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GTX 1070とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボード「GeForce GTX 1070」のスペックや用途を解説します。
ほかの製品とのスペック比較やベンチマークもあわせて紹介するので、どのグラフィックボードを導入すべきか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
GTX 1070の基本スペック
GeForce GTX 1070 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ |
GPU | GP104 |
プロセス | 16 nm |
トランジスタ数 | 72億 |
ダイサイズ | 314mm² |
CUDAコア | 1920基 |
ベースクロック | 1506MHz |
ブーストクロック | 1683MHz |
メモリ規格 | GDDR5 |
メモリ容量 | 8GB |
メモリバス | 256bit |
バンド幅 | 256GB/s |
消費電力 | 150W |
発売日 | 2016/6 |
GeForce GTX 1070は、アメリカの半導体メーカー「NVIDIA」が発売しているグラフィックボードです。
GeForce GTX 10シリーズのミドルクラスとして2016年6月に発売されました。NVIDIA Maxwell™世代のGTX 970の後継にあたるモデルで、アーキテクチャがNVIDIA Pascal™に進化しています。
GTX 1070のメモリ容量は8GBと、GTX 10シリーズのなかでは上位の容量で、上位モデルのGeForce GTX 1070 Tiと同等のメモリ性能を持っています。
GTX 1070のスペック比較
GeForce GTX 1070 | GeForce GTX 970 | GeForce RTX 2070 | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Maxwell™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | GP104 | GM204 | TU106 |
プロセス | 16 nm | 28 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 52億 | 108億 |
ダイサイズ | 314mm² | 398mm² | 445mm² |
CUDAコア | 1920基 | 1664基 | 2304基 |
Tensorコア | - | - | 288基 |
RTコア | - | - | 36基 |
ベースクロック | 1506MHz | 1050MHz | 1410MHz |
ブーストクロック | 1683MHz | 1178MHz | 1710MHz |
メモリ規格 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR6 |
メモリ容量 | 8GB | 4GB | 8GB |
メモリバス | 256bit | 256bit | 256bit |
バンド幅 | 256GB/s | 224GB/s | 448GB/s |
消費電力 | 150W | 145W | 185W |
発売日 | 2016/6 | 2014/9 | 2018/10 |
GTX 1070のスペックを、従来モデルのGeForce GTX 970と後継モデルのGeForce RTX 2070と比較してみていきましょう。
GTX 970との比較
GTX 970ではMaxwell世代のアーキテクチャが採用されていましたが、GTX1070では、Maxwell世代からスペックアップしたPascal世代を搭載しています。
プロセスは28nmから16nmへ微細化され、その結果、GTX 1070のトランジスタ数は、GTX 970の138%の数値に向上しています。
CUDAコアにおいても、115%の数値にアップしており、並列処理性能の向上がみられました。
メモリ性能はほぼ同値ですが、メモリ容量は4GBから8GBに倍増しています。
RTX 2070との比較
一方で、後継モデルのGeForce RTX 2070と比較すると、さまざまな項目で性能差がみられますが、最も大きな違いとして、TensorコアとRTコアの追加があります。
TensorコアとRTコアは、RTX 20シリーズから搭載された演算回路です。Tensorコアはディープラーニングに特化した演算回路で、RTコアはレイトレーシングに特化した演算回路です。
光や影をよりリアルに表現したいクリエイターや、AIを活用したNVIDIA独自機能を体感したい方は、GeForce RTX 20シリーズ以降のグラフィックボードがおすすめです。RTX 2070の詳細は「RTX 2070とは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」の記事でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
GTX 1070の特徴
GTX 1070の特徴を3つ解説します。
NVIDIA製グラフィックボード独自の特徴も解説するので、ぜひ製品選定の参考にしてください。
NVIDIA SLIに対応
GTX 1070は、NVIDIAが開発したマルチGPU技術の「NVIDIA SLI」に対応しています。
「NVIDIA SLI」では、複数のグラフィックカードを使用して、高度なグラフィックス処理を実現できます。通常は、1つのグラフィックスカードが画像を処理し、モニターに表示させますが、NVIDIA SLIでは、2つ以上のグラフィックスカードを使用することで、画像処理の負荷を分散し、より高いフレームレートやより高解像度なグラフィックスの実現が可能です。
そのため、プロフェッショナルなグラフィックス処理を行うクリエイティブシーンでの活用がおすすめです。ただし、NVIDIA SLIで使用できるのは、NVIDIA製のグラフィックボードのみで、競合のAMD製のグラフィックボードは使用できないため、注意しましょう。
GTX 900シリーズの最上位モデルのGTX 980 Tiと上回る性能を持つ
GTX 1070はGeForce GTX 10シリーズのミドルクラスのグラフィックボードですが、GeForce GTX 900シリーズの最上位モデルにあたるGeForce GTX 980 Tiと同等の性能を持ちます。
