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ワークステーション ワークステーション

ワークステーションとは?一般パソコン、サーバーとの違いを解説!

皆さんも「ワークステーション」と呼ばれるコンピュータについて聞いたことがあると思います。コンピュータには、他にも一般のパソコンや、サーバーと呼ばれるものがあります。

では、ワークステーションとサーバーや一般のパソコン、これらはいったいどのように違うのでしょうか。違いや向いている業務について、解説します。

ワークステーションとは?一般的なパソコンとの違い

まず、ワークステーションと一般的な「パソコン」との違いについてみていきましょう。少しご存知の方であれば、「ワークステーションはパソコンと比べて性能が高い」というイメージを抱かれていると思います。基本的にはそのイメージで正しいと考えていただいて問題ありません。

以下でもう少し詳しくみていきましょう。

インテルXeon CPU

まずワークステーションと一般的なパソコンで違うのが、パソコンの頭脳とも呼べる部品で、さまざまな演算処理を行い、全体的な処理能力の指標ともなっているCPU(中央演算処理装置)です。

一般的なパソコンでは、インテル製のCPUであればCore i7、Core i5などCoreシリーズが搭載されていることがほとんどです。しかしワークステーションでは、Xeonシリーズというより高性能で処理能力の高いCPUが搭載されていることが多くなっています。XeonシリーズのCPUを搭載したワークステーションは、一般的なパソコンに比べて高い演算処理性能を誇ります。

インテル Xeonシリーズの詳細については「Xeon(ジーオン)とは。Core i7、i9との違い」をご参照ください。

NVIDIA RTX™ A / Quadro®

次にGPUです。コンピュータの処理能力は、演算処理を行うCPUだけで測れるものではありません。最近は、3Dグラフィックスや微細な画像・動画など画像処理の高さも必要されています。それを司るのがGPU(Graphic Processing Unit)です。

GPUは、かつてそれほど高い画像処理の性能が必要とされなかった頃は、単にグラフィックチップやVGAチップと呼ばれていました。しかし、コンピュータがより高度な画像処理を必要とするとともに性能が急速に向上し、CPUに準ずる性能を示すようになるにしたがってGPUと呼ばれるようになりました。

ワークステーションで採用されている事例が多いGPUは、NVIDIAのRTX™ Aシリーズ(及び旧 Quadro®シリーズ、エントリーモデルはNVIDIA Tシリーズ)です。一般のパソコン向けの個人・家庭向け製品市場では、NVIDIAがGeForceシリーズをリリースし、AMD社のRadeonシリーズと人気を二分しています。(AMDのワークステーション向けには、FireProシリーズがあります)

RTX™ A / Quadro®シリーズ GeForceシリーズ
用途 3Dモデル制作、3DCG、CAD、動画編集、医療イメージングなど 主にゲーム
最適化されたAPI OpenGL DirectX
発色可能色数(2022年8月時点) 約10億7374万色(10bit) 約10億7374万色(10bit)

このように、両者には用途や発色可能な色数などに大きな違いがあります。単に性能が高いからといって、ゲーム用途にQuadro®を使うことはおすすめできません。

Quadro®とGeforceの違いについては「Quadro®とは?GeForceとの違いや性能比較も」で詳しくご説明しています。合わせてご覧ください。

ワークステーションとパソコンのスペック比較

ここまでで「ワークステーションは、一般的なパソコンを比べて処理能力が高い」という説明をしました。では、具体的に高い処理能力を実現するためにどういったスペックになっているのでしょうか。当社で販売されているワークステーションとパソコンのスペックを比較してみましょう。なお、スペックについては特に大きな違いがあると考えられる部分のみ抜粋しています。

ワークステーション パソコン
CPU インテル Xeon W3223プロセッサー インテル Core i7-12700 プロセッサー
メモリ 32GB 8GB
グラフィックス NVIDIA T600 4GB NVIDIA GeForce RTX 3050 8GB
ハードドライブ なし(自由に選択できる) 500GB SSD

このように、特にCPUやグラフィックス関連でパソコンとワークステーションでは搭載しているパーツが大きく違うことがわかります。ワークステーションでは、パソコンに比べてCPU、グラフィックスのいずれもプロフェッショナル向けが採用されています。

ワークステーションが活躍するシーン・用途

一般のパソコンに比べて高い処理能力を持つワークステーションですが、具体的にどういった業務やシーンで用いられているのでしょうか。ワークステーションが利用されている用途について、いくつかの例を挙げてみていきましょう。

まずワークステーションが具体的に活躍する業務としては、一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • デザインや設計などCADを使う業務
  • 動画や映像処理を行うクリエイター業務
  • 3Dグラフィックスなどを扱うゲームクリエイターの業務
  • ディープラーニング など

中でもディープラーニングで重要視されるポイントが並列処理性能。同時に多数の計算をするのが得意なグラフィックボード(GPU)の存在が重要になるため、性能が高いNVIDIA RTX™ Aシリーズ/Quadro®シリーズを搭載できるワークステーションは重宝されます。「ディープラーニング(深層学習)に最適なワークステーションとは?」では、より詳しくディープラーニングにおけるワークステーションの選び方をご紹介しています。合わせてご覧ください。

ハイエンドPCではなく、ワークステーションを選ぶべき理由

少しパソコンの知識がある方の中には、ある疑問を感じている人もいるのではないでしょうか。それは「高い性能を持つのはワークステーションもハイエンドPCも同じではないのか?」というものです。

