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GTX 1080とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボード「GeForce GTX 1080」のスペックや用途を解説します。
用途別のベンチマークもあわせて紹介するので、すでに用途が決まっている方や、GTX 1080の性能をより深く知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
GTX 1080の基本スペック
GeForce GTX 1080 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ |
GPU | GP104 |
プロセス | 16 nm |
トランジスタ数 | 72億 |
ダイサイズ | 314mm² |
CUDAコア | 2560基 |
ベースクロック | 1607MHz |
ブーストクロック | 1733MHz |
メモリ規格 | GDDR5X |
メモリ容量 | 8GB |
メモリバス | 256bit |
バンド幅 | 320GB/s |
消費電力 | 180W |
発売日 | 2016/5 |
GeForce GTX 1080は、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボードです。
GeForce GTX 10シリーズのハイエンドクラスとして2016年5月に発売されました。アーキテクチャは、前世代のNVIDIA Maxwell™からNVIDIA Pascal™に進化しています。
メモリ性能の高さが特徴で、GTX 1050のメモリ容量は8GBと、GTX 10シリーズとしては大容量で、メモリ規格も下位モデルのGTX 1070で採用されていたGDDR5からGDDR5Xにスペックアップしています。
加えて、消費電力は180Wと、上位モデルのGeForce GTX 1080 Tiの250Wより抑えられていることから、複数人で一斉に使用する企業や大学などから選ばれているグラフィックボードです。
GTX 1080のスペック比較
GeForce GTX 1080 | GeForce GTX 980 | GeForce RTX 2080 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Maxwell™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | GP104 | GM204 | TU104 |
プロセス | 16 nm | 28 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 52億 | 136億 |
ダイサイズ | 314mm² | 398mm² | 545mm² |
CUDAコア | 2560基 | 2048基 | 2944基 |
Tensorコア | - | - | 368基 |
RTコア | - | - | 46基 |
ベースクロック | 1607MHz | 1127MHz | 1520MHz |
ブーストクロック | 1733MHz | 1216MHz | 1800MHz |
メモリ規格 | GDDR5X | GDDR5 | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB | 4GB | 8GB |
メモリバス | 256bit | 256bit | 256bit |
バンド幅 | 320GB/s | 224GB/s | 448GB/s |
消費電力 | 180W | 165W | 225W |
発売日 | 2016/5 | 2014/1 | 2018/9 |
GTX 1080のスペックを、従来モデルのGTX 980と後継モデルのRTX 2080と比較してみていきます。
GTX 980との比較
GTX 980ではMaxwell世代のアーキテクチャが採用されていましたが、GTX 1080ではPascal世代に進化しています。
加えて、プロセスは28nmから16nmへ微細化に成功しており、GTX 1080の方がトランジスタ数やダイサイズは優れた数値です。
GTX 1080のCUDAコアもGTX 980の125%の搭載数で、動画編集などの複雑な並列処理の性能向上がみられます。
ベースクロックやブーストクロックにおいても大きな向上がみられるため、演算能力の高さもうかがえます。
RTX 2080との比較
次に、GTX 1080の後継モデルにあたるRTX 2080と比較してみていきましょう。アーキテクチャがPascal世代からTuring世代に進化しており、プロセスも16nmから12nmへ微細化しています。その結果、トランジスタ数やCUDAコアも大幅に向上していることがわかります。
また、最も大きな違いとして、RTX 2080にはレイトレーシングに特化したRTコアと、ディープラーニングに特化したTensorコアが搭載されました。
RTコアとTensorコアは、RTX 20シリーズ以降に搭載された演算回路なので、高いレイトレーシング性能やAIの処理性能を求める方は、RTX 2080をはじめとしたRTXシリーズがおすすめです。
RTX 2080の詳細は「RTX 2080とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」の記事でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
GTX 1080の特徴
GTX 1080の特徴を3つ解説します。
競合製品や後継モデルと比較した結果をもとに解説するので、複数のグラフィックボードを比較して慎重に製品を選定したい方は、ぜひ参考にしてください。
「GeForce GTX VR Ready」に対応
GTX 1080は、NVIDIAが開発した、VRを快適に利用するための仕様のひとつである「GeForce GTX VR Ready」に対応しています。
VRは、高解像度かつ高フレームレートの映像を生成するために、高性能なグラフィックス処理能力が必要であるため、NVIDIAでは基準を設けています。
GeForce GTX VR Readyの基準は、グラフィックスカードの性能だけでなく、描画遅延(レイテンシー)や動作安定性などの要素にも着目しており、基準をクリアすることで、より高品質な映像を安定して生成し、より快適なVR体験が可能です。
GeForce GTX 1050 Ti以前のグラフィックボードは対応していませんでしたが、GTX 1080以降の製品から対応しています。
VR空間の作成や、VRを使ったサービスを展開する企業は、GeForce GTX VR Readyに対応したグラフィックボードの導入がおすすめです。
競合のAMD Radeon Vega 64を凌ぐ性能を備えている
GeForce GTX 1080 | Radeon Vega 64 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ | Vega |
GPU | GP104 | Vega10 |
プロセス | 16 nm | 14 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 125億 |
ダイサイズ | 314mm² | 484mm² |
CUDAコア | 2560基 | 4096基 |
ベースクロック | 1607MHz | 1247MHz |
ブーストクロック | 1733MHz | 1546MHz |
メモリ規格 | GDDR5X | HBM2 |
