を行うためのツールです。

これまで設計や製図の作業は紙に手書きで行うのが一般的でしたが、修正が発生したときに手間が掛かり、また紙の図面を管理・共有するのも容易ではありませんでした。

しかし、CADを導入し図面の作成業務をコンピュータ上に移行することで、修正を含む設計・製図作業自体を効率化できるとともに、データ化された図面による管理・共有もスムーズに行うことが可能です。

日本では、労働人口の減少が続き企業には業務の効率化が求められており、さらに働き方改革、特にリモートワークでは時間と場所に縛られない働き方が重視されているため、これら課題の解決につながるCADソフトの導入が進んでいます。

CAM・CAD/CAM・CAE

CADと同様ものづくりの現場で広く利用され、また相互に連携することで設計や製造に関する業務を効率化するソフトウェアとして「CAM」、「CAD/CAM」、「CAE」が挙げられますので、それぞれ詳しくご紹介していきます。

CAM

CAM(Computer Aided Manufacturing)とは、コンピュータ支援製造と訳すことができ、工作機械を数値制御するためのプログラムを作成するソフトウェアです。具体的には、CADで作成した図面のデータをCAMで読み込み、その結果作成されたプログラムにより工作機械の使用する工具や動作を数値制御し、機械加工を行う仕組みです。プログラムは手作業で直接工作機械に入力することもできますが、指示内容が複雑になるほど手間が掛かります。この点、CAMを利用すればプログラムはデータとして瞬時に工作機械に取り込めるため機械加工の工程を効率化できます。CADが設計の場面で主に利用されるのに対し、CAMは機械加工などの製造現場で利用される点に違いがあります。

製図を平面で行うか3Dで行うかによりCADが2Dと3Dに分類されるのと同じく、CAMも読み込む元となる図面が2Dか3Dかにより、2DCAMと3DCAMに分けられます。

CAD/CAM

CAD/CAMとは、CADの設計機能・CAMの工作機械用プログラムの作成機能の両方の機能を搭載したソフトウェアです。別々のソフトウェアを利用している場合には、データの互換性の問題からCADデータをCAMで読み込めないといったトラブルも起こりえますが、同一のソフトウェアのため常にデータ間の整合が保たれるというメリットがあります。

CAD/CAMはソフトウェアとしては一体ですが、CADとCAMの機能を独立して持っています。このため取引先から提供されたCADデータを元に工作機械制御用のプログラムを作成することができます。また加工作業の内容に合わせてCADデータを編集したい場合には、CADの機能が活用できます。CAMは単体で販売されている他、CAD/CAMとしてCADと一体でも多く販売されています。

CAE

CAE(Computer-Aided Engineering)とは、コンピュータ支援エンジニアリングと訳され、構造力学や流体工学などさまざまな工学的な解析を行うためのソフトウェアです。制作中のモデルの強度を測定する構造解析や、モデル内の流体の挙動を測定する流体解析などに利用されています。試作を行う前にコンピュータ上でモデル性能の各種シミュレーションを行うことができるため、試作に要する期間を短縮でき、さらに試作費用の削減にもつながります。

CAD・CAM・CAEは利用場面が大きく異なっており、基本的な流れは、CAEでモデル性能のシミュレーション、CADを用いた製図・設計、CAMを利用して機械加工となります。

CADの種類

CADはコンピュータによる設計作業の支援という基本的な役割を持ちつつ、その機能によりさまざまな分類が可能です。

2DCAD

2DCADとは、コンピュータを使用して平面上で製図作業を行うCADをいいます。従来紙に手書きしていた図面をモニター上で描いていくため、使いこなすには製図に関する基本的な知識、図面を理解する能力が最低限必要になります。

3DCAD

3DCADとは、コンピュータを使用して3D空間上で製図作業を行うCADです。通常、あらかじめ用意された直方体や球を利用して制作をはじめますが、モデルが立体で表示されることで図面にあまり馴染みがない人でも完成形を直感的に理解でき、設計早期の段階でイメージのすり合わせが可能になるというメリットがあります。また複雑なモデルを制作する場合でも、3DCADを利用することで作業を効率的に進めることが可能です。制作した3Dモデルから2D図面が自動で作成される点もメリットといえるでしょう。