ワークステーションもハイエンドPCも同じように高性能なら、ハイエンドPCを選んでも良いのではないのか、という疑問は当然感じるでしょう。

では、なぜハイエンドPCではなく、ワークステーションを選ぶべきなのでしょうか。それには、以下のような理由があります。

CADなどの業務で使う場合、ハイエンドPCはあまり向いていない

CADでは、グラフィックAPIとしてOpenGLを使っており、ワークステーションに搭載されているGPUはこれに対応したものとなっています。しかし通常のハイエンドPCでは、ゲームなど個人・家庭向けに使われるDirectXを用いたものが一般的で、業務に向いていません。

インテルのXeonプロセッサーが利用できる

ハイエンドPCには一般的にCPUとしてインテル製のCoreシリーズが搭載されています。

しかしワークステーションで使えるXeonシリーズは、「データの信頼性を担保できるECCメモリに対応」「スレッド数が多く、より高い計算性能を持つ」「複数のCPUをまとめて処理できる」「Coreシリーズと比較しても多くの拡張機能を持つ」といったように、高度な計算処理を行うための能力に長けています。

こうしたことを踏まえても、ワークステーションが求められる業務についてはワークステーションを使うことをおすすめします。

ワークステーションとサーバーの違い

ここまで、ワークステーションと一般のパソコンがどのように違うのか、そして、ワークステーションを使うべき業務には、ハイエンドPCであっても一般のパソコンは選ぶべきではないといったことについて解説してきました。

同じように、業務で利用されているコンピュータといえば「サーバー」も同じです。サーバーも高い性能を持つという点ではワークステーションと同じです。しかし、サーバーをワークステーションを使うような業務で利用することはありません。

サーバーとの用途面での違い

サーバーとワークステーションの一番の違いは、ワークステーションが個人が業務で利用するものであるのに対し、サーバーは多くの利用者にサービスを提供するものであるということ。元々の目的の違いです。それゆえに両者には様々な面で違いがあります。ここからは、両者の違いについて細かく整理してみましょう。

ワークステーション サーバー
利用目的 個人が業務で利用する 多くの利用者にサービスを提供する
求められる処理能力 特定の処理を高速で行う 多くの処理を並列で行う
安定性 作業に支障が出ない程度に求められる 高い安定性が求められる
耐久性 作業に支障が出ない程度に求められる 部品等まで高い耐久性が求められる
動作時間 作業時のみ 多くの場合24時間365日
冗長化 必須ではない 必須
障害時の影響範囲 個人のみで狭い 利用者全体で広い

このように、まずワークステーションとサーバーでは利用される目的や求められる安定性、耐久性、障害時の影響範囲など、利用する上で重視される点が大きく異なります。

サーバーとのハードウェア面での違い

では、それを踏まえて両者のハードウェア面での違いは何かあるのでしょうか。CPUやメモリなどは両者ともある程度共通のものとなるので、特に違いのある点について抜粋します。

ワークステーション サーバー
筐体 一般的なパソコンと同じ より強固なもの
電源 冗長化なし 冗長化あり
(ない場合もあるが、採用は少ない)
ハードドライブ RAIDは必須ではない RAID必須
ネットワーク 冗長化なし 冗長化が一般的

このように、ワークステーションに対してサーバーは個人で使うものでなく24時間365日利用者に対してサービスを安定的に提供する必要があるものです。

そのため、「各部品の耐久性を高める」「電源やネットワークは冗長化する」「ハードドライブについてはRAID構成とし、耐障害性を高める」といった安定性を重視されます。

つまり、ワークステーションがいかに高い性能を実現するかに特化しているのに対して、サーバーは安定してサービスを提供するということが第一の目的であるという大きな違いがあります。そのため部品なども耐久性が高いものを採用したり、冗長化を確保したりという構成をとっています。

サーバーについては「サーバーとは?役割・種類、選び方をわかりやすく解説」でも、詳しくご説明しています。合わせてご覧ください。

ノート型のワークステーションはある?

一般用途のパソコンよりも高性能なワークステーションですが、最近ではノート型のパソコンにワークステーションの性能を搭載したモバイルワークステーションも注目を集めています。全国的なテレワークの推進・普及により、これまでデスクトップ型のワークステーションで行っていた高負荷な業務を自宅で行いたいという需要が増加しているためです。

GPUはデスクトップ型と同様にNVIDIA RTX™ Aシリーズを搭載している場合がほとんどですが、CPUに関してはインテル Core i9など一般向けの高性能CPUを搭載している場合もあります。

モバイルワークステーションについてより詳しく知りたい方は「モバイルワークステーションとは?性能や特徴について解説」をご参照ください。

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まとめ

コンピュータには、ワークステーションやサーバーなど一般のパソコンとは目的や用途が違うものがあります。今回解説したように、これらには以下のような違いがあります。

  • ワークステーション:高い処理能力を持ち、CADなどに利用される
  • サーバー:安定的に利用者にサービスを提供する
  • 一般のパソコン:個人で事務作業やゲームなどに使う

このように目的や用途に大きな違いがあり、そのために搭載されている部品や構成の考え方も大きく違います。そのため、実際に使う場合には目的に合ったものを適切に選択することがとても大切になってきます。

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