メモリ容量 | 8GB | 8GB |
メモリバス | 256bit | HBM2 |
バンド幅 | 320GB/s | 483.8GB/s |
消費電力 | 180W | 295W |
発売日 | 2016/5 | 2017/8 |
GTX 1080がNVIDIA製であるのに対し、Radeon Vega 64はAMD製のグラフィックボード。GTX 1080は、Radeon Vega 64をしのぐ性能を備えています。別メーカーが製造しているグラフィックボードなので、アーキテクチャやGPUも異なります。
AMD Radeon Radeon Vega 64のプロセスは14nmと、GTX 1080の16nmより小型です。また、CUDAコア数においても、AMD Radeon Radeon Vega 64はGTX 1080の1.6倍のコア数を搭載しています。
一方で、メモリ容量は同じ8GBで差はみられません。
消費電力は、AMD Radeon Radeon Vega 64が295Wと、GTX 1080の180Wより115Wも高い数値である点もポイントです。
上記の内容だけでは甲乙つけがたいですが、それぞれのベンチマークについて後述しているのであわせてご確認ください。
同等の消費電力のグラフィックボードと比較すると性能が低め
GTX 1080の消費電力は180Wですが、同等の消費電力のグラフィックボードと比較すると、性能は低めです。
同等の消費電力であるGeForce RTX 3060と性能を比較した結果が、以下のとおりです。
GeForce GTX 1080 | GeForce RTX 3060 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Ampere |
GPU | GP104 | GA106 / GA104 |
プロセス | 16 nm | 8 nm |
トランジスタ数 | 72億 | GA106:132億 GA104:174億 |
ダイサイズ | 314mm² | GA106:276mm² GA104:392mm² |
CUDAコア | 2560基 | 3584基 |
Tensorコア | - | 112基 |
RTコア | - | 28基 |
ベースクロック | 1607MHz | 1320MHz |
ブーストクロック | 1733MHz | 1777MHz |
メモリ規格 | GDDR5X | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB | 8GB / 12GB |
メモリバス | 256bit | 8GB:128bit 12GB:192bit |
バンド幅 | 320GB/s | 8GB:240GB/s 12GB:360GB/s |
消費電力 | 180W | 170W |
発売日 | 2016/5 | 12GB・GA106:2021/2 12GB・GA104:2021/9 8GB・GA106:2022/12 |
RTX 3060のアーキテクチャは、Pascal世代よりも2世代新しいNVIDIA Ampereです。
GPUにはGPシリーズよりもスペックの高いGAシリーズを採用しており、プロセスもGTX 1080の半分の8nmと小型です。このことが要因で、CUDAコアの搭載数はGTX 1080の1.4倍と高い並列処理性能を持ちます。
また、GTX 1080にはなかったRTコアやTensorコアが搭載されているのもポイントです。
メモリ性能においても、規格はGDDR5XからGDDR6に進化しており、メモリ容量は4GB多い12GBと大容量です。
これだけの性能差がありながら、RTX 3060の消費電力170Wと、GTX 1080より10W抑えられています。高性能かつ世代が新しい分、販売価格はRTX 3060の方が高いですが、ランニングコストでみると、GTX 1080より優れています。
GTX 1080のベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、3DMark・レイトレーシング・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
3DMark
3DMarkは、3Dグラフィックスの処理性能を表すベンチマークスコアです。
GTX 1080のスコアは7541と、次世代のGeForce RTX 2070(ノートブック)や、競合のAMD Radeon RX Vega 64を上回るスコアでした。ノートブック版は、デスクトップ版と比べて性能が劣る傾向にあるため、上記の性能差が表れたと考えられます。
一方で、通常のノートブック版よりも小型なMAX-Q DesignのGeForce RTX 2070 SUPER Max-Qと比較すると、GTX 1080はわずかに劣る結果でした。同じノートパソコン用でも、上記のようにモデルは複数あります。
すでにグラフィックボードを使用するデバイスが決まっている方は、デバイスに合ったベンチマークを確認しましょう。
Passmark G2D Mark
3DMarkとあわせて、2Dグラフィックスの処理性能を表すPassmarkのG2D Markのスコアもみていきましょう。
GTX 1080の数値は896と、5つの製品のなかで最も高いスコアでした。特に、ノートブック版のGeForce RTX 2070やGeForce RTX 2070 SUPERとの差は大きく、競合のAMD Radeon RX Vega 64の110%のスコアであることからも、2Dグラフィックスの処理性能の高さがうかがえます。
これまでの結果から、GTX 1080は、3Dグラフィックスよりも2Dグラフィックスの処理性能に長けたグラフィックボードといえます。
2Dのグラフィックデザインや画像編集を行う方は、ほかの製品とも比較してみると、より性能の高い製品を選定できるでしょう。
消費電力
最後に、消費電力の観点でもみていきます。
GTX 1080の消費電力は180Wと、AMD Radeon RX Vega 64の295Wに次ぐ高い数値でした。そのほかのノートパソコン向けのグラフィックボードは、80W〜115Wと低消費電力です。
また、ワット数別の3DMarkスコアを見てみても、消費電力の少ないノートブック版の3製品が優れたスコアでした。
デバイスにこだわりがなく、少しでも消費電力を抑えたい方は、ノートブック版がおすすめです。
GTX 1080を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
GTX 1080はどのような用途におすすめ?
GTX 1080は、GeForce GTX 10シリーズのハイエンドクラスにあたるグラフィックボードで、そのほかのGeForce GTX 10シリーズの製品よりもグラフィック処理性能やメモリ容量が高いのが特徴です。そのため、作業負荷や容量の大きいデータの処理も可能で、RAW現像や動画編集だけでなく、3DCADなどの3Dグラフィックスを扱う業務にもおすすめです。
ただし、GTX 1080はPascal世代の古いグラフィックボードなので、現在は市場への流通が限られており、手に入りづらい状況です。
最新のNVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用した、同じ80番台のGeForce RTX 4080であれば、GTX 1080よりも手に入りやすく、より高いパフォーマンスを実感できます。
RTX 4080の詳細は「RTX 4080とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、挙げられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。