専用CAD

専用CADは、建築・機械・土木・電気・アパレル・宝飾など、特定の分野向けに機能を特化したCADをいいます。

業界特有のオブジェクトや記号などをあらかじめ搭載することで、各分野で効率的な図面の作成が可能です。

例えば建築CADでは、階段や窓、扉といった建築図面の作成に必要なパーツ、機械CADではネジやナットなど機械や部品の設計に必要なパーツが用意されているため、ゼロからパーツを準備する必要がなく作業を効率化できます。

汎用CAD

汎用CADは、あらゆる分野で汎用的に利用可能なCADで、設計・製図を行うのに必要な基本的な機能を搭載しています。専用CADと比較すれば、価格は低く抑えられていることが多く、無料で利用できるソフトウェアも多数提供されています。

BIM

「BIM(Building Information Modeling)」とは、設計・施工・維持管理といった建築のあらゆる工程において、建築物を構成するモデルに情報を持たせることで情報を一元管理して、関連する業務全体の効率化を目指す手法です。

建築関連業務の効率化

BIMを導入すると、建物やインフラなどの構築において、そのライフサイクル全体を管理可能なため、これまでの建築に関わる業務の大幅な業務効率改善・品質の向上につながることが期待されており、建設・建築・土木の分野を中心に急速に導入が進んでいます。

将来のメンテナンス業務への情報活用

BIMでは3DCADと同様、3Dモデリング制作が可能ですが、配置するオブジェクトそれぞれに品番・メーカー・単価・数量・素材・強度などの情報を付与できる点で大きく異なります。これらの情報は、建築物の完成後の維持管理の場面でもBIMモデルデータとして有効に活用することができ、設計の段階から将来のメンテナンス業務の効率化に役立つ情報が蓄積されているといえます。

プロジェクト全体の設計業務の効率化

建築設計は、施主の要望をヒアリングし、建設に関するあらゆる事柄を決定する「意匠設計」、空調など建築物の環境を計画する「設備設計」、安全性のために梁や柱などの配置を計画する「構造設計」の大きく3つに分けられますが、従来は各設計用のソフトウェアを使用し、別々に作業を行っていました。したがって修正が発生すると各設計において調整が必要になり、データの不整合が起こることもありました。しかしBIMを利用すると、各設計作業で行ったデータの修正はクラウド上で共有するBIMモデルデータにもれなく反映されるため、各関係者が最新の状況にいつでもアクセス可能になります。これにより、プロジェクト全体の設計業務を効率化することが可能です。

建築プロジェクトの規模が大きくなるほど、BIMの持つ役割は高まることから、近年ではマンションや高層ビル、商業施設の建設などの場面で活用されています。

なお、日本では、Autodesk社の「Revit」やGRAPHISOFT(グラフィソフト)社の「Archicad」などのBIMソフトが多くの企業で導入されています。

CADの業界別の利用状況

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CADは、設計・製図作業を効率的にし、図面データの管理・共有もスムーズに行えることから、図面が重要となる建築や土木、大量生産を前提とした製造やアパレルなど、モノづくりの現場を中心に幅広く導入されています。また3DCADでは、制作物を立体的に表現することで制作の初期段階からイメージの共有に役立つことから、空間のデザインが重要なインテリアや福祉の分野でも導入が進んでいます。

分野・業界により、CADの利用用途・必要となる機能が大きく異なりますので、ここからは、実際にCADが利用されている分野、利用されているソフトについて解説していきます。

建築

建築業界では、住宅・マンション・高層ビルなどの建築物の製図・設計作業にCADを活用しています。建築の分野では、基本設計図・実施設計図・施工図・構造図・意匠図・設備図など、作成する図面が多岐にわたり、手書きで行う場合には膨大な作業量となりますが、CADを利用することで各図面の作成を効率的に行うことが可能です。

専用CADに分類される建築CADでは、階段や窓、壁、扉といった建築図面の作成に必要なパーツがあらかじめ用意されており、簡単に図面に挿入できます。

建築の分野で利用されているCADソフトには、AutoCAD、AutoCAD Architecture、Jw-cad、VectorWorks、Revit、ArchiCADなどがあります。

土木

土木業界では、道路・歩道橋・橋・高架道路・宅地造成などの土木工事を行う際の設計・製図作業でCADソフトを利用しています。

AutoCADやJw-cadなどの汎用CADソフトが利用されることが多いですが、DynaCAD土木Plusのように土木に特化し、土木コマンドを豊富に搭載する専用CADソフトが利用されることもあります。