GeForce GTX 1070 | GeForce GTX 980 Ti | |
アーキテクチャ | NVIDIA Pascal™ | NVIDIA Maxwell™ |
GPU | GP104 | GM200 |
プロセス | 16 nm | 28 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 80億 |
ダイサイズ | 314mm² | 601mm² |
CUDAコア | 1920基 | 2816基 |
ベースクロック | 1506MHz | 1000MHz |
ブーストクロック | 1683MHz | 1075MHz |
メモリ規格 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量 | 8GB | 6GB |
メモリバス | 256bit | 384bit |
バンド幅 | 256GB/s | 336GB/s |
消費電力 | 150W | 250W |
発売日 | 2016/6 | 2015/6 |
GTX 980 TiのアーキテクチャがMaxwell世代であるのに対し、GTX 1070はPascal世代です。
プロセスは、28nmから16nmへ微細化されており、省電力化とパワーの効率化が実現しています。トランジスタ数やCUDAコアは、GTX 980 Tiが上回っていますが、ベースクロックやブーストクロックは、GTX 1070が大きく上回っており、演算能力の高さがうかがえます。メモリ容量は、GTX 980 Tiの6GBに対し、GTX 1070は8GBと大容量なので、より作業負荷の大きい業務や、容量の大きいデータ、アプリケーションでも扱えるでしょう。
GTX 1070の消費電力は、GTX980 Tiより100Wも少ない150Wなので、コストを抑えて運用したい方にもおすすめです。
GTX 1070 Tiとの性能差が大きく選択肢に挙がりにくい
GTX 1070のデメリットとして、上位モデルのGeForce GTX1070 Tiと性能差が大きい点が挙げられます。
GTX 1070 Tiに搭載されているCUDAコア数は、 GTX 1070の1929基を大きく上回る2432基です。さらに、GTX 1070 Tiのベースクロックは、GTX 1070の106%の数値で向上がみられます。メモリ性能に差はありませんが、少しでも高いグラフィック処理性能や演算能力を求める方は、必然的にGTX1070 Tiが選択肢として挙がります。
同じ70番台で販売価格やランニングコストは大差ないため、あえてGTX 1070を選択する方が少ないのが現状です。
GTX 1070のベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、3DMark・Passmark G2D Mark・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
3DMark
3Dグラフィックスの処理性能を表す3DMarkのベンチマークからみていきましょう。
GTX 1070の数値は6048と、同じPascal世代のQuadro® P5000や、GTX 1070より1世代新しいGeForce GTX 16シリーズのGeForce GTX 1660 SUPERを上回るスコアでした。
一方で、後継シリーズにあたるGeForce RTX 30シリーズのGeForce RTX 3050や、競合のAMD Radeon RX 5600Mと比べると、わずかに劣るスコアです。
3DCADや3Dアニメーションといった3Dを扱う方は、上記のように複数の製品の3DMarkスコアを比較し、性能を見極めましょう。
Passmark G2D Mark
PassmarkのG2D Markは、2Dグラフィックスの処理性能を表すベンチマークです。
GTX 1070の数値は858と、後継モデルのRTX 3050の959に次ぐスコアでした。加えて、3DMarkと同様に、 Quadro® P5000やGTX 1660 SUPERを上回るスコアです。
また、3DMarkでは下回っていたRadeon RX 5600Mとの性能差が特に大きく、GTX 1070はRadeon RX 5600Mの170%のスコアでした。
これまでの結果から、GTX 1070は、3Dグラフィックスよりも2Dグラフィックスの処理性能に優れたグラフィックボードだといえます。
消費電力
最後に、消費電力の観点でもみていきます。
GTX 1070の消費電力は150Wと、Quadro® P5000の180Wに次いで高い数値でした。同じ消費電力のRadeon RX 5600Mとワット数別の3DMarkスコアを比較すると、Radeon RX 5600Mがわずかに上回っていますが、ほとんど変わりません。
また、GTX 1070よりも消費電力が少ないRTX 3050とGTX 1660 SUPERの2製品は、どちらともワット数別の3DMarkスコアでもGTX 1070より優れた数値であり、ワットパフォーマンスの良さがうかがえます。
GTX 1070を使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
GTX 1070はどのような用途におすすめ?
GTX 1070は、GeForce GTX 10シリーズのミドルクラスにあたるグラフィックボードですが、メモリ容量は8GBと大容量で、ハイエンドクラスと比べて比較的導入しやすい価格帯であるため、容量の大きいクリエイティブソフトや素材を扱う企業や大学におすすめです。もちろん一般的なビジネスシーンでの使用も可能で、RAW現像や動画編集などの負荷の軽い作業でも高いパフォーマンスが期待できます。
しかし、GTX 1070は、7年前に発売された古いグラフィックボードなので、現在はほとんど市場に出回っていません。
同じ70番台で最新のNVIDIA Ada Lovelaceアーキテクチャを採用したGeForce RTX 4070 Tiであれば、流通量が多いため手に入りやすく、GTX 1070には搭載されていないTensorコアやRTコアの性能を実感できます。
RTX 4070 Tiの詳細は「RTX 4070 Tiとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」の記事でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、挙げられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。