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Intel Arc A350Mとは?スペックや性能、口コミまで徹底解説
この記事では、アメリカの半導体メーカー「Intel」が発売しているグラフィックボード「Intel Arc A350M」のスペックや特徴について解説します。
NVIDIA製のグラフィックボードとの違いや性能差もあわせてお伝えするので、どのメーカーのグラフィックボードを購入しようか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
目次
Intel Arc A350Mの基本スペック
Intel Arc A350M | |
アーキテクチャ | Alchemist |
GPU | ACM-G11 |
プロセス | 6 nm |
トランジスタ数 | 72億 |
ダイサイズ | 157mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 6基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 96基 |
RTユニット(RTコア) | 6基 |
ベースクロック | 1150MHz |
ブーストクロック | - |
メモリ規格 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4GB |
メモリバス | 64bit |
バンド幅 | 112GB/s |
消費電力 | 25W~35W |
発売日 | 2022/4 |
Intel Arc 350Mは、アメリカの半導体メーカー「Intel」が発売しているグラフィックボードです。Intel Arc A350Mのメモリ容量は8GBの1種類で、Intel Arc Aシリーズのノートパソコン向けモデルのエントリークラスとして、2022年4月に発売されました。
Inter Arc Aシリーズのなかでも比較的安価で、持ち運びが可能なノートパソコン向けモデルであるため、リモートワークを行うビジネスマンやクリエイターからの採用がみられます。
また、Intel Arc Aシリーズのノートパソコン向けモデルには、Intel Arc A350Mのほかにも、ミドルクラスのIntel Arc A550Mや、ハイエンドクラスのIntel Arc A730Mがあります。
Inter Arc Aシリーズにはデスクトップ版のモデルもありますが、ノートパソコン向けモデルの型番には「Mobile」を指す「M」が付いているので、型番から判別しましょう。
Intel Arc A550Mの詳細は「Intel Arc A550Mとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」で、Intel Arc A730の詳細は「Intel Arc A730Mとは?スペックや性能、ベンチマークまで徹底解説」でさらに詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
※Intel Arc全般に関しては「Intel Arcとは?特徴やシリーズの種類、口コミまで解説」で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
Intel Arc A350Mのスペック比較
競合メーカーのNVIDIA製のグラフィックボードと、Inter Arc A350Mのスペックを比較していきます。
Intel Arc A350Mは、Intel Arc Aシリーズのノートパソコン向けのグラフィックボードです。そこで、同じくノートパソコン向けのモデルで、近い性能を持つNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qと、NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qの2製品を選定し、比較していきます。
Intel Arc A350M | NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Q |
NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Q |
|
アーキテクチャ | Alchemist | NVIDIA Turing™ | NVIDIA Turing™ |
GPU | ACM-G11 | TU117 | TU117 |
プロセス | 6 nm | 12 nm | 12 nm |
トランジスタ数 | 72億 | 47億 | 47億 |
ダイサイズ | 157mm² | 200mm² | 200mm² |
Xeコア(CUDAコア) | 6基 | 1024基 | 1024基 |
Matrixコア(Tensorコア) | 96基 | - | - |
RTユニット(RTコア) | 6基 | - | - |
ベースクロック | 1150MHz | 930MHz~1395MHz | 1035MHz~1350MHz |
ブーストクロック | - | 1125MHz~1560MHz | 1200MHz~1485MHz |
メモリ規格 | GDDR6 | GDDR5 / GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 4GB | 4GB | 4GB |
メモリバス | 64bit | 128bit | 128bit |
バンド幅 | 112GB/s | 192GB/s | 192GB/s |
消費電力 | 25W~35W | 30W~50W | 35W~55W |
発売日 | 2022/4 | 2019/4 | 2020/4 |
GTX 1650 Max-Qとの比較
まずは、Intel Arc A350MとNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qを比較していきます。
NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qのプロセスは12nmなのに対し、Intel Arc A350Mは6nmと半分の大きさに抑えられています。その結果、トランジスタ数やダイサイズは、Intel Arc A350Mの方が優れた数値です。
そして、両製品の大きな違いとして、演算回路の有無があります。Inter Arc A350Mには、ディープラーニングに特化したMatrixコアとレイトレーシングに特化したRTユニットが搭載されていますが、NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qには、同等の演算回路にあたるTensorコアとRTコアが搭載されていません。
このことから、レイトレーシング性能やAIの処理性能は、Intel Arc A350Mの方が優れていると考えられます。また、メモリ性能においては、容量は同じ4GBですが、メモリバスやバンド幅はNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qが上回っています。
GTX 1650 Ti Max-Qとの比較
次に、NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qと比較してみていきましょう。
NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qは、NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qと同じTU117を採用しているため、プロセスやトランジスタ数、ダイサイズ、メモリの各種項目は同値です。そのため、Inter Arc A350Mとの性能差も、NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qと同等で、トランジスタ数やダイサイズ、メモリバスなどは、Intel Arc A350Mの方が優れた数値です。
一方で、NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qのベースクロックは1035MHz〜1350MHzと、最大値でみると、Intel Arc A350Mの1150MHzよりも上回っています。
最後に、3製品にはそれぞれ高速な並列処理を実現する「Xeコア」と「CUDAコア」が搭載されていますが、別メーカーが製作した演算回路なので、搭載されている個数だけでなく、ベンチマークを参考に性能を比較するようにしましょう。
Intel ArcA350Mの特徴
Intel Arc A350Mは、最新のAPIであるDirectX 12 ULtimateに対応しています。DirectX 12 ULtimateは、ゲーミング用途で採用されるケースが多いですが、グラフィックスや動画の開発・再生のサポートも行ってくれるAPIで、レイトレーシングやレンダリングなど、ゲーミングだけでなく、クリエイティブシーンにおいても高いパフォーマンスを発揮してくれます。
また、CPUとIntel Arc A350Mを連動させる「Deep Link」も搭載しており、なかでもクリエイティブシーンにおすすめな機能の「ハイパー・エンコード」は、エクスポート速度を向上させ、作業効率の改善を実現してくれます。
Intel Arc A350Mは、ノートパソコン向けのエントリークラスにあたるグラフィックボードで、Intel Arc Aシリーズのなかでも特に手にしやすい価格帯であることからも、一斉導入を検討している企業や、作業効率を上げてコスパ良く運用したい方におすすめです。
詳しいIntel Arc A350Mの特徴は、「Intel Arc Aシリーズとは?」で解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
Intel Arc AシリーズとNVIDIA GeForceシリーズの特徴比較
NVIDIAは、Intelと同様にアメリカに本社を構える半導体メーカーです。AMDと並ぶグラフィックボード製造メーカーでもあり、GeForceシリーズは主力製品のひとつです。
APIは、ゲームで採用されることの多いDirectXに対応しているため、3DCADの制作などのクリエイティブシーンよりも、ゲーミングの用途が向いています。Intel Arc AシリーズのAPIは、NVIDIA GeForceシリーズと同じDirectXです。そのため、NVIDIA GeForceシリーズと同様に、ゲーミングでの使用がおすすめです。
加えて、クリエイティブタスクの効率化やパフォーマンス向上を実現する、Intel独自の「Deep Link」や「XMX」を搭載しているため、クリエイティブシーンでも高い性能を発揮してくれます。
APIは同じDirectXであることから、両シリーズともゲーミング向けのグラフィックボードとして開発されたことがわかりますが、クリエイティブシーンでの利用を検討している方は、それぞれの製品の特徴や独自機能、ベンチマークを確認して選定しましょう。
Intel Arc A350Mのベンチマーク
製品の定量的測定結果を表すベンチマークスコアを、Time Spy・Night Raid・消費電力の3つの観点から紹介します。
グラフィックボードを選定する際の重要な判断材料となるので、把握しておきましょう。
Time Spy
Time Spyは、APIのDirectX12に対応したベンチマークです。グラフィックと処理性能の両方のパフォーマンスをスコア化したベンチマークなので、画像や動画などを扱うクリエイターが注目しておきたいベンチマークのひとつです。
Intel Arc A350Mの数値は3047と、NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qの3007よりも1%高いスコアですが、大きな性能差はみられません。
一方で、NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qの数値は3259と、Inter Arc A350Mを約7%上回るスコアでした。
NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-QはNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qの上位モデルにあたるため、その分性能差がみられた結果となりました。
Night Raid
Ngiht Raidは、CPUに内蔵されている内蔵GPUを使用するノートパソコン向けのDirectX12ベンチマークです。
Inter Arc A350Mの数値は22574と、NVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qの19007よりも18%高いスコアで、Time Spyよりも性能差がみられました。
一方で、NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qと比較すると、Time Spy同様に、Inter Arc A350Mが下回る結果となりましたが、数値は3%ほどの開きで、Time Spyほどの差はありません。
Night Raidは、Time Spyと同様にDirectX12のベンチマークですが、Time Spyよりも軽量化されたテストで、グラフィック性能が高くないノートパソコンでも計測可能です。
Inter Arc A350Mをはじめとしたノートパソコン向けのモデルの性能を把握するために役立つベンチマークなので、ノートパソコン向けのグラフィックボードの導入を検討している方は、複数の製品を比較して、性能を見極めましょう。
消費電力
最後に、消費電力の観点でも比較していきます。
Inter Arc A350Mの消費電力は35Wと、NVIDIA製の2製品よりも優れた数値でした。特にTime SpyやNight Raidのスコアで上回っていたNVIDIA GeForce GTX 1650 Max-Qよりも15W少ない消費電力である点は、評価できるポイントです。
また、Time SpyやNight Raidでは性能差がみられたNVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Qの消費電力は55Wであるため、多少の性能差があっても消費電力を抑えたい方は、Inter Arc A350Mがおすすめです。
Intel Arc A350Mを使用している方の口コミ・評価
情報が集まり次第、更新します。
Intel Arc A350Mはどのような用途におすすめ?