家具・インテリア

家具業界ではCADソフトを利用して、デザイナーが描いた家具のデザインをもとに、図面を作成しています。

インテリア業界では、デザイナーが作成した内装に関するデザインをCADで図面に落とし込みます。またインテリアの室内レイアウトなど、空間デザインが必要な場面でもCADが活用されています。いずれの業界も制作にあたり、依頼者との完成イメージの共有が重要になってくるため、AutoCADやVectorworksなど、3Dモデリングが可能なCADソフトが多く利用されています。

製造

機械・家電・自動車・航空機などの製造業界では、製品や部品、金型などの設計図を作成する場面や、製品イメージを3Dモデルでデザインする際にCADが利用されています。

これらの業界では、製造する製品・部品の形状が複雑で、構成する部品数も多くなるため、製造に特化した専用CADが主に利用されています。また部品同士の干渉チェックやモデルの強度・質量計算も重要になることから、3DCADの利用も加速しています。

製造業界では、CATIA、AutoCAD、SolidWorks、Fusion360などのソフトが多く利用されています。

なおこの業界では、CAD単体でなく「CAM」や「CAE」などほかの製造用ソフトウェアと連携することで、各ソフトの機能を強化し、幅広い業務で効率化を目指している点が特徴といえるでしょう。

アパレル・宝飾

アパレル業界では、デザイナーが作成した服飾デザインから、パターン(洋服の型紙)のデータを作成する際にCADが利用されています。

また作成したパターンをさまざまなサイズに展開するグレーディングの作業や、生地裁断時のパターンの効率的な配置作業にも活用可能です。

業界特有の作業になるため、アパレル業界では専用CADであるクレアコンポやAGMS、フリーソフトの洋裁CADなどが多く導入されています。

宝飾業界では、デザイナーの宝飾デザインをCADを利用して図面化し、宝飾品の3Dモデルを制作しています。宝飾業界に特化した専用CADである3DESIGNやRhinocerosなどのソフトが主に利用されています。

福祉

福祉業界では、福祉施設の設計に加え、バリアフリー環境の空間デザインを設計する際にCADが利用されています。

日本では高齢化社会を迎え、バリアフリー環境を構築する要請が強く、新築物件はもちろん、既存物件の改修・改築の場面でもCADで図面が作成されています。人手不足なこともあり、業務効率の向上が不可欠なため、今後ますます導入が進む分野といえるでしょう。

AutoCADやVectorworks、Jw-cadなどの建築向きのCADソフトが多く利用されています。 

CADを導入した場合のメリット

CADを導入してコンピュータ上で図面の作図を行うことで、手書きの場合と比較して、さまざまなメリットが得られますのでご紹介します。

作業の効率化とノウハウの蓄積

CADは「コンピュータ支援設計」と呼ばれるように、製図作業をサポートしてくれるため、設計作業を大幅に効率化できます。

手書きよりも効率的な作業を実現

例えば、手書き図面で修正が必要になった場合には、対象箇所を消しゴムで消して修正を加えますが、その際に本来修正が不要な周辺の線や接続する線まで消してしまうことがあり、ピンポイントで修正したい箇所だけに手を加えるのはなかなか難しい作業です。しかし、CADを利用した場合には簡単なマウス操作だけで、修正箇所を限定でき作業をスムーズに行えます。さらに行った作業をある段階まで戻したい場合にもパソコンの「戻る」ボタンを利用することで瞬時に作業を取り消せるため、手書きよりも効率化が達成できます。

属人化の解消と品質の均一化

また手書きの場合には、担当者の熟練度や保有する技術の差が、図面の品質や作業速度に大きく影響していたことから、従来の製図作業は人への依存が大きい(いわゆる属人化)業務といえました。これに対しCADを導入した場合、ソフトに慣れるまでの時間はある程度必要になりますが、一連の作業を身に付けるまでの時間を短縮でき、かつ担当者ごとの品質を均一にするのにも役立ちます。

スムーズなデータ管理と共有

CADを利用することで、設計図データの管理と共有がしやすくなります。

図面管理の効率化

手書きの場合には紙の設計図を保管するスペースが必要で、内容を確認したい場合には、設計図の番号を調べ保管場所まで実際に行き、目当ての設計図を探すという作業が必要でした。しかし、CADを利用することで、データ化された設計図をコンピュータ上で管理できるため、保管スペースを用意する必要がなく、また検索機能を活用すればすばやく確認したい設計図を見つけられます。

