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Intel Arc A550Mとは?スペックや性能、口コミまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel」が発売しているグラフィックボード「Intel Arc A550M」のスペックや特徴について解説します。NVIDIA製のグラフィックボードとの比較・性能差もあわせてお伝えします。
Intel Arc A550Mならではの特徴を把握できるので、どのメーカーのグラフィックボードが良いか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Intel Arc A550Mの基本スペック
Intel Arc A550M | |
アーキテクチャ | Alchemist |
GPU | ACM-G10 |
プロセス | 6 nm |
トランジスタ数 | 217億 |
ダイサイズ | 406mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 16基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 256基 |
RTユニット(RTコア) | 16基 |
ベースクロック | 900MHz |
ブーストクロック | 2050MHZ |
メモリ規格 | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB |
メモリバス | 128bit |
バンド幅 | 224GB/s |
消費電力 | 60W |
発売日 | 2022/3 |
Intel Arc A550Mは、アメリカの半導体メーカー「Intel」が発売しているグラフィックボードです。 アーキテクチャにはAlchemist、GPUにはACM-G10を採用しています。Intel Arc A550Mのメモリ容量は8GBの1種類で、Intel Arc Aシリーズのノートパソコン向けのモデルとして、2022年3月に発売されました。
グラフィックボードといえば、NVIDIA GeForceシリーズとAMD Radeonシリーズの2巨塔であったため、発売当初は大きな注目を集めました。2社に引けを取らない性能と、ノートパソコン向けのモデルであることから、オフィスや自宅など場所を問わず仕事を行うサラリーマンやクリエイターからの採用が多いグラフィックボードです。
また、Intel Arc Aシリーズには、Intel Arc A550Mのようなノートパソコン向けだけでなく、Intel Arc A580やIntel Arc A750などのデスクトップ版もリリースされています。
※Intel Arc全般に関しては「Intel Arcとは?特徴やシリーズの種類、口コミまで解説」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
Intel Arc A550Mのスペック比較
競合メーカーのNVIDIA製のグラフィックボードと比較することで、より深くIntel Arc A550Mの特徴を解説していきます。
Intel Arc A550Mは、Intel Arc Aシリーズのミドルクラスに位置づけられているグラフィックボードです。そこで、近いGPU性能を持ち、シリーズのミドルクラスにあたるNVIDIA GeForce GTX 1060と、そのGTX 1060の次世代モデルにあたるNVIDIA GeForce RTX 3050の2製品を選定し、比較していきます。
それぞれのグラフィックボードの特色にも注目して解説します。
Intel Arc A550M | NVIDIA GeForce GTX 1060 | NVIDIA GeForce RTX 3050 | |
アーキテクチャ | Alchemist | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Ampere アーキテクチャ |
GPU | ACM-G10 | GP106 | GP106 |
プロセス | 6 nm | 16 nm | 8 nm |
トランジスタ数 | 217億 | 44億 | 120億 |
ダイサイズ | 406mm² | 200mm² | 276mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 16基 | 3GB:1152基 6GB:1280基 |
2560基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 256基 | - | 80基 |
RTユニット(RTコア) | 16基 | - | 20基 |
ベースクロック | 900MHz | 1506MHz | 1552MHz |
ブーストクロック | 2050MHZ | 1708MHz | 1777MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR5 | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB | 3GB / 6GB | 8GB |
