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GTX 970とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボード「GeForce GTX 970」のスペックや用途を解説します。
GTX 970のベンチマークもあわせてお伝えするので、よりテクニカルな性能を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
GTX 970の基本スペック
GeForce GTX 970 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Maxwell™ |
GPU | GM204 |
プロセス | 28 nm |
トランジスタ数 | 52億 |
ダイサイズ | 398mm² |
CUDAコア | 1664基 |
ベースクロック | 1050MHz |
ブーストクロック | 1178MHz |
メモリ規格 | GDDR5 |
メモリ容量 | 4 GB |
メモリバス | 256 bit |
バンド幅 | 224 GB/s |
消費電力 | 145 W |
発売日 | 2014/9 |
GTX 970は、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているGeForce GTX 900シリーズのミドルクラスグラフィックボードです。GTX 970のメモリ容量は4GBの1種類で、2014年9月に発売されました。
アーキテクチャは、NVIDIA Maxwell™が採用されており、Kepler™を採用している従来モデルのGeForce GTX 770から半導体の性能向上がみられます。
また、GTX 900シリーズには、GTX 970のほかに、エントリークラスのGeForce GTX 950や、ハイエンドクラスのGeForce GTX 980があります。
そのなかでもGTX 970は、高い性能を持ちつつ、比較的安価でランニングコストも抑えられることから、コストパフォーマンスに優れたグラフィックボードとして人気を博しました。
GTX 970のスペック比較
GeForce GTX 970 | GeForce GTX 770 | GeForce GTX 980 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Maxwell™ | Kepler™ | NVIDIA Maxwell™ |
GPU | GM204 | GK104 | GM204 |
プロセス | 28 nm | 28 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 52億 | 35.4億 | 52億 |
ダイサイズ | 398mm² | 294mm² | 398mm² |
CUDAコア | 1664基 | 1536基 | 2048基 |
ベースクロック | 1050MHz | 1046MHz | 1127MHz |
ブーストクロック | 1178MHz | 1085MHz | 1216MHz |
メモリ規格 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量 | 4 GB | 2 GB | 4 GB |
メモリバス | 256 bit | 256 bit | 256 bit |
バンド幅 | 224 GB/s | 224 GB/s | 224 GB/s |
消費電力 | 145 W | 230 W | 165 W |
発売日 | 2014/9 | 2013/5 | 2014/1 |
GTX 970のスペックを、従来モデルのGTX 770と上位モデルのGTX 980と比較してみていきましょう。
GTX 770との比較
GTX 770では、Kepler世代のアーキテクチャが採用されていましたが、GTX 970ではMaxwell世代に進化しました。
プロセスは同じ28nmですが、アーキテクチャの世代が進化したことが要因で、GTX 970トランジスタ数は、GTX 770の148%の数値に向上しています。
CUDAコアもおよそ8%上回っており、動画や3DCADといった複雑な作業の並列処理性能の向上がうかがえます。
メモリ規格やメモリバス、バンド幅といった各種メモリ性能に大きな性能差はみられませんが、GTX 970のメモリ容量は4GBと、GTX 770の2GBから倍増です。
消費電力が大きく抑えられている点も、特筆すべき特徴のひとつです。
GTX 980との比較
一方で、上位モデルのGTX 980と比較すると、同じGM204のGPUを搭載しているため、トランジスタ数やダイサイズに差はありません。
GTX 980のCUDAコアは、GTX 970の123%の数値で、大幅な向上がみられます。
ベースクロックやブーストクロックもGTX 980が上回っており、演算能力の向上もみられます。
メモリ性能はほとんど同値ですが、GTX 980の消費電力は、GTX 970より20W多い165Wです。
GTX 970の特徴
GTX 970の特徴を3つ解説します。
GTX 970の最大限に高める機能や、競合製品と比較した際の特徴も解説するので、ぜひ参考にしてください。
自動オーバークロック機能「GPU Boost 2.0」を搭載
GTX 970は、自動オーバークロック機能の「GPU Boost 2.0」を搭載しています。
「GPU Boost 2.0」は、GPUのクロック速度を自動的に調整し、グラフィック処理のパフォーマンスを最大化する機能です。
GPUの温度や消費電力を常に監視することで、GPUが過熱したり、過剰な電力を消費したりすることを防ぎ、安定したパフォーマンスを維持します。
また、ユーザーがクロック速度の上限や電力制限を設定でき、好みに合わせたカスタマイズも可能なので、より快適なパフォーマンスを実現して作業効率を向上させたいクリエイターにおすすめの機能です。
AMDのRadeon R9 290と同等の性能を持つ
NVIDIA製のGTX 970は、AMD製のRadeon R9 290と同等の性能を持っているグラフィックボードです。
GTX 970 | AMD Radeon R9 290 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Maxwell™ | GCN |
GPU | GM204 | Hawaii |
プロセス | 28 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 52億 | 62億 |
ダイサイズ | 398mm² | 438mm² |
CUDAコア | 1664基 | 2560基 |
ベースクロック | 1050MHz | 1250MHz |
ブーストクロック | 1178MHz | 947MHz |