スムーズな図面データの共有

また紙の設計図をオフィス外の関係者と共有したい場合には、PDF化してネットワーク上に保存、持参、コピーしたうえで郵送、急ぎの場合には画質が落ちてもFAX送信などで対応してきましたが、修正が入るたびに同じことをしなければならず非常に非効率でした。

しかし、CADを利用すればインターネット上でCADデータを共有できるため、遠隔地からでも設計図の確認が可能です。同じソフトを利用できる環境にあれば、遠隔地からのデータ編集もできます。何度修正が入っても共有データにアクセスすれば、最新の設計図が確認できるため、業務の効率化につながるといえるでしょう。

3Dモデリングの種類「サーフェス」「ソリッド」「ポリゴン」

3Dモデリングにおける主な表現方法、データの種類として、「サーフェスモデル」・「ソリッドモデル」・「ポリゴンモデル」の3つが挙げられます。

サーフェスモデル

サーフェスモデルは、厚みのない面を表面情報として組み合わせることで3Dモデルを表現する手法です。面を閉じる必要がないため、モデルの中身は空洞で体積の情報を持ちません。複雑な表面の形状を表現することが可能なため、例えば車のボディの3Dモデリングなどにも利用されています。

ソリッドモデル

ソリッドモデルは、サーフェスの面情報に加え、内部の情報も持つ3Dモデルの表現手法です。面を必ず閉じる必要があり、内部は空洞ではなく詰まっているため、体積や重量、重心などの計算が可能になります。現在の3DCADで広く利用されているデータ形式で、サーフェスからデータ変換ができます。

ポリゴンモデル

ポリゴンモデルとは、三角形(頂点が3つ)の平面を最小要素とした複数の多角形を組み合わせることで3Dモデルを制作する方法です。

モデルがどれだけ複雑な形状をしていても、ポリゴン数を増やすことでイメージ通りのモデルを制作できるメリットがあり、3DCG(アニメーションやゲーム)の分野で広く利用されています。ただし、数値による管理よりも視覚的な操作面に重点が置かれているため、工業製品の設計など正確な寸法を測定し、緻密な数値管理が求められる用途には適していません。

ポリゴンはあくまで平面であるため、完全な曲面は表現できず、より小さくより多くのポリゴンを使用することで表面をなめらかにすることは可能ですが、その場合データ量の増加に伴い、コンピュータの計算処理に時間を要することになります。

現在の3DCADソフトではソリッドモデルが主に利用されているため、ポリゴンモデルを3DCADで扱う場合には、データ変換が必要です。

CADの主な機能

CADはコンピュータ支援設計と呼ばれますが、その機能は設計にとどまりません。ここでは設計を含むCADの主な機能をご紹介します。

設計

CADは、建築物・部品・家具などさまざまなものづくりの設計の場面で活用されています。2DCADでは平面に、3DCADでは3D空間に、コンピュータを使用して図面を作成していきます。CADを導入した場合、ソフトの操作に慣れるための時間は必要になりますが、手書きで一定水準以上の図面を描けるようになるまでの時間と比較すれば、設計の技術をより短期間で身に付けられるといえるでしょう。また従来のように図面を手書きする場合よりも、作業の効率化が図れ精度の高い作図が可能になります。3DCADでは、制作した3Dモデルから2D図面を作成することもできます。

デザイン制作

3DCADは3Dデザインソフトと呼ばれることもあり、設計作業の他に制作物のデザインを行うことも可能です。

レンダリングの機能を利用すれば、制作した3Dモデルの表面に色や質感、光の照射具合などを表現できるため、よりリアルにわかりやすく完成品のイメージを依頼者に伝えることができ、外観設計やプロダクトデザインなどの場面でも活用されています。コンピュータの性能が進化する中、3Dデータの処理を高速で行えるようになったことで、今後もデザイン分野での3DCAD導入が進むと考えられます。

シミュレーション

3DCADで制作した3Dモデルは、構造解析により設計上に矛盾・問題がないか、耐久性や安全性のシミュレーションを行います。

例えば、3Dモデルで橋を設計した場合、荷重を受けた際にどの程度耐久性があるか予測する必要がありますが、構造が複雑なため人が計算するのは容易ではありません。しかし、CADソフトを利用すれば、コンピュータ上で負荷や強度などさまざまな条件のもとで3Dモデルの耐久性をシミュレーションでき、安全性の確認が可能です。