メモリバス | 128bit | 192bit | 128bit |
バンド幅 | 224GB/s | 192GB/s | 224GB/s |
消費電力 | 60W | 120W | 130W |
発売日 | 2022/3 | 3GB:2016/7 6GB:2016/8 |
2022/1 |
Intel Arc A550Mのプロセスは6nmと、NVIDIA GeForce GTX 1060の16nmよりも小さいため、トランジスタ数は大きく上回っています。また、Intel Arc A550Mには、NVIDIA製グラフィックボードのTensorコアにあたるMatrixコアや、RTコアにあたるRTユニットが搭載されていますが、NVIDIA GeForce GTX 1060には搭載されていません。そのため、レイトレーシング性能やAIを用いたディープラーニング性能に差がみられることが予想されます。
メモリ容量もIntel Arc A550Mの方が2GB多く、メモリ規格はGDDR6を採用しています。一方で、NVIDIA GeForce RTX 3050には、NVIDIA GeForce GTX1060にはなかったTensorコアとRTコアが搭載されています。Intel Arc A550MのMatrixコアやRTユニットと搭載されている数に開きはありますが、それぞれ別物の演算回路なので、性能差を比較する際は、後述するベンチマークを参考にしてください。
また、メモリ規格は同じGDDR6で、メモリ容量も8GBと同値です。ベースクロックは、RTX 3050が大きく上回っています。
RTX 3050の詳細は「RTX 3050とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」の記事でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
Intel Arc A550Mの特徴
Intel Arc A550Mの特徴を4つ解説します。
Intel Arc Aシリーズならではの特徴から、ほか製品と比較することでわかる特徴まで解説するので、グラフィックボードの選定に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
クリエイティブ作業と省電力性を向上させる「Deep Link」を搭載
Intel ark A550Mは、IntelのCPUとGPUを活用することで快適かつ経済的なクリエイティブシーンを実現する「Deep Link」を搭載しています。Deep Linkの代表的な機能である「ダイナミック・パワー・シェア」では、CPUとGPU間で必要な場所に電力を分配することで、従来の最大30%のパフォーマンス向上を実現します。
デスクトップよりもスペックが劣るノートパソコン版ですが、ダイナミック・パワー・シェアを活用すれば、クリエイティブシーンでも常に最大限のパフォーマンスが期待できるでしょう。
また、CPUとGPUに備わった複数のメディアエンジンが連動することでエクスポート時間の削減を実現する「ハイパー・エンコード」も利用可能です。
クリエイティブシーンの作業環境改善を実現し、生産性の向上に繋げられます。
DirectX 12 UltimateをサポートしAI学習を高速に行う「XMX」を搭載
Intel Arc A550Mは、最新のAPIであるDirectX 12 ULtimateをサポートしています。DirectX 12 ULtimateは、NVIDIA GeForceシリーズやAMD Radeonシリーズも先行してサポートしているため、Intel Arc Aシリーズも並んだことになります。
レイトレーシングやVRSなどの描画関連の新機能も搭載されているので、クリエイティブシーンにおいて高いパフォーマンスが期待できます。
さらに、Intel Arc A550Mには、通常の描画で使用されるユニットの「XVE」だけでなく、AI学習や推論処理を高速に行ってくれる「XMX」を搭載しています。XMXは、高画質かつ高速なゲームプレイ環境を実現させる「XeSS」機能に利用されており、Intelはクリエイティブ系アプリでの応用も可能と謳っています。まだアプリ側の対応が行き届いていないケースがほとんどですが、今後の展望に期待できます。
デスクトップ版と比べると性能が劣る
Intel Arc A550Mはノートパソコン向けのグラフィックボードであるため、デスクトップ版と比較すると性能が劣ります。
Intel Arc A550MとIntel Arc A750の性能を比較した結果は、以下のとおりです。
Intel Arc A550M | Intel Arc A750 | |
アーキテクチャ | Alchemist | Alchemist |
GPU | ACM-G10 | ACM-G10 |
プロセス | 6 nm | 6 nm |
トランジスタ数 | 217億 | 217億 |
