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NVIDIA T1000とは?スペックや性能、口コミまで徹底解説
アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボード「NVIDIA T1000」のスペックや特徴について解説します。
NVIDIA T1000と他製品との違いやおすすめのパソコンもあわせてお伝えします。
NVIDIA T1000のメリット・デメリットが明確になるので、NVIDIA T1000の導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
NVIDIA T1000の基本スペック
NVIDIA T1000 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Turing™ |
GPU | TU117 |
プロセス | 12 nm |
トランジスタ数 | 47億 |
ダイサイズ | 200mm² |
CUDAコア | 896基 |
ベースクロック | 1065MHz |
ブーストクロック | 1395MHz |
メモリ規格 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4GB |
メモリバス | 128 bit |
バンド幅 | 160 GB/s |
消費電力 | 50 W |
発売日 | 2021/6 |
NVIDIA T1000は、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボードです。NVIDIA T1000のメモリ容量は4GBの1種類で、2021年6月に発売されました。
NVIDIA T1000は、プロフェッショナル向けのNVIDIA Tシリーズのなかで、NVIDIA T400やNVIDIA T600よりも性能が高い最上位モデルにあたります。
また、同じプロフェッショナル向けのRTXシリーズには消費電力が150Wの製品もあるなか、NVIDIA T1000は50Wと省電力性に優れています。
そのため、会社規模での一斉導入を検討している企業や、コストを抑えてグラフィックボードを運用していきたい方におすすめです。
NVIDIA T1000のスペック比較
NVIDIA T1000 | Quadro® P1000 | NVIDIA RTX™ A2000 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Ampere アーキテクチャ |
GPU | TU117 | GP107 | GA106 |
プロセス | 12 nm | 14 nm | 8 nm |
トランジスタ数 | 47億 | 33億 | 132億 |
ダイサイズ | 200mm² | 132mm² | 276mm² |
CUDAコア | 896基 | 512基 | 3328基 |
ベースクロック | 1065MHz | 1354MHz | 562MHz |
ブーストクロック | 1395MHz | 1392MHz | 1200MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR5 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4 GB | 4 GB | 6GB/12GB |
メモリバス | 128 bit | 128 bit | 192 bit |
バンド幅 | 160 GB/s | 96 GB/s | 288 GB/s |
消費電力 | 50 W | 47 W | 70W |
発売日 | 2021/6 | 2017/2 | 6GB:2021/8 12GB:2022/4 |
NVIDIA T1000のスペックを、前世代のQuadro® P1000とNVIDIA Tシリーズの後継モデルであるNVIDIA RTX™ A2000と比較してみていきましょう。
Quadro P1000ではアーキテクチャにPascal世代が採用されていましたが、NVIDIA T1000では1世代新しいTuring世代が採用されています。Turing世代はプロセスが14nmから12nmに微細化しており、その結果、CUDAコアが75%、バンド幅が66%もUPしました。メモリ規格もGDDR5から高速化と消費電力低減を両立させたGDDR6へグレードアップしており、前世代から大幅な性能向上にも関わらず、消費電力はわずか3Wアップでとどまっています。
一方で、後継モデルであるNVIDIA RTX A2000と比較すると、アーキテクチャにTuring世代より新しいAmpere世代を採用していることもあり、NVIDIA RTX A2000の方がほとんどの項目で上回っていました。特に、プロセスが12nmから8nmになったことでCUDAコアは370%もアップしており、3D処理性能の向上がうかがえます。
また、メモリ容量も3倍の12GBに増量されているため、容量の大きい3DCADやVRを扱う方は、NVIDIA RTX A2000がおすすめです。
NVIDIA RTX A2000に関しては「RTX A2000とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」で詳しくご説明しています。合わせてご覧ください。
NVIDIA T1000の特徴
NVIDIA T1000の特徴を解説します。
製品のメリットとデメリットを把握すれば、より自社に合ったグラフィックボードを導入できます。
グラフィックボードの選定に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
NVIDIA Tシリーズの最上位モデル
NVIDIA T1000は、プロフェッショナル向けのNVIDIA Tシリーズの最上位モデルです。
NVIDIA Tシリーズには、T1000のほかにT600とT400の2製品があります。
具体的なスペック差は、以下のとおりです。
NVIDIA T1000 | NVIDIA T600 | NVIDIA T400 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | TU117 | TU117 | TU117 |
プロセス | 12 nm | 12 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 47億 | 47億 | 47億 |
ダイサイズ | 200mm² | 200mm² | 200mm² |
CUDAコア | 896基 | 640基 | 384基 |
ベースクロック | 1065MHz | 735MHz | 420MHz |
ブーストクロック | 1395MHz | 1335MHz | 1425MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4 GB | 4 GB | 2 GB / 4 GB |
メモリバス | 128 bit | 128 bit | 64 bit |
バンド幅 | 160 GB/s | 160 GB/s | 80 GB/s |
消費電力 | 50 W | 40 W | 30 W |
発売日 | 2021/6 | 2021/6 | 2GB:2021/4 4GB:2022/2 |