一般的に、構造力学や流体工学など工学的な解析を行うためには、「CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)」が利用されますが、CAEの機能を搭載したCADソフトも販売されています。

3Dプリンター出力用データの作成

3DCADでは、3Dプリンタで出力する元となる3Dデータを作成可能です。

製造業における試作品の制作などで3Dプリンターの導入が進んでいますが、3Dプリンターで造形するためには利用するプリンターに合ったファイル形式を用意しなければなりません。3DCADを利用すると、3Dプリンターで一般的なファイル形式であるSTL(拡張子.stl)、OBJ(拡張子.obj)の3Dデータを作成できます。

3Dプリンター用データの作成方法に関しては以下で具体的にご説明しています。合わせてご覧ください。

アニメーションの作成

3DCADを利用すると、制作した3Dモデルをもとにアニメーションを作成することができます。

例えば、敷地内に住宅の3Dモデルを制作した場合、玄関から入りリビング・キッチン・バスルームなど移動する様子をアニメーションにすることで、静止画と比較し、空間を連続して表現することで、3Dモデルの建築空間のイメージをつかみやすくなるといったメリットがあります。

アニメーションの作成方法は主に3つに分けられ、空間内を歩いて人の目線で撮影したイメージの「ウォークスルー」、空間を鳥の目線で見下ろしたイメージの「フライスルー」、複数枚の画像を連続して切り替える「フレームレート」があります。

実際の住宅建築の場面では、発注者のイメージを正確に実現することが求められるため、設計の初期段階でアニメーションを活用すれば認識の相違を解消でき、作業が進んだ後で修正が発生する可能性を減らせます。またプロジェクトに携わる関係者でイメージの共有ができる点もメリットといえます。

CADソフト選定時の注意点

現在、CADソフトとして非常に多くの種類のソフトウェアが販売されており、搭載する機能・金額もさまざまです。ここではCADソフトを選定する際の注意点をご紹介します。

効率化を目指す業務の明確化と必要な機能の確認

はじめにCADソフトを導入することで、効率化したい業務を明確にしましょう。これにより、CADソフトに求める機能が絞られます。

世間一般で高機能と評判でも、自社の業務に適合しなければ使わない機能への投資となってしまうため、事前にどのように活用できるか確認することが重要です。また自社でよく利用する機能の操作性についても確認しましょう。

保守・サポート体制の確認

ソフトウェアの開発会社または販売代理店いずれから購入する場合でも、購入後の保守・サポート体制を慎重に検討しましょう。

CADソフトを導入することで、導入部署だけでなく周辺部署、場合によっては取引先との関係でも、これまでと業務フローが大きく変更になる可能性があります。

ソフトウェアの操作上の不明点、不具合が発生した場合でも、サポート体制が充実していればすぐに連絡でき対応してくれるなど、業務の停滞するリスクを減らすことができます。サポートを利用する場合には、サポート料金が購入費用に含まれるのか、別途保守費用が発生するのか、料金体系の確認も必要です。

IT導入補助金制度の活用

CADソフトの導入は、国の実施している「IT導入補助金制度」の補助金対象になります。

IT導入補助金制度は、中小企業などが自社の課題解決や、業務効率化・売上アップのようなニーズを満たすことを目的にITツールを導入する場合、必要となる費用の一部を国から補助してもらえる制度です。

具体的には、パッケージソフト代やクラウドサービス導入費用などが対象となるため、CADソフトの導入にあたっては積極的に活用しましょう。

※サードウェーブはIT導入支援事業者ではありません

初心者におすすめのCADソフト8選

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CADソフトには、有料・無料、2D・3D、専用・汎用など非常に多くの種類があるため、利用目的に適したソフトの選択が重要になります。

ここでは、CAD初心者の方にもおすすめのCADソフトを8つご紹介します。

Fusion 360

「Fusion360」は、Autodesk社が開発提供しているCAD/CAMが統合されたソフトウェアです。3Dモデリングの制作をスムーズに行えるとともに、ダイレクト ・サーフェス・パラメトリック・メッシュなど各種モデリング手法にも対応しています。またモデリングデータをクラウド上で一元管理することで、遠隔地からもデータの閲覧・編集ができ、さらに詳細な設定をしたうえでデータへの各種権限を社内外の関係者に割り振ることでプロジェクト全体の作業効率を向上させることが可能です。