ダイサイズ | 406mm² | 406mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 16基 | 28基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 256基 | 448基 |
RTユニット(RTコア) | 16基 | 28基 |
ベースクロック | 900MHz | 2050MHz |
ブーストクロック | 2050MHZ | 2050MHZ |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB | 8GB |
メモリバス | 128bit | 266bit |
バンド幅 | 224GB/s | 512GB/s |
消費電力 | 60W | 225W |
発売日 | 2022/3 | 2022/10 |
GPUには同じACM-G10を採用しているため、プロセス・トランジスタ数・ダイサイズは同値です。しかし、Xeコア・Matrixコア・RTユニットはIntel Arc A750が大きく上回っているため、レイトレーシング性能やAIを活用した「XMX」のパフォーマンスは、Intel Arc A750の方が高いといえるでしょう。
また、メモリ容量やメモリ規格は同じですが、メモリバスやバンド幅はIntel Arc A750がIntel Arc A550Mの2倍以上の数値です。
Intel Arc A750の消費電力は225Wと、高性能な分、Intel Arc A550Mの60Wより165W高い数値なので、コストを抑えたい方や普段からノートパソコンを使う方は、Intel Arc A550Mがおすすめです。
ReSizable BARの有効化が必要
Intel Arc A550Mを利用する際は、ReSizable BARを有効にしましょう。ReSizable BARとは、CPUがGPUのメモリにフルアクセスすることで作業の効率化とパフォーマンスの向上を実現させる機能で、Intel Arc Aシリーズだけでなく、NVIDIA GeForceシリーズとAMD Radeonシリーズにも対応しています。
IntelはReSizable BARを有効にしないとゲーミングパフォーマンスに影響が出ると謳っており、グラフィックシーンにおいても少なからず影響が出ると考えられています。そのため、Intel Arc A550を使用する方は、利用シーン問わず、ReSizable BARを有効にするようにしましょう。
また、ReSizable BARを有効にするには要件を満たす必要があり、Intel CPUなら第10世代以上のプロセッサーが求められます。
Intel Arc AシリーズとNVIDIA GeForceシリーズの特徴比較
NVIDIAは、Intelと同様にアメリカに本社を構える半導体メーカーです。AMDと並ぶグラフィックボード製造メーカーでもあり、GeForceシリーズは主力製品のひとつです。APIは、ゲームで採用されることの多いDirectXに対応しているため、3DCADの制作などのクリエイティブシーンよりも、ゲーミングの用途が向いています。
そして、Intel Arc AシリーズのAPIは、NVIDIA GeForceシリーズと同じDirectXです。そのため、NVIDIA GeForceシリーズと同様に、ゲーミングでの使用がおすすめです。加えて、クリエイティブタスクの効率化やパフォーマンス向上を実現する、Intel独自の「Deep Link」や「XMX」を搭載しているため、クリエイティブシーンでも高い性能を発揮してくれます。
APIは同じDirectXであることから、両シリーズともゲーミング向けのグラフィックボードとして開発されたことがわかりますが、クリエイティブシーンでの利用を検討している方は、それぞれの製品の特徴や独自機能、ベンチマークを確認して選定しましょう。
Intel Arc A550Mのベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、レイトレーシング・Wild Life・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
レイトレーシング
レイトレーシングとは、光や影を表現・追跡する機能です。よりリアルな映像を表現したい方、楽しみたい方は注目すべきベンチマークのひとつです。
Intel Arc A550Mの数値は2893と、NVIDIA GeForce GTX 1060の3倍以上のスコアでした。Intel Arc A550Mには、NVIDIA GeForce GTX 1060には搭載されていない、レイトレーシングに特化したRTユニットが搭載されているため、これだけの性能差が生まれたと考えられます。
一方で、NVIDIA GeForce RTX 3050の数値は3531と、Intel Arc A550Mを上回っています。Intel Arc A550MのRTユニットは28基で、NVIDIA GeForce RTX 3050のRTコア数の20基を上回りますが、上記のような性能差がみられました。