メモリ規格 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量 | 4 GB | 4GB |
メモリバス | 256 bit | 512 bit |
バンド幅 | 224 GB/s | 320 GB/s |
消費電力 | 145 W | 275 W |
発売日 | 2014/9 | 2013/11 |
AMD Radeon R9 290のアーキテクチャはGCNで、GPUにはHawaiiを採用しています。プロセスは、GTX 970と同じ28nmですが、トランジスタ数はAMD Radeon R9 290が上回っています。
CUDAコアもAMD Radeon R9 290の方が優れた数値です。メモリ性能においては、規格と容量が同じで差はありません。また、AMD Radeon R9 290のメモリバスは、GTX 970の倍の512bitです。
一方で、AMD Radeon R9 290の消費電力は275Wと、GTX 970より130Wも高いため、コストを抑えたい方は、GTX 970がおすすめです。
買い替えならRTX 3050以上がおすすめ
GTX 970から買い替えを検討している方は、GeForce RTX 3050以上のグラフィックボードがおすすめです。
GTX 970の上位モデルには、GeForce GTX 980やGeForce GTX 980 Tiがありますが、GeForce GTX 900シリーズは、最新のAda Lovelace世代のアーキテクチャよりも4世代古いMaxwell世代を採用しているグラフィックボードです。
最新のアプリケーションやソフトに対応していない可能性があるため、買い替えるならAmpere世代を採用したGeForce RTX 30シリーズ以上のグラフィックボードを推奨します。
なかでもGeForce RTX 3050は、RTX 30シリーズのエントリークラスにあたるグラフィックボードなので、初めてグラフィックボードを使う方でも導入しやすいのが特徴です。GeForce GTX 900シリーズやGeForce GTX 16シリーズよりも市場に流通しているので、手に入りやすいのもメリットです。
GeForce RTX 3050の詳細は「RTX 3050とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
また、GeForce GTX 970と同じ70番台にこだわりたい方や、少しでもスペックが高いグラフィックボードを導入したい方は、GeForce RTX 3050の上位モデルにあたる、前述したGeForce RTX 3070がおすすめです。
両製品を比較して、自身の用途や求めるスペックに合ったものを採用しましょう。
GTX 970のベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、3DMark・Passmark G2D Mark・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
3DMark
3Dグラフィックスの処理性能を表す3DMarkのベンチマークスコアを見ていきます。
GTX 970の数値は3640と、上位モデルのGeForce GTX 1650を上回るスコアでした。競合のAMD Radeon RX 6400と比較しても、GTX 970が上回る数値です。
どのメーカーのグラフィックボードを導入するか悩んでいる方は、上記のように複数社の製品の性能を比較してみましょう。
一方で、GeForce GTX 1650 TiとGeForce GTX 1060のノートブック版と比較すると、GTX 970は劣っています。ノートブック版は、デスクトップ版と比べて性能が劣る傾向にありますが、両製品はGTX 970の上位モデルであるため、GTX 970を上回る性能が表れたと思われます。
Passmark G2D Mark
PassmarkのG2D Markは、2Dグラフィックスの処理性能を表すベンチマークです。
GTX 970のスコアは778と、5つの製品のなかで最も優れたスコアでした。特に、3DMarkでは下回っていたNVIDIA GeForce GTX 16050 Ti(ノートブック)の2倍以上のスコアで、大きな性能差がみられます。
競合のAMD Radeon RX 6400とも3DMark以上の性能差がみられることから、GTX 970は、3Dよりも2Dグラフィックの処理性能に長けたグラフィックボードだといえるでしょう。
このように、複数のベンチマークを比較することで、製品の得意分野がわかります。グラフィックボードの用途が決まっている方は、用途に合ったベンチマークスコアを確認しましょう。
消費電力
消費電力の観点でもみていきます。
GTX 970の消費電力は145Wと、5つの製品のなかで最も高い数値でした。特に、GeForce GTX 1650 Ti(ノートブック)とは95Wもの差があります。
ノートブック版は、デスクトップ版よりも消費電力が抑えられているので、ランニングコストを抑えたい方や、普段からノートパソコンを使っている方は、ノートブック版も検討しましょう。
また、ワット数別の3DMarkスコアに着目すると、GTX 970は最も低い数値でした。
コスパに優れたグラフィックボードを導入したい方は、消費電力とあわせてワット数別のスコアも確認しましょう。
GTX 970を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
GTX 970はどのような用途におすすめ?
GTX 970は、2Dのグラフィックデザインや、動画編集におすすめのグラフィックボードです。GeForce GTX 900シリーズのエントリークラスにあたるGeForce GTX 950からメモリ容量が倍増しており、より大きな容量のデータや、負荷の軽い3Dグラフィックの処理も問題なく行えるでしょう。
ただし、GTX 970はMaxwell世代の古いグラフィックボードなので、現在は流通量が減っています。
同じ70番台のGeForce RTX 3070であれば、NVIDIA Ampere アーキテクチャを採用した比較的新しい製品であるため手に入りやすく、GeForce GTX 900シリーズの後継モデルであることもあり、より高い性能を体験できます。
RTX 3070の詳細は「RTX 3070とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」の記事でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。
CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、挙げられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。