Onshape

「Onshape」は、業界初のフルクラウド3DCADソフトです。パソコンにプログラムをインストールする必要がなく、Webブラウザ上でCADソフトが動作するため、設計業務をリモートワークで行うことが可能になります。一般的なCADソフトでは、動作環境として利用する端末やOSなどに制限がありますが、「Onshape」ではブラウザが表示できるタブレット端末やスマホでも、CADデータの閲覧・編集が可能になります。

3Dモデリングやアセンブリ、板金設計など基本的なCAD機能を搭載しており、無料版も利用できますが、用途が非商用かつ作成したデータがWeb上で公開されてしまうため、業務で使う場合には有料版を選択することになります。

有料版は、年間のサブスクリプション契約となっており、承認ワークフローの機能やセキュリティ機能により、「Standard」、「Professional」、「Enterprise」の3つのプランが用意されています。

SolidWorks

「SolidWorks」は、3DCADの市場において大きなシェアを持つ、操作性に優れたソフトです。約1年ごとに実施されるバージョンアップでは、ユーザーの要望をもとに多数の機能強化を行っており、マウス移動距離を極力減らす改良・ソフト操作中の手順表示など、ユーザーの利便性にこだわり開発を続ける姿勢が高く評価されています。機能面でも3Dに関する豊富な機能を搭載し、検証機能では設計段階で問題・不具合の発見を容易にします。

SolidWorksの利用には、ライセンスの購入(買い切り)に加えて、ソフトウェアの最新バージョンへのアップグレードや各種サービスを利用するために「年間保守契約」への加入が必要です。

Revit

「Revit」とは、Autodesk社が開発した建築物の3Dモデリングが可能なBIMソフトウェアです。設計・製図ができるだけでなく、設計・施工・維持管理といった建築のあらゆる工程において、建築物を構成するモデルに情報を持たせることで情報の一元管理が可能となり、そのライフサイクル全体を管理できます。Revitでは3Dモデルを制作すれば、2D図面や断面図など各種図面が自動で作成されるため作業を効率的に行えます。

iCAD

「iCAD」は唯一の国産3DCADで、機械装置や生産設備の設計に特化したCADソフトです。自動車・家電・精密機械・半導体など幅広い分野で導入されており、ラインナップとして2つの製品が用意されています。

「iCAD SX」は機械装置の設計向けのCADで、独自技術によりデータ構造が超軽量化されており、300万部品の大規模機械装置でも0.2秒で処理が可能な高速処理性能を有しています。

「iCAD MX」は、2DCAD・3DCADの両機能を持ち、既存の2DCADデータを3DCADデータにスムーズに移行できます。また2D図面の必要な箇所だけを3D化して設計作業が行える2D・3D混在設計環境の機能を有していることから、CAD業務を2Dから3Dに段階的に移行していくことも可能です。

AutoCAD

「AutoCAD」は、Autodesk社が開発提供する2D汎用CADソフトです。高い知名度とシェアを誇り、世界中の設計現場で活用されています。同ソフトの取り扱いに関する知識や操作技術を認定する「オートデスク認定資格プログラム」では、世界で20万人以上が資格を取得しています。

2D図面を書くために必要な機能、各種ドキュメントを作成する機能がひと通り搭載されているうえ、拡張機能によるカスタマイズの自由度も高い点が特徴です。またAutodesk社が販売するほかの製品や外部ソフトとも柔軟に連携できることから、日本では大手ゼネコン・設計事務所など建築・土木・製造業界を中心に幅広い分野で導入されています。導入企業が多いため、取引先企業も同一ソフトを利用している可能性が高まり、その場合スムーズなデータのやり取りが可能になります。

Autodesk社はAutoCAD単体での販売に加え、特定の分野に特化し製図作業を効率化するためのツールセットも販売しています。

例えば、建築設計に特化した「AutoCAD Architecture」は、8,500点を超える建築コンポーネントが標準で利用でき、また壁・窓・ドアなどのオブジェクトを簡単な操作で図面に反映できます。またCADのデータファイルに関するチェックイン・チェックアウトの機能があるため、許可なく図面を修正することを防止したり、図面のバージョン管理も可能です。

Autodesk社の公式Webサイトでは、30日間無償体験として、AutoCADのフル機能を無料でダウンロードできます。

BricsCAD

「BricsCAD」は、2D図面の作成から3Dモデリングまで可能なDWG互換CADです。

DWG互換CADとは、前述のAutoCADのデータ形式である「DWG」(拡張子 .dwg )と高い互換性を持ち、DWGデータの編集を行えるCADソフトです。

BricsCADでは、DWGデータを直接開くことができ、AutoCADで作成した2D図面を線種・色・レイアウトなどそのままに表示することが可能です。操作性も似ているため、普段AutoCADを操作している場合には違和感なく移行できるでしょう。