そのため、これからグラフィックボードを選定する方は、ベンチマークスコアにも注目して性能を比較するようにしましょう。
Wild Life
Wild Lifeは、ノートパソコンやタブレット向けのクロスプラットフォームのベンチマークスコアです。クロスプラットフォームとは、異なるプラットフォーム上で同じ仕様のアプリケーションを動作させるプログラムを指します。
Intel Arc A550Mの数値は29195と、レイトレーシングでは大きな性能差がみられたNVIDIA Geforce GTX 1060とほぼ同値でした。
一方で、NVIDIA GeForce RTX 3050と比較すると、レイトレーシング同様に、大きな性能差がみられました。
複数のプラットフォーム上でアプリケーションを使用する機会の多いクリエイターや研究者の方は、Wild Lifeのスコアが高いグラフィックボードがおすすめです。
消費電力
消費電力の観点からもみていきましょう。
Intel Arc A550Mの数値は60Wと、NIVIDIA製の2製品よりも優れた数値でした。具体的には、NVIDIA Geforce GTX 1060の120Wよりも60W、NVIDIA GeForce RTX 3050よりも70Wも少ない消費電力であるため、コスパの良さがうかがえます。
また、NVIDIA Geforce GTX 1060とNVIDIA GeForce RTX 3050の消費電力の差はわずか10Wと、性能差ほど開きはないことから、NVIDIA GeForce RTX 3050の方がコスパは良いでしょう。
消費電力を抑えられるグラフィックボードを運用したい方は、そのほかのIntel Arcシリーズや、NVIDIA製のグラフィックボードを比較してみましょう。
Intel Arc A550Mを使用している方の口コミ・評価
実際にIntel Arc A550Mを搭載したパソコンを使用している方の口コミ・評価を紹介します。
Intel Arc A550Mのリアルな性能を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ゲーム用では無く普段使い用のノーパソを探していたら(youtube、ニコニコ等の動画視聴やちょっとした作業)丁度セール中だったので購入 この値段で12世代のi7と16gbのramという最強過ぎるコスパと外で使っても恥ずかしくない落ち着いたデザインなのでゲーム以外の使用を考えてるならオススメします
【処理速度】かなり速い
【使いやすさ】普通に便利に使える
【持ち運びやすさ】そんなに重くない
【バッテリ】もちはいい
【画面】広くて見やすい
【コストパフォーマンス】最強
【総評】ゲームはしないけど良いノーパソを探してるならオススメします。
※ドスパラ通販サイトより引用
以上の口コミから、Intel Arc A550Mは、処理速度が十分で、動画視聴などの普段使いに最適なグラフィックボードだとわかりました。
Intel Arc A550Mはどのような用途におすすめ?
Intel Arc A550Mは、ゲームでの採用が多いDirectXに対応しているため、ゲーミングの用途で利用されるケースが多いグラフィックボードですが、高解像度かつ高速な作業環境を求めるクリエイターにもおすすめです。
Intel Arc A550MをはじめとしたIntel Arc Aシリーズは、CPUとGPUを連動させることでパフォーマンスとタスクの生産性向上を実現する「Deep Link」を搭載しています。
さらに、AI学習や推論処理を高速に実行することで、高画質と高速な処理性能を発揮する「XMX」も搭載しています。
Intel Arc A550Mはノートパソコン向けのグラフィックボードなので、普段からノートパソコンで作業するクリエイターや、リモートワーク中心の会社員などにおすすめです。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。
CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、挙げられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。
まとめ
この記事では、Intel社が発売しているグラフィックボード「Intel Arc A550M」のスペックや特徴、ベンチマークからNVIDIA GeForceとの違いまで解説しました。
Intel Arc A550Mは、ノートパソコン向けのモデルであるため、リモートワークを行うビジネスマンやクリエイターにおすすめのグラフィックボードです。Intel Arc Aシリーズのなかではコストパフォーマンスに優れたミドルクラスにあたるため、比較的手ごろな価格で導入できます。
また、ゲーミングだけでなく、クリエイティブシーンでも活かせる機能が満載です。
どのメーカーのグラフィックボードにすべきか悩んでいる方は、今回の記事を参考に、ほかメーカの製品と比較して、自社に合ったグラフィックボードを選定しましょう。