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CADが重くなる原因4選!設定・運用・ハードでの解決策を解説
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CADを日常的に使っていると「動作が重い」「保存に時間がかかる」「フリーズして仕事が進まない」と感じることが多い方もいるのではないでしょうか。原因は単にPCスペックの不足だけではなく、ソフトの設定や運用方法、保存環境など複数の要素が関係してる場合があります。
そこで本記事では、CADが重くなる代表的な原因を整理し、設定の見直し・運用改善・ハードウェア強化という3つの観点から具体的な改善策を解説します。動作を軽くし、作業を効率化させたい方は参考にしてください。
目次
目次
CADが重くなる主な原因4選
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CADの動作が重くなる原因は一つではなく、複数の要素が重なっている場合があります。特に代表的なのは、CPUやGPU、メモリ不足といったPCスペックの問題です。
ここでは、CADが重くなる原因をまとめました。対策する前に、改善できる内容かどうかを把握しておきましょう。
1.PCスペック不足(CPU/GPU/メモリなど)
PCの性能が不足していると、CADの描画や計算処理が追いつかず、動作が重くなりやすくなります。
特に以下の要素は、CAD動作のボトルネックになりやすい点です。
- CPUの処理速度
- GPUの描画性能
- メモリ容量
CPU性能が低い場合はコマンド処理や再計算に時間がかかり、GPU性能が不足していると3Dモデルの表示や回転操作で遅延が発生しやすくなります。
また、メモリが少ない環境では、同時に開けるデータ数や履歴の保存に制約が生じ、フリーズの原因になることも少なくありません。
動作が重いと感じたときは、対策に入る前に現在の利用状況を整理し、どの処理で負荷が高まっているかを把握することが大切です。
そのうえで、使用しているソフトの推奨スペックとPCの実際の性能を照らし合わせると、どの要素がボトルネックになっているか判断しやすくなるでしょう。
2.ソフトや描画設定の最適化不足
CADソフトの初期設定や描画モードが最適化されていない場合、不要な負荷が発生して動作が遅くなることがあります。
例えば、アンチエイリアスやスムーズ表示、ハードウェアアクセラレーションの設定を過剰に有効化しているケースです。これらの機能は見た目を整える一方で、GPUやCPUに余分な処理を要求します。作業内容に応じて描画品質を調整し、不要なエフェクトを無効化することで処理負荷を軽減できる場合もあります。
また、表示スタイルや陰影設定を簡易モードに切り替えるだけでも描画応答が向上する場合もあります。描写設定が初期設定のままの場合には、不要な設定がないか見直しを行ってみましょう。
3.大規模データや不要情報の蓄積
CADファイルに不要な情報が蓄積すると、データ容量が増加して処理が重くなります。
代表的な要因は、以下のとおりです。
- 重複オブジェクト
- 未使用ブロック
- 不要な画層やハッチング
これらは見た目では気づきにくいものの、ファイルの読み込みや保存時に無駄なリソースを消費します。また、不要な参照データや履歴情報を削除することも効果的です。肥大化したデータを整理して軽量化することで、読み込みや保存を含む全体の処理速度が向上するでしょう。
4.保存環境やネットワークの遅延
クラウドストレージや社内サーバー経由でファイルを保存している場合、ネットワーク遅延が原因で動作が重くなることがあります。
特に、大容量の3Dデータや参照ファイルを頻繁に読み込む環境では、ネットワーク状況によって影響が出る場合があります。ネットワークが不安定な状態で保存や読み込みを行うと、ファイル破損や同期エラーが発生する可能性があります。この点は動作が重くなる原因とは別のリスクとして把握しておくと安心です。
また、クラウド保存を使用する場合は、自動同期のタイミングを調整し、バックグラウンド処理による負荷を軽減しましょう。保存環境を見直すことで、処理速度とデータ安全性の両方を改善できます。
設定見直しで即効性のある改善策
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CADの動作が重い場合でも、PCを買い替える前に設定を見直すことで改善できるケースは多くあります。描画処理やシステム変数、一時ファイルの扱いなどを調整するだけで負荷が軽減し、操作がスムーズになることがあります。ここでは、すぐに試せる設定面での改善策をまとめました。
ハードウェアアクセラレーションや描画モードの調整
CADソフトには、描画処理をGPUに任せる「ハードウェアアクセラレーション」機能があります。この機能を使用することで、PCの動作が軽くなることもあります。ただし、GPU性能やドライバとの相性によっては逆効果となり、描画が遅くなる場合もあるため注意しましょう。