GPUに同じTU117を採用しているため、プロセス・トランジスタ数・ダイサイズは同値です。ただし、そのほかの項目で比較すると、CUDAコアはT400のおよそ2.3倍、ベースクロックにおいても2.5倍の数値を誇ることから、大幅な性能向上がみられます。
消費電力はT1000が最も高い数値ですが、グラフィックボードとしては優秀な数値なので、ランニングコストを抑えて運用したい方にも適しています。このことから、NVIDIA T1000はTシリーズの最上位モデルでありながら、コストパフォーマンスに優れたグラフィックボードだといえるでしょう。
また、これからグラフィックボードを導入する方は、同じシリーズでも大きな性能差があることを把握し、上記の項目にも注目して製品を選定しましょう。
ビデオエンコード・デコードエンジンを搭載
NVIDIA T1000には、動画データを圧縮・変換・復元する動画コーデックの「H.264」がグラフィックスオペレーションから独立したかたちで搭載されています。
加えて、ビデオデータのフォーマットの変換に必要なHEVCエンコードエンジンや、デコードエンジンも搭載されているため、ビデオの作成や再生を高速に行えます。
そのため、NVIDIA T1000は、グラフィックデザインを行うクリエイターだけでなく、動画編集や配信を行う方にもおすすめなグラフィックボードです。
“単純な”グラフィック性能ならGTX系に軍配
NVIDIA T1000は、同じTuring世代を搭載したグラフィックボードのGTXシリーズと比べると性能が劣ります。
GTX 16シリーズの最上位モデルであるGTX 1660 Tiと比較した結果が以下のとおりです。
NVIDIA T1000 | NVIDIA GTX 1660 Ti | |
アーキテクチャ | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | TU117 | TU116 |
プロセス | 12 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 47億 | 66億 |
ダイサイズ | 200mm² | 284mm² |
CUDAコア | 896基 | 1536基 |
ベースクロック | 1065MHz | 1500MHz |
ブーストクロック | 1395MHz | 1770MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4 GB | 6 GB |
メモリバス | 128 bit | 192 bit |
バンド幅 | 160 GB/s | 288 GB/s |
消費電力 | 50 W | 120 W |
発売日 | 2021/6 | 2019/2 |
両製品は同じTuring世代のグラフィックボードですが、GPUはGTX 1660 Tiの方が1世代新しいTU116を採用しています。そのため、GTX 1660 Tiの方がCUDAコアは71%、ベースクロックは40%、ブーストクロックは26%高い数値です。
メモリ容量もGTX 1660 Tiが上回っているため、単純に高い3Dグラフィック性能を求める方や大容量のグラフィックボードを導入したい方は、GTXシリーズがおすすめです。
また、アーキテクチャが同じ世代でも、このように性能は大きく異なるため、グラフィックボードを選定する際は、細かい項目にも着目しましょう。
性能差だけで選定するのは危険?
とはいえ、単純な性能だけで良し悪しを測るのは危険です。
GTXシリーズを含むGeForceはゲーム用途に最適化され、各メーカーから販売されているのに対し、T1000を含むNVIDIA TシリーズやRTX A2000に代表されるNVIDIA RTXシリーズはプロフェッショナル用途に最適化されたGPUで、その特性上、製造元であるNVIDIAからしか販売されていません。その分、製品による性能差がなく、安全に安心してお使いいただけます。この点は企業にとっては大きなメリットでしょう。
また、省電力性はNVIDIA Tシリーズの方が優れているため、ランニングコストを抑えたい方は、NVIDIA Tシリーズの導入がおすすめ。
GPUの選定は様々な角度から検討する必要があります。
NVIDIA T1000のベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、Passmark G3D Mark・Passmark G2D Mark・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
Passmark G3D Mark
PassmarkのG3D Markは、3Dグラフィックスの処理性能を表すベンチマークスコアです。NVIDIA T1000の数値は7707で、5つの製品のなかでは2番目に高いスコアでした。
NVIDIA T1000はNVIDIA Tシリーズの最上位クラスであることもあり、NVIDIA T400の211%、NVIDIA T600の118%の数値でした。従来モデルのQuadro P1000と比較しても174%の数値で、大きく上回っています。
一方で、QuadroシリーズのハイエンドクラスのQuadro® RTX 4000と比較すると、およそ50%の数値で、大きく離されています。
同じQuadro シリーズでもこれだけの差があるため、シリーズだけでは判断せず、上記のようなベンチマークスコアにも注目してグラフィックボードを選定しましょう。
Passmark G2D Mark
PassmarkのG2D Markは、2Dグラフィックスの処理性能を表すベンチマークスコアです。
NVIDIA T1000の数値は859と、NVIDIA T400の148%、NVIDIA T600の115%のスコアで、G3D Markと同様に、下位モデルを大きく引き離しています。従来モデルのQuadro P1000と比較しても135%の数値で、大きな性能差がみられます。
また、Quadro RTX 4000から5%劣る数値でしたが、G3D Markほどの開きはないことから、NVIDIA T1000は3Dよりも2Dのグラフィック処理性能に優れていることがわかります。
以上のように、グラフィックボードによって得意としている分野が異なるので、ベンチマークスコアを参考に、自社の用途に合った製品を選定しましょう。
消費電力
消費電力の観点でもみていきましょう。
NVIDIA T1000は50Wで、NVIDIA T400よりも20W、NVIDIA T600よりも10W高い数値でした。NVIDIA T1000はNVIDIA Tシリーズの最上位クラスなので、下位モデルよりも高い消費電力なのは当然の結果といえます。
従来モデルのQuadro P1000は47Wで、NVIDIA T1000よりも3W低いですが、上記で紹介したように大きな性能差があるため、NVIDIA T1000の方がコスパに優れているといえるでしょう。
また、Quadro RTX 4000は160Wと、NVIDIA T1000よりも110Wも高い数値でした。
これからグラフィックボードを導入する方は、G2D Markのスコアがほぼ同値だった点も踏まえて、どちらの方がコスパに優れているか検討し、選定すると良いでしょう。
NVIDIA T1000を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
NVIDIA T1000はどのような用途におすすめ?