BricsCADは、2D図面の作図機能を持つ「Light」、2D図面の作図機能に加え3Dモデリング機能も持つ「Pro」、その他にBIMや、メカニカルエンジニア・製品設計者向けの製品種類があります。

販売形態は、買い切り・1年のサブスクリプション・3年のサブスクリプションの3パターンが用意されていますが、多機能を有するAutoCADと比較すると価格は大幅に低く設定されていますので、導入がしやすい点もメリットといえるでしょう。

Bricsysの公式Webサイトでは、30日間の無料体験版のダウンロードが可能です。

Jw_cad

Jw_cadは、無料で利用可能な2D汎用CADソフトです。建築現場における設計に特化した機能が豊富に搭載されていることから、建築業界で多く導入されています。また無料にもかかわらず、高機能で拡張性に優れているため、製造・アパレルなど建築以外の分野でも利用されています。

Jw_cadには2.5Dの図面を作成する機能が搭載されており、平面図を立方体で表現する鳥瞰図・アイソメ図・透視図が簡単に作成可能です。3DCADでの3Dモデルのリアルさには及びませんが、簡易的に3D視点で確認したい場合に活用できるでしょう。

インターネット上で無料素材が配布され、また操作に関する情報もWebサイト・動画・書籍など豊富に存在するため、CADソフトを初めて利用するという方でも独学する環境が整っています。

CAD業務におすすめのパソコンと選び方

CAD業務を快適に行うにはパソコンのスペックにはこだわる必要があります。

以下の記事では、CAD業務に最適なパソコンのスペックや、選定時のポイント、おすすめのモデルをご紹介しています。合わせてご覧ください。

CAD業務におすすめパソコン3選

CAD業務に最適なパソコンをご紹介しています。合わせてご覧ください。

CADの用語解説

CADの現場では、CAD特有の用語が使用されることが多く、IT用語とも混同しやすいためわかりやすく解説します。

アセンブリ

CADにおける「アセンブリ」とは、組立品をいいます。図面上に描かれている各部品を3D空間で組み立てることで、完成品のイメージがしやすくなるとともに、部品同士が干渉しないかなど設計上のミスの防止に役立ちます。

ワイヤーフレームモデル

「ワイヤーフレームモデル」は、前述の「サーフェスモデル」・「ソリッドモデル」と並び、3Dモデリングにおける表現方法のひとつです。

頂点となる点と点を線で結ぶことで、モデルの枠組みをシンプルに表現します。データ量自体が少ないため、すばやく描写することができ使用するパソコンに求められるスペックも高くありません。しかし、点と線の組み合わせだけでは曲線や曲面の表現に限界があり、また表面積や体積の計算ができないことから利用場面は限定されます。

パラメトリックモデリング

「パラメトリックモデリング」は、パラメータにより3Dモデリングを行う図面作成の手法です。

CADの作図データはすべて寸法を持っていますが、この数値を変更することで、さまざまな形状・サイズのモデルを制作できます。

3Dモデル全体のバランスチェックや特定箇所だけのサイズ変更などの場面で有効ですが、数値による管理のためモデルが複雑になった場合にはイメージ通りの形状を作るのが難しいという欠点もあります。

レンダリング

「レンダリング」とは、3Dモデルの表面に色や質感、光と影、反射などを描画することをいいます。レンダリングの作業により、3DCADで制作した単なる3D空間上の物体について、例えば金属や木材、ガラスの材質にする、太陽光や電球の光でモデルを照らす、光の照射角度を変更するなどさまざまな設定が可能で、よりリアルで精細な3Dモデルとして表現できます。通常は各部品ごとにレンダリングを行い、作業後に組み立てを行うことになります。

まとめ

CADに関する基本知識、分類、機能、CADを導入するメリット・注意点、業界別の利用状況について、解説しました。CADを導入することで、設計に関する業務を効率化でき、またデータ共有の円滑化も可能になることから、BIMソフトも含め、今後ますますものづくりの分野を中心に導入が進んでいくと考えられます。初心者におすすめのソフトもご紹介しましたので、当記事を参考にぜひCADに関する理解をさらに深めてください。

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