まずはアクセラレーションのオン・オフを切り替えて挙動を確認し、環境に適した設定を見つけます。また、「ワイヤーフレーム」や「陰影表示」など、描画モードを軽い設定に変更するだけでも動作を大幅に改善できます。見た目よりも操作速度を優先したい場合には、表示品質を一段階下げるのも有効な手段の一つです。
システム変数や表示設定の最適化
CADソフトには、動作を制御する多くのシステム変数が用意されています。
例えば以下を調整することで、描画負荷を減らせることがあります。
- REGENAUTO:図面表示を再生成するタイミングを自動で制御するシステム変数
→自動再生成をオフにすると軽くなる場合がある
- SELECTIONPREVIEW:カーソルをオブジェクトに重ねたとき、選択候補をハイライト表示するかどうかを制御する変数
→設定するとプレビュー処理が減り、マウス操作が軽く感じられる場合がある
不要なプレビューや自動更新を無効化することで、処理が軽くなり応答性が向上しやすいです。
さらに、スナップ・グリッド・補助線などの表示設定を整理し、必要最小限にとどめることでも効率化が見込めます。細かな設定変更でも、積み重ねることで動作全体の軽量化につながります。
一時ファイルやキャッシュの削除
CADは、作業中に多くの一時ファイルやキャッシュデータを生成します。これらが蓄積するとストレージ容量を圧迫し、ファイルの読み込みや保存が遅くなります。不要な一時ファイルを定期的に削除し、ディスククリーンアップを実行することでパフォーマンスを回復できます。
また、テンポラリフォルダの保存先を高速なSSDに変更するのも有効です。長期間PCを再起動していない場合は、一時ファイルの整理だけでも動作が軽くなることがあります。
CADソフトやGPUドライバの更新
古いバージョンのCADソフトやGPUドライバを使用していると、描画処理が最適化されず動作が遅くなることがあります。最新の更新プログラムには、バグ修正やパフォーマンス改善が含まれる場合が多いため、定期的にアップデートを行いましょう。
特に、GPUドライバは描画性能に直結するため、メーカー公式サイトから最新版を取得することが推奨されます。更新後は設定をリセットし、互換性を確認しておくことでトラブルを未然に防げます。
線の太さやスムーズ表示の調整
線の太さやアンチエイリアス処理など、見た目を滑らかにする設定は動作負荷を高める要因となります。そのため、細線表示やスムーズシェーディングを無効化するだけでも、描画処理を軽くできます。
また、拡大・縮小を頻繁に行う場合は、スムーズ表示レベルを下げて処理を簡略化すると効果的です。外観品質よりも作業速度を優先したい場合に、手軽で即効性のある対策です。
運用改善でCADを軽くする方法
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CADの動作が重いとき、設定変更だけでなく日常の運用方法を見直すことも効果的です。図面データの扱い方次第で容量が増減し、動作の快適さが大きく変わります。ここでは日々の作業習慣に取り入れることで、CADを軽く保つ方法を紹介します。
不要な画層やブロックの削除
使われていない画層やブロックを残したままにすると、図面データが肥大化して動作が遅くなります。特に、古い図面を流用している場合は、過去の設定や不要要素がそのまま残っていることが多いです。そのため、定期的に「画層管理」や「ブロック一覧」を確認し、未使用データを削除して整理しましょう。AutoCADでは、PURGEコマンドを活用することで、不要要素を一括で削除できます。軽量化だけでなく、図面構成の明確化にもつながり、後工程での編集作業も効率化されます。
重複オブジェクトの削除
同じ位置に重なる線や図形が存在すると、描画処理が二重に行われ、動作が遅くなります。また、出力時に線が濃く印刷されるなど、品質面のトラブルにつながることもあります。
そのため、「OVERKILL」コマンドや重複削除ツールを使って、余分な要素を自動検出・削除しましょう。削除後は図面全体を再生成(REGEN)して描画データをリフレッシュすると、動作が安定します。小さな重複も積み重なると大きな負荷になるため、定期的なチェックが効果的です。
外部参照や参照データの整理
外部参照(Xref)やリンクデータが複雑に設定されていると、読み込み時に多くのリソースを消費します。
そのため、不要な参照を削除したり、ネットワーク経由のパスをローカル化したりすると、動作を軽くできます。
また、外部参照を「バインド」して一体化することで、ファイルの依存関係を減らす方法も有効です。ただし、バインド後はデータ容量が増えるため、必要に応じて適用範囲を選ぶことが大切です。参照構造を整理するだけでも、ファイルの読み込み速度や安定性を大きく改善できます。
大規模図面を分割・軽量化する
一枚の図面に要素を詰め込みすぎると、開くたびにメモリ負荷が高くなります。モデル全体を適度に分割し、部分ごとに別ファイルとして管理すれば、動作を軽く保てます。建築図面なら階層ごと、機械設計なら部品単位で分けると効果的です。