NVIDIA T1000は、2Dのデザイン作成や動画編集、RAW現像からDTMといった幅広い用途におすすめです。
DisplayPort 1.4a対応のMini DisplayPortを4基搭載しており、最大8K解像度の1画面出力や、5Kモニターの最大4画面出力が可能なため、高画質なデザインを扱うクリエイターや、作業効率を向上させたい企業におすすめです。
また、APIにOpenGLを採用しており、AdobeやAutoCADなどのクリエイター向けソフトウェアと相性が良い特徴もあります。
CUDAコアは896基と、下位モデルのNVIDIA T400やNVIDIA T600から3D処理性能も向上しているため、2DグラフィックデザインやDTMクリエイティブ業務だけでなく、負荷の軽い3DCADの扱いであれば、問題なく行えます。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。
CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。今回ご紹介しているNVIDIA T1000は前述の通り、OpenGLに最適化されているため、Open GLが採用されたソフトウェアで性能を発揮します。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。
Magnate MT10-B 法人モデルは、幅約10cmのスマートな筐体にエントリー3Dデザインまで対応した描画力を持つNVIDIA T1000を搭載したスリムハイエンドデスクトップPC。
RGB各色10bitの約10億6433万色”ディープカラー”出力サポートし、adobe製品での利用などクリエイティブ業務に最適。出力端子はMini DisplayPort 4基に拡大されているため、5Kモニター4画面同時出力できるなど業務の効率化にも一役買います。
また、計算されつくしたエアフロー設計により、高負荷時も高い静音性を保持。オフィス環境を邪魔しません。
raytrek Workstation X2614 標準モデル
CPUに、最大18コア36スレッドまで対応可能なインテル Xeon Processor W-2223 が搭載されています。
加えて、最大4GHzの高速稼働を実現するため、マルチタスクを行う方でも高いパフォーマンスを発揮できます。
また、NVIDIA Tシリーズ、NVIDIA RTXシリーズを最大2基搭載可能なので、4K8Kの高解像度の映像処理や3DCGの制作、深層学習研究といった負荷の大きい作業でも、性能不足になる心配がありません。
GPUをはじめ、メモリ、ストレージなどご要望に応じた柔軟なカスタマイズ性能も選ばれている理由のひとつです。
raytrek Workstation X4620 標準モデル
強力なパフォーマンスと高い拡張性が魅力のハイエンドモデルワークステーションです。
CPUには、最大32コア・64スレッドまで対応が可能なインテル Xeon スケーラブル・プロセッサーファミリーを搭載し、raytrek Workstation X2614以上の高いマルチタスク性能を発揮します。
また、raytrek Workstation X2614と同様にNVIDIA RTXシリーズ、NVIDIA Tシリーズのグラフィックボードを最大2基まで搭載可能です。
NVIDIA T1000はもちろん、RTXシリーズの最上位モデルであるNVIDIA RTX A6000、最新のNVIDIA GeForce RTX4090など幅広くカスタマイズ可能なので、自分好みのグラフィックボードを搭載し、性能の高さを実感しましょう。
raytrek Workstation X6612 標準モデル
X8612は、raytrek Workstationシリーズの最上位モデルにあたるワークステーションです。
標準でメモリースロットを12基搭載しており、最大768GB の大容量メモリを実現できるため、大量のメモリー領域が必要なグラフィック系のアプリケーションや科学技術計算処理に対応可能です。
また、ほかのモデルと同様に、グラフィックボードは最大4基まで搭載できます。
本体はデスクサイドに溶け込みやすい黒で統一されたデザインであることから、フォーマルな空間でも違和感なく設置できるでしょう。
まとめ
この記事では、NVIDIA社が発売しているグラフィックボード「NVIDIA T1000」のスペックや特徴、口コミ・評判について解説しました。
NVIDIA T1000は、NVIDIA Tシリーズの最上位モデルのグラフィックボードです。下位モデルから大幅な性能向上がみられますが、消費電力は50Wと低く、コストパフォーマンスにも優れています。
これからグラフィックボードを導入する方は、今回紹介した他シリーズとの比較も参考に、製品を選定してみてください。