Intel Arc A350Mは、画像処理や動画編集などのクリエイティブシーンにおすすめです。
Intel Arc A350Mは、低ビットレートでも高い画質を維持できる「AV1」のリアルタイムハードウェアエンコードに対応しており、最大8Kの解像度を実現してくれます。
さらに、Intel Arc Aシリーズに内蔵されている、XMXエンジンを活用すれば、写真・動画の高速なアップスケールが可能です。
Intel Arc A350Mはノートパソコン向けのモデルということもあり、デスクトップ版と比べると性能は劣りますが、上記の機能を活用すれば、クリエイティブシーンにおいて高いパフォーマンスを発揮してくれます。
メモリ容量は4GBと、グラフィックボードとしては少なめなので、容量の少ない写真や動画といった負荷の少ない作業におすすめです。
GPU搭載PCを仕事で使うことについて
PCにはCPUが搭載されており、CPUのグラフィック機能で画面が表示されています。
CPUは3D描画性能が高くありませんが、Office関連のソフトの使用がメインになる場合やゲームをしない場合は問題ありません。
グラフィックボードは外部グラフィック機能と呼ばれることもあり、主な用途としては3D描画性能を求めるゲームを快適にするための存在ですが、ここ10年程で3D描画を可能とするグラフィックボードの性能をほかの用途で活用しようとする動きが活発となっています。
主にクリエイティブ用途で活躍
特にクリエイティブ系のアプリではグラフィックボードの活用が進んでいます。
代表例としてはフォトレタッチや動画編集、CGレンダリングソフトなどが挙げられます。具体例を出すとAdobeのPhotoshopやPremiere Proでは一部のフィルタ処理を行う際にグラフィックボードによって高速化することができます。
グラフィックボードを搭載したPCを仕事で使用するメリットとして、挙げられるのはメモリです。
CPUのグラフィック機能での作業は動作が重くなる原因に
CPUのグラフィック機能はメインメモリの一部を使用するため、メインメモリの容量が減ります。したがって、複数のアプリを立ち上げて作業すると動作が重たくなる原因になるおそれがあります。
PCの仕組み上、メインメモリの速度が性能に影響されてしまうため、メインメモリが高速ではないPCの場合は、処理に多くのメモリが持っていかれてしまい、CPUの内臓グラフィック機能の性能が落ちることになります。
その点、グラフィックボードが搭載されているPCの場合は、グラフィックボードに搭載されているGPUメモリ内で済む処理であればCPUのメインメモリが使われることはないため複数アプリ立ち上げて業務を行っても動作が重くなるといった心配はありません。
ビジネスシーンなどで活躍するグラフィックボード搭載PC
結論として、Office関連のソフトをメインにPCを利用する場合はグラフィックボードの必要性は低いですが、クリエイティブ系のソフトを使用する際は処理速度を挙げられる場合があるなど活用の幅を広げられます。
以下のリンクから、ドスパラプラスの取り扱う製品を企業様・学校法人様が導入した事例をご確認いただけます。
高性能パソコンやサーバー、特別仕様のパソコンの導入をお考えの法人様はご参考になさってください。
まとめ
この記事では、Intel社が発売しているグラフィックボード「Intel Arc 350M」のスペックやベンチマーク、NVIDIA GeForceの製品との違いまで解説しました。
Intel Arc A350Mは、Inter Arc Aシリーズのノートパソコン向けモデルのエントリークラスにあたるグラフィックボードです。エントリークラスでありながら、クリエイティブシーンに役立つ機能が満載で、画像・動画編集などで高いパフォーマンスを発揮してくれます。
また、デスクトップ版と比べて比較的安価で、なおかつ消費電力を抑えられていることから、これからリモートワークを導入する企業にもおすすめです。
今回の記事ではNVIDIA製グラフィックボードとのスペック比較も紹介したので、どのメーカーのグラフィックボードを導入するか迷っている方は、紹介した内容を参考に、用途に合ったグラフィックボードを選定しましょう。