必要に応じて外部参照で統合表示すれば、全体の整合性を保ちながら軽快に編集できます。大規模データを扱うときは、分けて設計することがパフォーマンス維持の基本です。
ファイルを新規保存し断片化を防ぐ
同じファイルを長期間上書きし続けると、内部データが断片化して動作が遅くなります。ファイル構造が複雑化し、開く・保存する際の処理時間が増えるためです。定期的に「名前を付けて保存」を実行し、新しいファイルとして書き出すことで断片化を解消できます。
特に、複雑な修正や参照の追加を行った後は、新規保存を行う習慣をつけましょう。この方法なら、データ破損のリスクを抑えつつ、作業の安定性を長期的に維持できます。
ハードウェアを見直してCADを軽くする方法
設定や運用の工夫を行っても改善が限定的な場合は、PCのハードウェア自体を強化するのがおすすめです。ストレージやメモリ、GPUの性能はCADの処理速度に直結するため、適切な投資で大幅な効率化が期待できます。ここでは代表的な改善ポイントを整理します。
SSD導入で読み書きを高速化
従来のHDDよりも高速なSSDを導入することで、ファイルの読み込みや保存にかかる時間を大幅に短縮できます。CADソフトは作業中に頻繁にデータを読み書きするため、ストレージ速度の差が操作感に直結します。
特に、大容量図面やアセンブリデータを扱う場合は、HDDからSSDに換装するだけでも快適さが大きく向上します。
また、OSやCADソフト自体をSSDにインストールすることで、起動やロード時間も短縮されます。作業効率を高めたい場合、最初に検討すべき強化ポイントです。
「SSDとは?HDDとの違いや特徴、おすすめの使い方を解説」では、SSDとHDDの違いについて解説しています。こちらも合わせてご確認ください。
メモリを増設する
メモリ容量が不足すると、CADソフトがデータ処理を一時的にストレージへ逃がすため、動作が遅くなります。特に、大規模な図面や3Dモデルを扱う環境では、メモリ不足がフリーズや強制終了の原因になります。
CADソフトが安定して動作するために必要とされるPC搭載メモリ量は、 2D設計で16GB以上、3D設計では32GB以上が目安です。この値は、PCに搭載するメモリ容量の指標であり、メモリ増設を検討する際の判断材料として利用できるでしょう。複数のCADや解析ソフトを同時に使用する場合は、さらに余裕を持たせると安定性が向上します。メモリ増設はコストに対して効果が高く、手軽に実施できるパフォーマンス改善策です。
最新CPU搭載PCで処理速度を上げる
マルチコア(コア数の多い)・高クロックCPUを使用すると処理速度が速くなります。何世代前のCPUを使っているか確認し、最新CPUとベンチマークテスト結果で確認するのも手です。
「CPUの性能比較表」では、性能比較のためのCPUの基本スペックやPassMarkのベンチマークを紹介しております。こちらも合わせてご覧ください。
GPU搭載PCで描画性能を強化
CADでは、画面の回転やズーム、レンダリングなどの描画処理をGPUが担当します。高性能GPUを搭載したPCを使用すると、複雑な3Dモデルでもスムーズに操作できます。
特に、NVIDIA RTX PRO(旧Quadro、Ada、Aシリーズなど)系やAMD Radeon Proなどのプロフェッショナル向けGPUは、CAD用途に最適化されており、描画精度と安定性に優れています。GPU性能が不足していると、カクつきや描画崩れが発生するため、業務内容に合ったモデルを選びましょう。3D設計やレンダリング作業が中心の環境では、GPUの性能強化が効果的な投資といえます。
「 Quadroとは?GeForceとの違いや性能比較も」では、一般向けGPUと業務用GPU (Quadro)の違いについて紹介しています。こちらも合わせてご確認ください。
キャッシュSSDとHDDの併用
SSDとHDDを併用すれば、速度とコストの両立が可能です。頻繁にアクセスするデータや作業中のファイルはSSDに保存し、長期保管やバックアップにはHDDを利用します。この構成なら、読み書きの高速化と大容量保存のどちらも実現できます。
また、キャッシュSSDを中間層として設定すれば、HDD利用時のアクセス速度を補えるでしょう。CADでは大容量データを扱うため、ストレージ階層を意識した構成が効率化につながります。
BTO PCなら業務に合わせたスペック選び、柔軟なパーツ構成が可能
BTOパソコンは、用途に応じてCPU・GPU・メモリなどを自由に選択できます。設計内容や使用ソフトの特性に合わせて最適な構成を組めるため、無駄のない性能投資が可能です。
例えば、2D設計中心ならCPUとメモリ重視、3D設計中心ならGPUとSSD重視の構成が効率的です。
さらに、デスクトップ型PC/ワークステーションなら後からパーツを交換・増設できるため、業務内容の変化にも柔軟に対応できます。長期的に快適な環境を維持したい場合は、BTO PCの導入を検討しましょう。















